
『私はgleeに出る!』ダンス好き少女が辿り着いたヘルシーリレーションシップとは?
「私はgleeに出る!」
14歳だった藤原紗耶さんはテレビドラマ「glee」を見たことをきっかけに、ハリウッドダンサーの夢を追いかけ始める。
高校留学、ダンス教室通い、大学留学、そしてついに夢のロサンゼルスへーー。
夢を追っていたはずの彼女がなぜカップルリレーションシップ業界で起業することになったのか?
驚きの半生に迫ります。
音声の方が得意な方はポッドキャスト「夫婦関係学ラジオ」を、テキストの方が好きな方はこちらの記事をお読みください。
Spotify https://x.gd/FwgCo
Apple Podcast https://x.gd/yC2vL
Voicy https://x.gd/HGcoM
YouTube: https://x.gd/NAVI1
アツ/鶴田敦彦
はい、前回の続きです。今回も「セキララカード」を販売する藤原紗耶さんにお越しいただいています。よろしくお願いします!
藤原紗耶さん
よろしくお願いします。
アツ/鶴田敦彦
今回は、藤原さんご自身のことについてお聞きしたいなと思っていて。子供のころから、いろいろ気になるタイプだったんですか? 「知りたい! 知りたい!」みたいな感じの。どんな子供だったんですか? 小さい頃って。
藤原紗耶さん
そうですね、踊るのが大好きでした!
アツ/鶴田敦彦
踊るのが大好き!
藤原紗耶さん
はい。それと、バレエ、クラシックバレエと陸上部を掛け持ちしてましたね。
アツ/鶴田敦彦
めっちゃ忙しそうですね、それ。
藤原紗耶さん
めちゃくちゃ忙しかったです。でも、やることが決まっていたので、親もあまり心配することはなかったと思います。「これがやりたい!」「これを頑張る!」っていう感じの子供だったので。
アツ/鶴田敦彦
めっちゃ素直な感じですね。
藤原紗耶さん
そうですね。
アツ/鶴田敦彦
親御さんも、あまり心配しなさそうなタイプだったんですね。
藤原紗耶さん
そうですね。勉強も、やればそれなりにできたので、特に厳しく言われることもなかったです。でも、中学3年生のときに……。
アツ/鶴田敦彦
うん?
藤原紗耶さん
アメリカのドラマ『glee(グリー)』にハマったんです。
アツ/鶴田敦彦
ああ、合唱部の学園ドラマ! 流行ってましたよね。
藤原紗耶さん
そう。『glee』がNHKで放送されていて、それを見たのがきっかけでした。それまで英語には全く興味がなかったんですけど、「私、『glee』に出たい!」って思ったんです。
アツ/鶴田敦彦
えっ、出たい!? ドラマに!? 目標がすごいですね。
藤原紗耶さん
そうなんです! そのためには英語とダンスが必要だなって思って。
アツ/鶴田敦彦
もっといろいろ必要だとは思うけど(笑)、でもその2つは確かに重要ですよね。
藤原紗耶さん
ダンスはすでにバレエをやっていたので続ければいい。でも、英語は全くやってこなかったから、「これはやらなきゃ!」と思って。そこで、京都にある英語科の高校に進学したんですけど……。
アツ/鶴田敦彦
うん? けど?
藤原紗耶さん
意外とレベルが低くて、「この高校に3年間いても英語ができるようにならないかも」と思ったんです。
アツ/鶴田敦彦
判断、早っ!(笑) そういう見切りのつけ方、すごいですね。
藤原紗耶さん
そうなんです(笑)。で、入学して1ヶ月で「ここは辞めよう!」って決めました。
アツ/鶴田敦彦
すごい決断力ですね。
藤原紗耶さん
「すぐに留学しないと! アメリカに行かなきゃ!」って思って、高校2年生のときに1年間アメリカに留学しました。
アツ/鶴田敦彦
それも『Glee』に出たいっていう思いが根底にあったんですか?
藤原紗耶さん
そうですね。『glee』に出たいとか、レディー・ガガのバックダンサーになりたいとか、そんなことを言ってました(笑)。
アツ/鶴田敦彦
めっちゃ夢が大きい!
藤原紗耶さん
でも、なぜか留学先に派遣されたのが、ノースカロライナ州のシャーロットっていうめちゃくちゃ田舎町で……。
アツ/鶴田敦彦
あっ、そういうことか(笑)。
藤原紗耶さん
「えっ、私、ハリウッド行くんじゃないの!?」って衝撃でした(笑)。
アツ/鶴田敦彦
田舎町だったんですね(笑)。
藤原紗耶さん
めっちゃ田舎町で、本当に家と学校を往復するだけの生活でした。街も栄えてないし、遊ぶ場所もほぼ友達の家くらいしかなかったですね。
アツ/鶴田敦彦
選べなかったんですね。
藤原紗耶さん
そうなんです。安めのプログラムで行ったので、留学先は選べなくて。
アツ/鶴田敦彦
なるほど、交換留学だったんですね。英語は身につきました?
