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おすすめ映画1~29/100
『おすすめ映画100を教えてほしい』と言ってもらったので、まずは2018年に観たものの中から29作品を。気になったものをレンタルやネットサービスで観て頂けたら嬉しいです。いつか100作品にたどり着けるといいのですが。
タイトル、あらすじ、感想を短く書くつもりだったのですが、書いているうちに段々慣れてきて、好き度が低い方が丁寧に書いている気がします。それに好きな作品の方が「うーん、好き!よかった!」という感想しか残っていないんですね。いまいちだったかなというものの方が記憶に残っていたりして。
私の鑑賞傾向としては、『夢見がち』『バイオレンス苦手』『ミニシアター系多め』です。
1.ブリグズビー・ベア
・誘拐犯に育てられた主人公が実親の元に戻り、自分の人生を取り戻す
・誘拐されていた生活場面が好き。映画撮影を通して人生を取り戻していく過程、創作の楽しさや怖さは何度も観たくなる。
2.顔たち、ところどころ
・映画監督アニエス・ヴァルダとストリート・アーティストJRがフランスの田舎街を旅する
・ドキュメンタリーとドラマのバランスが最高。ゴダールの使い方が最高。
3.彼が愛したケーキ職人
・エルサレムを舞台に、国籍や文化、宗教や性差を超えてめぐり逢う男女
・結局、彼らの愛とはなんだったのか、もやもやがとても良い。イスラエルの食文化、宗教的な生活描写も興味深い。
4.ワンダー 君は太陽
・遺伝子疾患を抱える少年の初めての学校生活と家族の物語
・闘病モノとは呼びたくない、力強い歩みと笑いのバランスが良い。弟にかかりきりになってしまう家庭での姉の感情もきちんと描いている。
5.君の名前で僕を呼んで
・夏の愛
・17歳の少年の愛とそれを自覚し体感していく過程が美しい。
6.パティ・ケイクス
・ラッパーを目指す主人公の物語
・底辺にいる口惜しさをラップにぶつける。韻踏みの美しさとトラック制作の面白さが魅力。
7.ア・ゴースト・ストーリー
・事故死した男が幽霊になって残された妻を見守る姿を描いたファンタジー
・突然この世から去ることになってしまったら。愛情、執着、自分の存在はどうすれば伝えたい相手に伝えられるのか。すべてが美しく、悲しい。どのシーンも良い。
8.フロリダ・プロジェクト
・モーテルに住み着く底辺母子家庭の日々
・めちゃくちゃな非定住生活の中で娘には母なりの愛情を与える。転がり落ちてしまった生活の悲しさと、色あせたような画面の鮮やかさが胸に刺さる。フロリダのヤンママ役女優が魅力的。
9.女は二度決断する
・人種差別主義者のドイツ人によるテロにより突然愛する家族を奪われた主人公
・ドラッグもするし、よくある悲劇の女主人公という描かれ方ではなく、深く傷ついているけれども強さがあるのがヨーロッパぽさがある。
10.あん
・ハンセン病元患者にあん作りを教わったどら焼き屋店主の変化
・ハンセン病にまつわる悲しい歴史を教科書的にせず、観客を引き込みやすいストーリーにしている。樹木希林さんの演技がすばらしい。物語風にしたい人間を一歩引いて見る存在も出てくるのが良い。
11.ライオンは今夜死ぬ
・元恋人の亡霊を追う老俳優と地元の子ども達が映画を撮る
・人生の終わりを迎える老俳優と、人生が始まったばかりの子ども達の対比が印象的。映画を撮るということは純粋に楽しいことなんだと伝わる作品。
12.ロープ/戦場の生命線
・井戸に死体が投込まれた。住民の水を守るために奔走するNGO職員たち
・戦争をできるだけドライに描き、笑いすら起きる。普通の生活が奪われる悲劇とその笑いとの湿度バランスが絶妙。劇中曲はルーリードやマリリンマンソン。
13.ぼくの名前はズッキーニ
・母親を亡くし孤児院に入れられた少年が周囲の人々との関わりの中で成長していく姿を描く。
・丁寧な動きとちょっとしたため息も声が入れられているところ、良い。ひとりの人としての子どもたち、自分たちの意思では無く人生が変わってしまった子どもたちを描くストーリーも良かった。
14.ラッキー
・90歳のラッキーは、いつもの日々の中でふと、人生の終わりが近づいていることを思い知らされ「死」について考え始める。
・老人ばかりの画面に、高齢化社会を生きるだろう自分の未来も想像する。戦争を体験してもまだ「死」について恐怖を感じるのだろうか。
15.はじまりのボーイミーツガール
・落ちこぼれのヴィクトールは、母の死から立ち直れない父親に悩む12歳。クラスの優等生マリーに恋しているがマリーに自分が利用されていることを知る。
・くすぐったい邦題とは異なり、小学生だけど彼らが抱えているものは重い。子どもの恋ではなく10年生きた人達の愛情を喜怒哀楽くっきりと描く。脇役設定もバリエ豊か。
16.勝手にふるえてろ
・ “脳内の片思い”と“リアルな恋愛”。同時進行で進むふたつの恋の行方は?
