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妻へのお土産は「どこにいてもあなたを忘れていない」というサイン。

子供が4歳になるまで、ぼくは毎月1週間ほど海外出張に行っていました。

帰りの空港でいつも妻へのお土産を買っていたのですが、毎月続く出張はぼくにとって日常となり、ある日お土産を買わずに帰ったんです。

会社帰りにお土産を買うような感覚になっていたからですが、妻のお土産に対する捉え方はぼくとは違うものだったようです。

何も手渡さなかったぼくを見て、妻はとても寂しそうにしていました。

それは、単なるモノが欲しかったのではなく、モノとはまったく異なるものを彼女が求めていたからでした。

当時、妻は生まれたばかりの双子を抱えて精神的にギリギリの状態でした。

終わることのない夜泣きに対応し、何枚もおむつを替え、1日に何度も授乳し、双子を代わりばんこにお風呂に入れる。

絶え間ないケアの連続により、すっかり身体はもちろんのこと、情緒的にもすり減っていたのです。

子供たちへのケアばかりで、誰も自分のことをケアしてくれない。大変だけど、母親だからそれが当たり前……。だから頑張らないと。

当時の妻はそう考えていました。

母親というプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、妻は子供たちに愛情を注ぎ続けていたのです。

妻は他者へのケアに追われ、誰かから大切にされるという体験が圧倒的に欠けていたのです。

ぼくが一度買って帰るなんてことないチョコレートが、彼女にとって数少ない「大切にされる体験」だったのです。

妻は言いました。

あなたが空港で私のためにお土産を買ってくれていると思うと、ああ、私は忘れられてないんだなって思うの。

ぼくが出張先で買う妻へのお土産は、「どこにいてもあなたのことを気にかけている」というサインだったのです。

そんなことに気がつかされた出来事でした。

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ー今朝のVoicy

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