藤原紗耶さん
英語だけはめっちゃ身につきました!
アツ/鶴田敦彦
目的のひとつは達成できたわけですね。
藤原紗耶さん
そうそう! それで帰国して、「よし、英語はOK!」って思って。高3の夏に帰ってきたんですけど、「次はダンスを極めて、またアメリカに行けばいいや」と思ってたんです。でも、親が大反対で……。
アツ/鶴田敦彦
元々反対だったんですか?
藤原紗耶さん
そうなんですよ。そもそも、うちの家族は全然インターナショナルじゃなくて、両親も英語を話せないし、海外=危険、みたいな感覚で。「アメリカなんて行ったら殺されるよ!」とかめっちゃ言われてました。
アツ/鶴田敦彦
なるほど、めちゃくちゃドメスティックな家庭ですね(笑)。そんな家庭なのに、なんで藤原さんみたいなタイプが生まれたんですか? 『glee』に出たい! みたいな発想、どこから来たんですか?
藤原紗耶さん
NHKが悪いんですよ(笑)。NHKが『glee』を放送してしまったせいで、ただ普通にテレビを見ていた子どもが、『glee』に出たいと思っちゃったんです。
アツ/鶴田敦彦
普通は「面白いな〜」で終わると思うんですけどね。なんで「私、あそこに行く!」って決めたんですか?
藤原紗耶さん
それまで、こんなに楽しそうなものを見たことがなかったんです!
アツ/鶴田敦彦
そんなに衝撃だったんですね?
藤原紗耶さん
はい! めっちゃ衝撃でした。「歌って踊ってパフォーマンスするのって最高じゃん!」って思って。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。
藤原紗耶さん
もともとバレエをやっていて、踊る楽しさは知っていたんですけど、それを「仕事として全世界に届けられる」っていうのがもう、「これだ!」って思ったんですよね。
アツ/鶴田敦彦
完全に運命の出会いだったんですね(笑)。
藤原紗耶さん
そうなんです! だから自分の中ではもう行くって決めてたんですけど、やっぱり親が反対したので、「このテストに受かったらいい?」って交渉したんです。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。
藤原紗耶さん
親は「絶対受かるわけない」と思ってたんでしょうね。「まあ、いいよ」みたいな感じでOKしてくれて。
アツ/鶴田敦彦
えっ、実際はどんなテストだったんですか?
藤原紗耶さん
英語の試験だったんですけど、合格ラインが75点で、私、75.4点だったんですよ!
アツ/鶴田敦彦
めっちゃギリギリ!(笑) 危なっ!
藤原紗耶さん
そう! でも一応受かったから、「ほら、言ったじゃん!」って親を説得しました(笑)。
アツ/鶴田敦彦
それでもまだ反対だったんですか?
藤原紗耶さん
めっちゃ反対されました。でも、「でも言ったよね? 受かったらOKって!」って押し切りました(笑)。
アツ/鶴田敦彦
頑張りましたね〜。
藤原紗耶さん
頑張りましたよ! で、行って帰ってきたら、また「アメリカの大学に行きたい!」って言い出したんで、親はもう「無理です」って(笑)。
アツ/鶴田敦彦
寂しかったんですね、きっと。娘がどんどん遠くに行っちゃうのが。
藤原紗耶さん
そうみたいです。「関西にいなさい!」って言われて(笑)。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。
藤原紗耶さん
で、仕方なく関西の大学に進学したんですけど、問題は、私、英語しかできなかったんですよ。
アツ/鶴田敦彦
あ〜、アメリカで過ごしてたから、日本の高校の勉強がすっぽり抜けている。
藤原紗耶さん
そう! 高2と高3の勉強が全部抜けてるから、入試の勉強はめっちゃ大変でした。
全然違うんですよ。日本の高校でやるような教科がなかったりするので。
アツ/鶴田敦彦
なるほどですね。それで?
藤原紗耶さん
だから、受験の方法としては英語のインタビューを受けて関西の大学に合格したんです。それが10月くらいに決まって、みんなより早めに進路が決まったので、ちょっと遊び始める余裕ができたんですよね。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。
藤原紗耶さん
そうそう。それで、大学入学までの半年間が空くことになったんですけど、その期間にクラシックバレエではなくて、ジャズダンスの師匠に出会っちゃったんですよ!
アツ/鶴田敦彦
ちょっと待ってくださいね。流れがよく分からないんですけど、クラシックバレエをやってて、英語入試が終わりました。そして、ジャズダンスの先生と出会いました……どこで出会ったんですか?
