水に溶け込んだ感情をすくい出す"フタリノトリセツ"が面白い。
感情とは水に溶け込んだ粉薬のようなもの。
グラスの中の水をのぞいても透明なので、そこに薬があることに気がつけない。
だけど、ぼくら夫婦は思いやりという感情が溶け切った水を毎日飲んでいる。
日々のコミュニケーションのなかで、ぼくらが相手からの思いやりに気がつかず、時にないがしろにしてしまうのはそのせいだ。
手に持ったグラスの中にある思いやり。それをすくい出すことができれば思いやりを可視化でき、ぼくらはもっと生きやすくなる。
そんな気がするんです。
そして、それをアシストするサービスを最近見つけました。
◇
LINEでさくっと作れるカップルのトリセツです。お互いのトリセツを作りシェアし合うことで、コミュニケーションをスムーズにさせることができます。
取説ってなんか情緒がなくない?家電じゃないんだけど?
とか
いちいち書くのめんどいんだけど?
とか思っちゃう人もいると思う。ぼくも少しそう思ってた。何個もの項目をポチポチ埋めてくのめんどいなって。
だけど、やってみると選択式なので考える必要がなくてめっちゃ楽だったんです。
選択式だと浅いホワっとした回答しか作れないんじゃないと心配だったんですが、選択肢の数が多くて自分に合ったものを見つけやすいんですよね。
さあ、自分の気持ちをこの紙に書いてみよう!
突然そう言われたらかなり時間かかるだろうけど、用意されたいくつもの選択肢から選ぶから簡単にできるんです。
実際にやってみて感じたメリットが3つあったので、まとめてみますね。
夫婦の葛藤が起こった時にどうすればいいかわかる
フタリノトリセツには「仲直りしたい時」と「不機嫌な時」にどうして欲しいかが書かれています。
これを事前に知っていれば、いざという時にどうすればいいかわかりますよね。
妻は「仲直りしたいとき」の欄には「お互い謝りましょう」と書かれ、「不機嫌な時」の欄には「1人の時間を与えましょう」と書いてありました。
もちろん、これ以外にもケアは必要になりますが、ああ、妻が望んでいるのはこれなんだなとわかっていれば対処がしやすいですよね。
確かにうちの妻は不機嫌な時は一人でゆっくり過ごすと気持ちを落ち着かせる傾向があります。
それから、トリセツのおかげで夫婦の葛藤が起こらないよう、事前に気をつけられるようにもなります。
葛藤の発生を避けることができる
トリセツには「苦手なこと」、「充電方式」、「安全上のご注意」があります。
妻の「苦手なこと」に早起きがあるのですが、低血圧気味なのですぐにベッドから起き上がれないんです。
だけど、ぼくはそれをよく忘れて「朝ごはんできたよ。(温かいうちに食べて欲しいから)早く起きてよ」と起こしに行くことがあるんですね。
ぼくは早起きが得意なので(何時に寝ても4時半に目が覚めるのでお酒飲んだ日は辛い…)、なんで起きないんだよと思っちゃう時もあったわけです。
だけど、トリセツに苦手と書いてあれば(苦手だったらしょうがないな)って思えるんです。
だって「取扱説明書」に書いてあるんですからね。そういうもんなんだなって納得できちゃうんですよね。
それから妻の「安全上のご注意」の欄には「趣味を否定、制限する行為」や「嘘をついて隠す行為」がありました。
もちろんそんなことは普段からしていないつもりですが、トリセツにそう書かれていればより気をつけようって思えますよね。
無駄な夫婦間の葛藤を抑えやすくなるんじゃないかなって思っています。
最後のメリットはこちら。
パートナーへの愛おしさが倍増する
このトリセツを読むと、不思議なことに妻への愛おしさがどんどん膨らんでいくんです。
なぜなのか?
それは、人の弱さを弱さとして規定せず、慈しむ対象として柔らかく表現しているからです。
早起きが苦手だとか、趣味を制限されたくないとか、嘘をつくなとか、違う場面でこういったことを言われたらムッとしたり、喧嘩になることもあると思うんです。
だけど、発売されたばかりのiPhoneを買ったら大切に扱いますよね。乱暴に置いたり、水に濡らしたりしないし、破損防止カバーをつけたりケースをつけるはず。
フタリノトリセツはまるで精密機器の取説のようです。
得意なこと、苦手なこと、充電方式、安全上のご注意、状況別対処法。これらがシステマティックに並んでいる。まるで新発売のiPhoneやMacBookのように。
だから、パートナーを壊れやすいものとして認知できるようになるんです。大切にしようと思えるようになるんです。
人の心もiPhoneのように壊れやすいとわかれば、誤って床に落とすことはないですよね。むしろ、肌身離さず大切にそばにおくはず。
それが思いやりなんです。
毎日飲む水のようにぼくらは当たり前にコミュニケーションを取っている。だけど、そこに含まれる思いやりに気がつくこともなければ、目を向けようともしない。
水の中に溶けてしまった粉薬は目に見えず、元に戻すこともできないから。
忙しすぎる日々がただ流れていくだけ。
だけど、このトリセツがあれば、ほんの少しだけでもぼくらの会話を豊かなものに、そして、ぼくらの思いやりを目に見えるものにしてくれる。そんな気がするんです。
よろしかったら試されてみてください。
この話はアツの夫婦関係学ラジオショートでもお話ししています。noteとは少し内容が違うので、通勤や家事のお供にぜひ聴かれてみてください。
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