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感想だらだら書き『12か月の未来図』

フランスの名門アンリ4世高校の教師フランソワは、ある日パリ郊外の教育困難中学に送り込まれる。さまざまなルーツを持つ生徒たちを前に、生徒の名前を読み上げるだけでもひと苦労というありさま。勝手の違う環境の中で、日常的に巻き起こるさまざまな問題をベテラン教師のプライドをもって対処していた。そんな中、社会見学で訪れたベルサイユ宮殿で、お調子者の生徒セドゥがトラブルを起こし、退学処分が下ってしまう。

これはおとぎ話だろうか?理想論だろうか?
映画の良いところは、困難を2時間にまとめてくれるというところだ。

そしてこの作品は2時間(厳密には107分)の中に、フランスに住む移民の子どもたちが直面する学力低下と教育の不平等という問題を、日本に住んでいてフランスの状況にもましてや日本国内の教育についても明るくないわたしにもベースを伝えつつ、なんだか笑えたりさせてくれるちからを持っている。

わたしの近しい人が、こういう状況だったのだ。勉強は算数以外ほんとうにだめで、参考書も買えず、地元の悪い友達に簡単なほうへ引きずられていってしまうような。いろんな先生に助けられて、自分の強みを引き出してもらって、学ぶ楽しさに目覚めたという。勉強できる自分を見つけてもらって、そこからは自分で走り出せたのだろう。

月にいくらか、わたしはアフリカのブルキナファソに住むI君のために募金をしている。I君は小学校にあがる年齢になったが、ご両親の意向で学校には通っていない、と団体が報告してくれた。I君の母親も字が書けない。学校に行けますようにと願う半面、向こうの生活や文化をまだよくわかっていないわたしに何ができるだろう、もしくは何もすべきではないとも思う。とりまとめている団体がうまく啓蒙してくれたらいいんだけど。

そういうこともあって、この映画に出てくるアフリカ移民の子どもたちに、熱視線を送ってしまったのだ。

実話ベースの作品なのかと思わせるのは、監督が二年も教育現場で取材を重ねたからで、ただ、時々ドキュメンタリー作品ぽさを出したいのか手持ちカメラ風なブレやズームインが入るのは少し気が散る。
でもドキュメンタリー風でいうと、教師同士の口論の場に居合わせてしまった清掃のおばちゃんが挟まれてめちゃくちゃ気まずそうなシーン、あれはすごく良かった。

生徒たちの自然な演技もすばらしい。意欲が低く、しゃんと座り続けられない子どもがきちんとそこにいた。

『レ・ミゼラブル』を生徒に渡しながら、これが君たちのパンになるんだ、ここに詰まっているんだ、と訴えかけた主人公フランソワのことばも良い。

どうも好きな作品になると感想がまとまらない。とにかく書かないことにはまた下書きの海に埋もれていく。明日も映画を観る予定だから、埋もれさせたくないから、だらだらと書いて勢いで投稿する。

そうだ、問題提起と理想論との美しい調和がこの作品の良さなのかもしれない。
救いのない話は現実だけで十分だから。

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