藤原紗耶さん
京都のダンススタジオ「DANCE ALIVE」っていうところです。その半年間、受験勉強もしなくていいし、高3の最後ってもう授業もあんまりないじゃないですか。だから、「せっかくだし、バレエだけじゃなくて他のダンスもやろう!」って思って、スタジオに通い始めたんです。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。それで?
藤原紗耶さん
せっかくだから、コンテンポラリーダンスとかジャズダンスとかヒップホップとか、今までやってこなかったジャンルもやろうと思って。で、ジャズダンスが得意な先生がいるスタジオに通い始めたら、その先生にめちゃくちゃ惹かれちゃって……。
アツ/鶴田敦彦
「この人に付いていこう!」ってなったんですか?
藤原紗耶さん
そう! もう完全に「この人だ!」って思って。そしたら、「私、大学行かなくていいや!」ってなっちゃって(笑)。親に土下座して、「ごめん、大学辞める!」って伝えて、そのスタジオに毎日通うようになりました。
アツ/鶴田敦彦
えっ、大学には行かずに? 専門学校とかでもなく?
藤原紗耶さん
そう。ただのダンス教室です(笑)。
アツ/鶴田敦彦
えぇ!? 何がそんなに良かったんですか、その先生は?
藤原紗耶さん
うん。やっぱり、やりたいことがアメリカのジャズダンスのジャンルだったんですよね。でも、日本ではそれをちゃんと教えているところってあまりなくて。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。ダンスの種類が違うというか、日本にはその環境がなかったんですね。
藤原紗耶さん
そうなんです。でも、私が通い始めたこのスタジオでは、本場のジャズダンスにすごく近いレッスンが受けられたんです。
アツ/鶴田敦彦
それって、目指してた「glee」の世界とも近かったんですか?
藤原紗耶さん
そうなんですよ! だから、「ここでレッスンをめっちゃ頑張れば、アメリカに行けるな」って思ったんです。
アツ/鶴田敦彦
なるほどね。自分のゴールと直結してるから、大学に行くよりも「こっちの方が早いじゃん!」ってなったわけですね。
藤原紗耶さん
そうそう! それで親に土下座して、「大学行かない!」って言ったら、「じゃあ、もう何も支援しません。交通費も出しませんし、生活費も出しませんよ」って言われて。
アツ/鶴田敦彦
うわぁ、親もだんだん諦めが入ってきた感じですね(笑)。
藤原紗耶さん
そう。「勝手にすれば?」みたいな雰囲気になってました(笑)。
アツ/鶴田敦彦
それで?
藤原紗耶さん
「よし!」と思って、「大学辞めます!」って決意して、入学式の3日前に進学をやめたんです。
アツ/鶴田敦彦
えぇ!? そんな直前に!?
藤原紗耶さん
はい。それで、ダンスとバイトの日々が始まりました。バイトは3つくらい掛け持ちしてましたね。
アツ/鶴田敦彦
アメリカに行くために?
藤原紗耶さん
そう。ダンスのレッスン代と、アメリカに行くための費用を貯めるために。
アツ/鶴田敦彦
すごいですね。よく倒れなかったですね、それ。
藤原紗耶さん
いや、夢があれば人って何でもできるもんですよ!
アツ/鶴田敦彦
でも、日本に住んでる普通の京都の女の子が、「glee」に出たいって思っても、現実的に考えたら難しいじゃないですか。なんでそこまで頑張れたんですか?
藤原紗耶さん
いい質問ですね(笑)。実は、日本人でアメリカのショービジネスの世界で活躍してる人がいたんですよ。沖縄出身の仲宗根 梨乃さんっていう方なんですけど。
アツ/鶴田敦彦
へぇ、実際にモデルケースがいたんですね?
藤原紗耶さん
そう! 彼女は21歳くらいのときにアメリカに行って、ダンサーとしてビザを取って、ブリトニー・スピアーズのバックダンサーとかをやっていたんです。
アツ/鶴田敦彦
おお、それは本当にショービジネスの世界ですね。
藤原紗耶さん
そう! だから、「行けるじゃん!」って思ったんです(笑)。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。同じように頑張って成功した人がいたから、「できないわけじゃないな」って思えたんですね。
藤原紗耶さん
そうです。それに、私はすでに英語が話せるようになっていたし、あとはダンスの技術を上げて行動するだけだったので。3年間ひたすら修行して、「よし、お金も貯まったし、ダンスも人並みに踊れるようになった!」ってなったので、ついにLAの大学に行くことにしたんです。
アツ/鶴田敦彦
おぉ、ついにアメリカへ! そのときは、大学に入学したんですか?
