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«分析»オールドファーム "Kyogo"の可能性

こんにちは。Atsudです。今回は世界一有名なダービーマッチであるオールドファーム、レンジャーズvsセルティックの分析をしていきたいと思います。

 今夏、ヴィッセル神戸からセルティックに加入した古橋の大活躍もありDAZNが放映権を獲得。日本でも注目を集めた一戦でした。最初は古橋が目当てというよりただオールドファームを見たくて試合をLIVE観戦していたわけですが、途中からひと際目を引く日本人プレーヤー"Kyogo"のプレーにくぎ付けになりました。
 

 今回の分析では両チームの戦術に注意しつつ、古橋を中心に試合を分析していきたいと思います。Jリーグは基本的に京都サンガの試合しか見ないので「ポステコグルーのスタイルはポジショナルプレー」、「古橋はスピードがあって今年Jリーグ前半戦で得点王」ぐらいの知識しかないということは考慮してください。ではどうぞ。


左WGのKyogo

Rangers vs Celtic live score, H2H and lineups _ SofaScore および他 1 ページ - 個人 - Microsoft​ Edge 2021_08_30 7_52_50 (2)

 スタメンは上図の通り。両チームともにシステムは4-3-3。この試合はセルティックの保持率が66%となっており、ポステコグルーの哲学はサッカーの母国でも健在である。しかしセルティックが敷いたポジショナルプレーはシステマティックに機能しているとは言えなかった

 攻撃には2-3-5でポゼッションを試みたセルティック。ペップの偽SBを使った2-3-5とは違って両SBが2列目でワイドに位置取り、チャンスがあればWGを追い越すような動きを取る。WGは幅を大きく取りサイドにボールが渡ればIHもサイドに寄って、全体的にワイドレーンを用いた攻撃が多く見られた。したがって常に大外でボールを受けることが多くなった古橋。ボールに触れる回数は多かったものの、左サイドで気持ち良くプレーしているようには思えなかった。

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 理由はいくつか考えられる。大きな理由はタイプの問題だ。古橋は相手最終ラインとの駆け引きから抜け出して直線的でダイレクトにゴールを狙う選手だ。古橋がKyogoの名を世界に轟かせたセルティックでのデビュー戦。3ゴールすべてが抜け出しからワンタッチシュートだ。

 一方、レンジャーズ戦では大外でボールをもらってからパスを出したり中央にクロスを上げたりするシーンが多かった。マンチェスターシティで言えばグリーリッシュに似た役割が与えられており、古橋の長所が活かされた起用法とは思えない。もちろん卓越した技術と高度な戦術理解が求められるこの役割で目立った活躍をすることができれば古橋にとって新たな可能性が生まれるチャンスではあったが、そうはいかなかった。
 今回の試合で左WGというポジションを否定し、中央で使えという声が国内外で大半の意見だった。しかし、実際はそうではない。古橋を苦しめたのはポジションではなく役割。もちろん彼の起用法の最適解は中央で裏に抜け出し直線的なゴールを狙う役割を与えることだが、例え左WGに配置されても攻撃時にハーフスペースに位置取り裏を突く動きを求めても良い働きをするだろう。
 下図を見ても左サイドでも古橋は長所を生かしたプレーでゴールチャンスを創出した。

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機能不全のセルティック

 セルティックのポジショナルプレーは停滞していた。左サイドを中心に攻めようとするが、レンジャーズの堅い守備からバイタルエリアにボールを供給することができない。その要因の一つがCFのエドゥアルドだ。IH、SB、WGがワイドでボールを回すため中央の人数が足りなくなる。ここでエドゥアルドがポジションを下げれば相手の意識は中央にも向くが、前線から離れない。するとレンジャーズとしてはサイドで追い込めばいいわけなのでより簡単な守備局面になる。さらには古橋もサイドで苦手なプレーを求められパスミスをすることも少なくはなかった。

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Kyogo=ヴェルナー?

 66分、レンジャーズに先制点を許した直後、選手交代に伴ってKyogoはCFの位置に移動した。ここから敵地でのオールドファームでKyogoが本領発揮だ。ポジション変更直後、完璧な裏抜けからビッグチャンス。古橋は裏抜けだけではなく、ポジションを下げたりして最終ラインに揺さぶりをかける動きも入れていた。その後も2度ビッグチャンスが訪れたが2度とも敵地を黙らせることはできなかった。
 判断が今後の課題だろう。ワンタッチでのシュートは得意だが、複数の選択肢とゴールまでの距離があるとき、古橋はファンを満足させることができなくなる。何かヴェルナーを彷彿とさせる選手だなぁという印象を受けた。長袖ですばしっこくてサッカー選手としてのタイプも似ているうえに、判断を必要とするプレーを前にするとそこまで見せていた勝負強さが影をひそめる。ヴェルナーと比較した時にスピードや技術に大差があるようには思えない。ワールドクラスの選手になっていく可能性を感じることのできた最後の20分間だった。

Kyogoの名が神戸からグラスゴー、そして世界に広まっていく過程を我々は今目の当たりにしているのだ。



分析は以上です。Jリーグ、セルティックでの活躍が認められ9月の代表ウィークでW杯最終予選の日本代表に召集された古橋。史上最もレベルの高い日本代表攻撃陣の中で古橋がどこでどのような役割が与えられるのかに注目したいです。



 

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