・とにかく松岡茉優を堪能できる。職場の昼休みの描写がいい。
17.素敵なダイナマイトスキャンダル
・母親が隣の若い男とダイナマイト心中という嘘のような実話をもつ稀代の雑誌編集長・末井昭氏の生い立ちがベース。
・「やぶれかぶれ」な昭和の匂い、不協和音のような生き方。はちゃめちゃで楽しくてストーリーに纏わりつく寂しさが良い。
18.羊の木
・過疎問題解決のために元受刑者を受け入れる町の職員を中心にしたミステリー
・自我が崩壊してしまって自分の人生を自分自身が支えきれないときに助けてくれるものは何なのか。犯罪者の精神を支えようとする人を描いた本『プリズン・ブック・クラブ』を読むと、感想を補完しあえる気がする。
19.ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ
・パキスタン移民2世コメディアンのクメイルは、アメリカ人大学院生のエミリーと付き合っている。ある日、同郷の花嫁しか認めない厳格な母親に言われるまま、見合いをしていたことがエミリーにバレて、2人は破局を迎える。
・パキスタン移民2世としての家族への愛と自立、恋人両親の愛情、いろんな形の愛が詰まったキュートな作品だった。ラヒリの『その名にちなんで』に重なるところもありテーマが好き。
20.ピンカートンに会いにいく
・かつてブレイク寸前で突然解散してしまった伝説の5人組アイドル、ピンカートン。20年が過ぎ再結成の話が。
・喋り倒し映画が好きなので私好み。性格悪い女たち最高。キンキン煩いおばさん元アイドルに、何度か泣きそうになったのは、なんでだろう?
21.ウインド・リバー
・雪深いネイティブアメリカンの保留地で、なぜ18歳の少女は殺されたのか?その残酷な真実は現代のアメリカの闇に隠されている
・家族を暴力によって奪われた者がどう生きるのか、残された者の闘い。部族の伝統すら奪われている絶望を一瞬で伝えてくれるシーンが心に残る。
22.グレイテスト・ショーマン
・P.T.バーナムは、オンリーワンの個性を持つ人々を集めたショーをヒットさせるが…
・ストーリーが整いすぎておとぎ話のようではあるが、世に出られなかった人達のサーカスでの爆発するような歌やダンスには感動。
23.ヴァンサンへの手紙
・フランス、ろう者ドキュメンタリー。
・異邦人的な孤独と、コミュニケーション方法の選択肢を他者によって決められてしまう怖さ。手話詩とダンスの美しさが印象的。
24.泣き虫しょったんの奇跡
・棋士しょったん(瀬川晶司)の挫折と挑戦
・指先、眉、瞼の動きで演じる役者陣が素晴らしい。それに対する動的なイッセー尾形さんもよかった。邦画俳優が楽しめる。ストーリーはタイトル出落ちなのでゆったり観られる。
25.メアリーの総て
・ 小説「フランケンシュタイン」の作家メアリーの物語。
・メアリーが怪物を生み出すまでの絶望や怒り、悲しみを丁寧に描く。クズ男との半生と言っても良い。彼女と同様に地下的存在なヴァンパイヤ著者との短い関係が良かった。
26.セラヴィ!
・古城で開かれる豪華な結婚式にまつわるドタバタ
・披露宴会場スタッフたちは失敗だらけ。パッとしないそれぞれの人生がラストに温かく彼ららしく輝く。コメディ部分はかなりベーシックだが、いけすかない新郎の飛翔には爆笑。
27.運命は踊る
・テルアビブのアパートで暮らす夫妻のもとに、軍の役人が息子ヨナタンの戦死を知らせにやってくる。一方、ヨナタンは戦う相手のいない前哨基地の検問所で、どこか間延びした時間を過ごしていた。
・大人だからこそ悲劇に正面きって向かい合わず、ノックダウンされながらもラリって笑う…情けなさがその人たちへの愛情に変わる。
28.いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち
・『いつだってやめられる 7人の危ない教授たち』続編。定職に就けない博士・教授、ポスドクたちの逆襲劇、始まる。
・1作目、7人の危ない教授たち の方が面白いが、まとめてここでお勧めする。「最高の頭脳の持ち主である研究員たちが最低の給料に甘んじている」という悲しい笑い。イタリア語は言い訳喋りまくりにぴったりの言語。
29.寝ても覚めても
・同じ顔をした、過去の恋と現在の愛が朝子の心を揺らしていく。
・流されやすく自分がヒロインであるという自己中心的行動、異性にばかり頼る、私の苦手な女を凝縮した主人公には映画といえども疲れた。全然好きじゃないのにやけに印象に残っている。
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