藤原紗耶さん
そうなんです。ダンサーとしてアメリカで活動するには、アーティストビザが必要なんですけど、それってすでにプロとして活躍してる人じゃないと取れないんです。私はまだ実績がなかったので、まずはアメリカに行くために、一番取得しやすい学生ビザを使いました。
アツ/鶴田敦彦
なるほど! ビザを取るために、まずは学生としてアメリカに行ったと。
藤原紗耶さん
そうです。それで、午前中は大学に行きながら、午後はダンススタジオに通って、オーディションを受ける、っていう生活をしていました。
アツ/鶴田敦彦
夢に向かってまっすぐ進んでいたんですね!
藤原紗耶さん
うん、ここまでは結構順調だったんですけど……。
アツ/鶴田敦彦
そうですよね。まさに「夢に向かって一直線!」って感じでしたよね。
藤原紗耶さん
そう。めっちゃ順調で、もう「ドリーム掴んでる!」みたいな雰囲気じゃないですか。でも、LAに着いてしばらくしたら、なんか燃え尽き症候群みたいになっちゃったんですよ。
アツ/鶴田敦彦
えっ、それはLAに着いた瞬間に?
藤原紗耶さん
いや、着いて半年くらい経った頃ですね。めっちゃダンスもやって、念願のハリウッドのダンスの先生のレッスンも受けて、「よし、これからオーディションだ!」っていう時期だったのに、急にダンスが楽しくなくなっちゃって……。
アツ/鶴田敦彦
えっ、なんで!? 夢が目前だったのに?
藤原紗耶さん
そうなんですよ。自分でも理由が分からなくて……。今までずっと「このために生きてきた!」って思ってたのに、「私、何してるんだろう?」って突然思っちゃって。親にどんな顔して帰ればいいんだろうとか、ジャズの先生のところにはもう戻れないなとか、いろんなことがぐるぐる回り始めて。初めて「どうしよう……」って悩んだんですよね。
アツ/鶴田敦彦
今までずっと「これしかない!」って進み続けてきたのに、LAに来て初めて迷いが生まれたんですね。
藤原紗耶さん
そうなんです。私、今まで「夢を持たないなんて信じられない!」ってタイプだったんです。周りの同級生とかは大学生になって「将来どうしよう……」って悩むじゃないですか? それを見て「なんでそんなに悩むの? 夢ないの?」って思ってたんですけど……まさに自分がその状態になっちゃって(笑)。
アツ/鶴田敦彦
まさかの「夢ハラスメント」してた側だったのに、突然自分が悩む側になった、と(笑)。
藤原紗耶さん
そう! 「これか、みんなが言ってたやつ……」って、初めて分かりました。
アツ/鶴田敦彦
で、その状態からどうやって抜け出したんですか?
藤原紗耶さん
ちょうどその頃、大学の授業は続けてたんですけど、その中で「ジェンダー学」の授業がめっちゃ面白かったんです。
アツ/鶴田敦彦
どんなことを学ぶ授業なんですか?
藤原紗耶さん
例えば、「あなた、細くならないといけないって思ってるでしょう?」とか、「肌を白くしないといけないって思ってるでしょう?」って先生に言われるんです。そして、「それ、全部メディアの洗脳です!」って(笑)。
アツ/鶴田敦彦
おぉ、なかなか強烈ですね(笑)。
藤原紗耶さん
そうなんです! 授業では、実際のCMを見せられて、「この広告はどうやって女性を洗脳しようとしてるでしょう?」みたいな話をするんです。「このビジネスモデル、女性に◯◯を買わせるためにこういうメッセージを植え付けてます」みたいな。
アツ/鶴田敦彦
へぇ、なんか学問というより、だいぶ思想強めな内容ですね。
藤原紗耶さん
そうなんですよね。LAは特にリベラル色が強い街なので、もう授業もめちゃくちゃリベラル寄りなんです(笑)。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。リベラルな環境で、偏りのある教育を受けてたと。
藤原紗耶さん
そう。でも、それを学んでるうちに、「あれ? 私も今まで、何も考えずに『細くなりたい!』とか『モテなきゃ!』とか思ってたけど、それって誰に言われたわけでもなく、ただ植え付けられたものだったのかも?」って思い始めて。
アツ/鶴田敦彦
おぉ、自分自身の価値観を疑い始めたと。
藤原紗耶さん
そうなんです。例えば、「恋愛では女性は受け身でいた方がいい」とか、「自分の意見をあまり言わない方がいい」とか、そういうのって、無意識にそうあるべきだと思い込んでたんですよね。でも、それも結局、「女性だから」っていう理由でそう思わされていただけだったんだなって気づいて……。
アツ/鶴田敦彦
まさに、今まで自分が悩んできたことの正体に気づいた瞬間ですね。
藤原紗耶さん
そう。「私、LGBTQの問題に興味がある」とか思ってたけど、結局、一番知るべきだったのは「自分自身のこと」だったんですよね。
アツ/鶴田敦彦
つまり、自分ごととして気づいたってことなんですね?
藤原紗耶さん
そうなんです。めっちゃ自分ごととして受け止めました。そこで一回「ワーッ!」と力が抜けたんですけど、そこから「じゃあ、次はどうしよう?」って考え始めました。もともとショービジネスには興味があったけれど、エンタメの中でも「歌って踊る」っていうよりは、社会問題や特にジェンダー問題を扱いながら、メディアを通じて発信していくことに興味を持ち始めたんです。
それで、フェミニストが作る映画とか、社会問題を気づかせるためのコメディショーとか、そういう作品にどんどん興味がシフトしていきました。
アツ/鶴田敦彦
なるほど、エンタメへの興味はずっとあったけど、表現方法が変わってきたんですね。
藤原紗耶さん
そうですね。でも、「やっぱりLAで就職したい」という気持ちはあったし、ダンサーじゃなくても、そういうプロダクションには関わっていたいと思っていたんです。だから、「LAで生きていこう!」と決めていたんですけど……コロナが来ちゃって。
アツ/鶴田敦彦
あぁ、そっか……。ちょうどその時期ですよね。
藤原紗耶さん
そうなんです。それで、就活もできないし、学校にも行けなくなってしまって。
アツ/鶴田敦彦
何もできない状態に……。
藤原紗耶さん
バイトもできないし、お金もなくなるし、もう「生きていけない!」って感じでした。
アツ/鶴田敦彦
やばい、まずいぞ……!
藤原紗耶さん
そう、それで京都の親に電話して、「あの……帰っていいですか?」って(笑)。
アツ/鶴田敦彦
そりゃそうですよね、コロナですからね。
藤原紗耶さん
そう、それで帰国して、オンライン授業で単位を取ることになったんですけど……。気づいたら卒業してました(笑)。
アツ/鶴田敦彦
えっ、どういうこと!?
藤原紗耶さん
アメリカの大学って、単位を取れば卒業できるシステムなんですよ。日本みたいに「卒業は〇月」って決まってるわけじゃなくて、人それぞれなんです。だから、ある日、「次の授業何かな?」って思って確認したら、「あなたはもう卒業しています」って……(笑)。
アツ/鶴田敦彦
えっ、卒業証書が突然届いたってこと!?
藤原紗耶さん
そう! で、「やばい! 就活の仕方、日本でもアメリカでも知らないのに、いつの間にか社会人になっちゃった!」ってなって(笑)。
アツ/鶴田敦彦
なるほど、第2の迷い期が始まったんですね。
藤原紗耶さん
そう! でも、とりあえず英語はまだ使えるから、「英語を活かせる仕事を探さないと」と思って、英語関連の仕事を始めたんです。それが、今も続いているYouTubeの仕事や、英語のオンライン教材制作に繋がっています。
アツ/鶴田敦彦
へぇ~、そうなんですね!
藤原紗耶さん
そうそう。今やっている英語のオンライン教材の仕事って、もともと私がコロナで「何も稼げない!」って状況の中で、食らいついた仕事なんですよ。
アツ/鶴田敦彦
すごいなぁ! それって、どんなふうに仕事を見つけたんですか?
藤原紗耶さん
本当にシンプルで、「オンライン 英語 仕事」って検索して見つけました(笑)。
アツ/鶴田敦彦
えっ、そんな感じで見つかったの!?
藤原紗耶さん
そうなんです。それで、たまたま見つけた会社が「英語のオンライン教材を販売したい」と思っていて、「じゃあ、私が教材を作ります!」って感じで仕事を始めたんです。
アツ/鶴田敦彦
なるほど! じゃあ、藤原さんはコンテンツを制作して、その会社が販売するっていう仕組みなんですね?
藤原紗耶さん
そうです! 私は売り方が分からないので、販売はその会社にお任せしてます(笑)。
アツ/鶴田敦彦
その会社って、もともとオンラインコンテンツを販売してる会社なんですか?
藤原紗耶さん
そうですね。いろんなオンラインコンテンツを扱っている会社の一つとして、英語の教材を販売したいっていうニーズがあったみたいで。で、私はたまたまそこにハマった、という感じですね。
アツ/鶴田敦彦
すごいなぁ。何もない状態から、ちゃんと仕事に繋げるのがすごい。
藤原紗耶さん
必死でしたからね(笑)。
アツ/鶴田敦彦
それで、オンライン教材を作りながら、YouTubeで英語学習のコンテンツも作り始めたんですね。
あれって広告収入とかのためなんですか? それとも別の?
藤原紗耶さん
あれは広告収入というより、興味を持ってくれた人がオンライン教材に流れるような仕組みになっています。
アツ/鶴田敦彦
なるほど、スマートですね。
藤原紗耶さん
ほぼほぼ、あれが広告みたいな感じですね。
アツ/鶴田敦彦
プロモーションのためにやってるんですね。
藤原紗耶さん
そうそう。
アツ/鶴田敦彦
そういうことだったのか。
藤原紗耶さん
それで、やっと生活費を稼げるようになったんです。やっと社会人として安定した感じですね。
アツ/鶴田敦彦
それはよかったですね!
藤原紗耶さん
そう。でも、やっぱりアメリカで受けたジェンダーに関する衝撃や、自分自身の「生きづらさの解放」みたいな問題は、まだ完全には整理できていなくて……。
アツ/鶴田敦彦
やっぱり、あの講義を受けたときの衝撃が強く残ってるってことですね?
藤原紗耶さん
そうですね。でも、やっぱりお金を稼げないと、「明日何を食べよう?」とか「どうやって生きていこう?」みたいな、生きることに直結することしか考えられなくなるんですよね。社会問題とかを考える余裕がなくなるというか。
アツ/鶴田敦彦
そうですよね。まず生活しないといけないですもんね。
藤原紗耶さん
そう。それで、最初の1年くらいはジェンダー問題とか社会問題を考える余裕がなくて、とりあえず自分が生きることに必死でした。
でも、収入が安定してきて、自分の精神的にも落ち着いてきたときに、「やっとやりたいことができそうだ」と思ったんです。
アツ/鶴田敦彦
つまり、ある程度稼げるようになって、ようやく本来の目的に向かって行動できるようになったと。
藤原紗耶さん
そうです!
アツ/鶴田敦彦
すごいなぁ、波乱万丈すぎる(笑)。
藤原紗耶さん
ほんとに、「よかった!」って感じです(笑)。
アツ/鶴田敦彦
そこから、「何がしたいか」を考えたわけですね?
藤原紗耶さん
そうです。それで、いろんなジェンダー関連の団体やLGBTQ支援のNPO法人とかを調べてみたんですけど、そこで感じたのが、「意識の高い人たちだけが話している場になっていて、一般の人たちが参加できていない」ということだったんです。
アツ/鶴田敦彦
つまり、大衆を見ていない?
藤原紗耶さん
うーん、見ていないというか、「交わっていない」んです。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。先鋭化された意識の高い人たちが、同じ価値観の中で議論してるけど、実際の社会にいる普通の人たちとは繋がっていない、ということですね?
藤原紗耶さん
そうなんです。
たとえば、家庭内の問題も、実はジェンダー問題の一部かもしれないのに、多くの人はそれを「社会の問題」として認識する前に、自分で何とかしようとしてしまうんですよね。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。「これは社会全体の問題だ」と気づく前に、自分の個人的な問題として処理しようとしてしまう、と。
藤原紗耶さん
そう! でも、本当は「みんなの問題」なんです。
だから、「もし自分が何かするなら、もっと全体を巻き込めるものがやりたい」と思ったんです。もちろん、啓発活動も大事だし、意識の高い人たちがやっていることも大切なんですけど、私はもっと大衆に届く形でやりたくて。
だから、「ハードルを下げた形で伝えるにはどうすればいいんだろう?」って考えました。
アツ/鶴田敦彦
たしかに、いきなり「ジェンダー問題を語ろう!」って言っても、あまり多くの人は興味を持たないかもしれませんね。
藤原紗耶さん
そうなんです。フェミニズムの話をすると、「また過激なことを言ってる」と思われてしまったり……。
アツ/鶴田敦彦
たしかに(笑)。
藤原紗耶さん
だから、「どうやったら自分ごととして考えてもらえるか?」って考えたときに、私は「恋愛」に着目したんです。
アツ/鶴田敦彦
恋愛?
藤原紗耶さん
そう。恋愛の中での「女性の役割」とか、「受け身でいること」とか、「相手を立てること」とか。
アツ/鶴田敦彦
いわゆる、「恋愛における女性のポジション取り」みたいな?
藤原紗耶さん
そうです! 本当はやりたくなかったのに、「女性だからこうするべき」と思い込んでしまっていたことがたくさんあって。
たとえば、相手の意見に無理に合わせたり、望んでいないのにセックスに応じてしまったり……。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。それって、自分の問題だと思っていたけど、実は社会全体の課題だった、って気づいたわけですね。
藤原紗耶さん
そう! それで、「まずは恋愛について考えよう」って思ったんです。
だって、一番身近な人と話すことで、「あれ? これって社会の問題かも?」って気づくことができるかもしれないじゃないですか。
アツ/鶴田敦彦
なるほどね。直接「これが問題です!」って押し付けるんじゃなくて、本人たちが気づけるようにする、と。
藤原紗耶さん
そう。でも、「ジェンダーの話しましょう!」って言っても、誰も聞いてくれないし、真面目な対話カードとか作っても興味を持ってもらえない。
アツ/鶴田敦彦
たしかに、テーマが重すぎると入りにくいですね。
藤原紗耶さん
最初は、もっと価値観とか仕事とか、いろんな自分の話をするためのカードにしようと思っていたんです。でも、ただの真面目な対話カードだと誰も手に取らないと思ったので、カップルがいちゃいちゃしながら楽しめるようなゲームにしたんですよね。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。でも、本来の目的は「固定観念からの解放」だったんですね。
藤原紗耶さん
そうなんです。でも、やっぱり「対話カード」として売ると真面目すぎて誰も買ってくれない。
アツ/鶴田敦彦
たしかに。「面白くなさそう」って思われちゃいますよね。
藤原紗耶さん
そうなんですよね。だから、もっとハードルを下げて、大衆向けに作ったのがこのカードゲームなんです。
アツ/鶴田敦彦
めちゃくちゃ考え抜いて作られてたんですね! ただのカードゲームかと思ってたけど、まったく違いましたね。
藤原紗耶さん
実は、私の何十年分の思いがこのカードに詰まってるんです。
アツ/鶴田敦彦
まさに集大成ですね!
藤原紗耶さん
そうなんです。これを見れば、私が今まで何を考えてきたのか、よくわかると思います。
アツ/鶴田敦彦
確かに、それが形になったものなんですね。
藤原紗耶さん
そう。それを作ったのがちょうど1年前で、今に至るという感じです。本当にありがとうございます。
アツ/鶴田敦彦
いや、こちらこそありがとうございます!
紗耶さんの中で、今まで縛られていたジェンダーの概念とかは解放されてきた感じなんですか?
藤原紗耶さん
はい、かなり解放されましたね。
アツ/鶴田敦彦
どうやって解放したんですか?
藤原紗耶さん
本当に恋愛が苦しかったんです。それは「男性の下に立たなきゃいけない」という思い込みのせいでした。自分が望んでいないことでも、「しなければならない」と思い込んでいたんです。
そんなに極端に下に立つというわけではなくても、例えば男性におごってもらったら、そのお返しに何かしなきゃいけないんじゃないかと考えたり、相手を持ち上げるために「すごいね!」と無理に褒めたり。
本当は嫌だと思っていることでも、相手が望むなら「やりたくない」と言わずに飲み込んでしまったり、「重い」と思われるのが嫌で、将来の話や真面目なことを話すのを避けたり……。
そうやって自分の気持ちを押し殺して我慢していたのに、結局うまくいかないことが多くて。
でも、ジェンダーやコミュニケーションについて学ぶうちに、「話すことが大事」という考えに出会って。「今のパートナーには、最初から自分を出してみよう」と決めました。
アツ/鶴田敦彦
あえて、自分をさらけ出すことをやってみたんですね。
藤原紗耶さん
そう。今までの恋愛では、我慢ばかりしてきたのに、うまくいかないことばかりだったから。
アツ/鶴田敦彦
「自分を出す」って、具体的にはどんなことをしたんですか?
藤原紗耶さん
例えば、「これ、めっちゃ嫌!」ってハッキリ言うようにしたり。
アツ/鶴田敦彦
嫌なことは、ちゃんと「嫌」って伝える。なるほど。
藤原紗耶さん
そう。したくないことは「したくない」と言うとか、「このことについて話したいんだけど」って素直に伝えるとか。
それまでは、例えば「私たちってどういう関係?」とか「私、あなたと付き合いたい」っていうことも言えなかったし、「結婚したい」と思っても、口に出せなかった。
でも、そんなふうに我慢していても、結局振られたり、逃げられたりして、すごく傷つくことが多かったんですよね……。
アツ/鶴田敦彦
それはつらかったですね……。
藤原紗耶さん
本当に、悲しかった。
アツ/鶴田敦彦
良くない方向に行っちゃったって言ってましたね。
藤原紗耶さん
そうなんです。
アツ/鶴田敦彦
なんで今のパートナーには素直に言えたんですか?
藤原紗耶さん
私はもう「諦めた」っていうのがあって。
アツ/鶴田敦彦
諦めた? 何を?
藤原紗耶さん
我慢することを。
アツ/鶴田敦彦
我慢することを諦めた?
藤原紗耶さん
そう。我慢してもうまくいかないなら、我慢するのをやめようって。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。我慢に意味がなかったと。
藤原紗耶さん
そう。どうせ後から「嫌だ」って言われるなら、最初から自分を出して、「いいね」って思ってくれる人とだけ付き合えばいいやって。
もうあんなに傷つきたくない、っていうのがあって。
だから今のパートナーに出会ったとき、全部をさらけ出したんです。今までの恋愛のこと、振られまくった話、「重い」って言われ続けたこと、そして女性として受け身で生きてきた話……全部話して、「これが私です。どうします?」って感じで(笑)。
アツ/鶴田敦彦
今のパートナーは、その姿勢を素敵だなって思われたんですね。
藤原紗耶さん
そうですね。「いいね」ってなって、意外と交際がうまくいったんです。
アツ/鶴田敦彦
いい関係が築けたんですね。
藤原紗耶さん
そうなんですよ。それがきっかけで、最初から素直に話せる関係を作れたので、今はすごくいい感じです。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。それがあって、今の考え方に至ったんですね。
藤原紗耶さん
そうですね。
アツ/鶴田敦彦
これから会社としても活動されていますよね。この会社を今後どうしていきたいと考えていますか?
藤原紗耶さん
人と人との関係って、努力して築くものだと思っていて。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。
藤原紗耶さん
「夫婦ってそんなもんだよね」とか「人間関係は自然とできるもの」って諦めがちだけど、そうじゃない。
例えば、体の健康のために運動したり、バランスの良い食事を心がけたりするのと同じように、人間関係も努力して築くものなんです。
アツ/鶴田敦彦
確かに。
藤原紗耶さん
だから、自分の幸せのために「ちょっと頑張ってみませんか?」っていうメッセージを発信していきたい。
でも、そういう話を真面目に語っても、なかなか興味を持ってもらえないから、ハードルを下げるツールも一緒に作っていきたいんです。
「会話が大事」と言われても、実践するのは難しい。だから、「このカードを使えばいいよ!」っていうツールをどんどん開発していきたいと思っています。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。より良いコミュニケーションのためには会話が必要で、でもそれには努力が要る。だから、それをサポートするためのツールとして、対話カードを作られているんですね。
藤原紗耶さん
そうですね。
アツ/鶴田敦彦
このカードには英語も書いてありますが、海外展開も考えているんですか?
藤原紗耶さん
はい、海外でも発売していきたいです。今は日本だけですが、国際カップルの方々にもすごく使われています。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。
藤原紗耶さん
「すごく便利で助かる」と言ってくれる人が多いです。
アツ/鶴田敦彦
異文化コミュニケーションのツールとしても使われているんですね。育った環境が違うと、価値観のギャップもありますし。
藤原紗耶さん
そうですね。それに、言語の壁があって、深い話をしにくかった国際カップルも多いんです。
でもこのカードは、日本語と英語の両方が書かれているので、「こういう質問ね」ってお互いに理解しやすくて、深い話をしやすくなるみたいです。今まではそこまで話せなかった人たちが、このカードをきっかけに対話を深めてくれています。
アツ/鶴田敦彦
なるほど。他の国にも展開していく予定なんですか?
藤原紗耶さん
アジアで展開したいなと思っています。
アツ/鶴田敦彦
中国、韓国、マレーシア……
藤原紗耶さん
シンガポール、タイとかですね。
アツ/鶴田敦彦
いいですね。楽しみにしています! 今回はありがとうございました。
藤原紗耶さん
ありがとうございました。
***
📮夫婦関係の悩みを解決するヒントを毎週お届け
🎯 「パートナーが変わった」と好評の本質テクニックを配信中
👉 【今すぐ無料登録】→夫婦関係学ニュースレター
💡 夫婦関係学ニュースレターとは?
コミュニケーション問題だけではなく、夫婦のすれ違いや葛藤を乗り越えるための学びを発信!
今なら無料で 🎁 『こじれた夫婦関係を改善するロードマップ』をプレゼント!
👇 【こちらから受け取る】
「夫婦関係、もっとラクにしたくないですか?」
💡 妻とのすれ違いを減らし、心地よい関係を築くためのヒントを本にまとめました! ✍️
👇【Amazonで今すぐチェック】
夫婦関係に悩む方向けに個人相談に乗っています。
☎️単発のご相談はこちら
※半額クーポン:370wy6aj4rd
💬毎月のご相談はこちら
💪妻の不倫、セックスレスなど逆境に直面されている方向けの集中コースはこちら(人数限定)
📻ポッドキャスト『夫婦関係学ラジオ』
Spotify:https://x.gd/3gelE
Voicy:https://x.gd/lLTMp
Apple Podcst:https://x.gd/dDElv
Amazon music:https://x.gd/z09VH
YouTube:https://x.gd/IQqlU