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あはたの妻が話し合いに応じてくれない根本的な理由とは?
夫婦関係が悪くなってしまい、妻と話し合いがしたいのだけどいっこうに応じてくれない。
気がつけばケンカになり、話し合いどころではなくなってしまう。
そんな経験はないでしょうか?
ぼくは夫婦関係を改善させるためには、夫婦ふたりがお互いの気持ちや願望を伝え合うことができさえすればいいと思っていました。
でも、何人もの方のお話を聞いてそんな単純なものではないことに気が付いかされたんです。
夫婦が冷静に話し合いができない原因はなんなのか?
それは夫婦のどちらかのトラウマが原因なんじゃないのかなと思っています。
そのトラウマを溶かさない限り、話し合いのステージには上がれないということを最近では感じています。
夫婦のトラウマとはなにか?
なぜ、トラウマが夫婦の話し合いをさまたげるのか?
今日はそのことについて書こうと思います。
妻は書けないんじゃない。書きたくなかったんだ。
「妻になにを言っても、『わたしにもどうしようもない』と言うんです」
「『だって、こうなってしまうから。これが私だから。』と言われて、冷静な話し合いをすることすらできないんです」
妻との関係に悩む方たちに「世帯経営ノート」と呼ばれる夫婦会議改善ツールをすすめたところ、何人かの方たちからこのように言われたことがありました。
世帯経営ノートは、夫婦が対話を重ね、夫婦関係改善のために自然と行動が取れるよう設計された素晴らしいツールだとぼくは思っています。
でも、実際に妻との関係に悩む男性にこのノートをすすめても、妻が書いてくれないという問題が起こったんです。
ぼくはなぜ相談者さんの妻がこのノートを書いてくれないのか、よく分からなかったんですね。
話し合いができないなら、話し合いができるようになるためのツールを使えばいいだけであって、うまく言語化できないなら、このノートに書かれている質問に答えればいいだけだから、誰にでも簡単にできるはずだと。
でも、違ったんです。書けないんじゃないんです。書きたくないんです。
その女性たちは、「書きたくなかった」んです。
夫と一緒になにかをしようと思えるほどの親密さがなかったんです。
もっと言うなら、夫のことを許したくなかったんです。
(あんな仕打ちをしておいて、いまさら夫婦関係をどうこうしようなんて調子が良すぎるんじゃないの?)
彼女たちの心の声を言語化するならば、おそらくこういうことだったんだと思います。
安心感がない限り、話し合いは行えない。
夫婦がお互いの関係改善のために行う話し合いというものは、ふたりが親密な状態でなければできないものだったんです。
これならばどんな夫婦も関係改善できると思っていた。
— アツ (@atsuatsu) March 5, 2022
それは半分当たりで半分外れだった。
夫婦会議ができる関係ならば抜群の効果を発揮する。
だけど、このノートを開くことすらできない関係の夫婦がいることをぼくは分かっていなかった。#世帯経営ノート #夫婦会議https://t.co/BKnW79NUdW
そして、ふたりが親密な関係になれない理由は、夫婦どちらかのトラウマによるものが大きかったんです。
ワンオペ子育てで死にそうな思いをしているときに、夫に手を差し伸べても助けてくれなかった。
夫婦のどちらかによる過去の浮気が、どれだけ時間が経っても暗い影を落としている。
心理学者スー・ジョンソンの著作「わたしをギュッと抱きしめて」の中では夫婦のトラウマについてこう表現されています。
支えの欠如は、それほど大きくない何百ものポジティブな出来事を覆い隠し、その人に対する安心感を一挙に打ち砕いてしまう。
その破壊力は「わたしが苦しんでいる時に支えになってくれますか?私の苦しみを心配してくれていますか?」という永遠の問いに対する、焼けつくような否定の答えのなかにある。
「焼けつくような否定」という言葉がとても印象的ですが、実際に妻との関係に悩むかたたちのお話を聞いてみると、妻からの強い拒絶反応の出どころは夫からの「焼けつくような否定」の中にあるんだなということを強く実感できたんです。
夫に対して安心感を感じることができない。信頼することができない。
口には出さなくても、心のどこかではそう思っている。
自分でも気がつかない「夫への焼けつくような不信感」がある限り、妻は話し合いに応じてくれないんです。
なぜ、夫への不信感はなくならないのか?
なぜ、妻の夫への不信感はなくならないんでしょう?
子育てで大変だったのは何年も前のことなのに、浮気が発覚したのは何年も前なのに。
ぼくは思うんですが、誰かをまた信頼するよりも警戒し続けた方が楽なんだと思うんですね。
生物としては、「こいつは危険」というアラートを鳴らし続けて、その人との関わりを避けておいた方が生き残る確率が上がるわけですから。
わざわざライオンと友達になろうとするシマウマはいないですよね?
過去のトラウマによって夫を避け続ける妻というのは、夫に対して警戒信号をずっと出し続けているんだと思うんです。
そんな人に対して「冷静に話し合いをしよう」と言っても、さらに警戒をされるだけですよね。
ライオンが冷静に話し合いをしようと言ってきても、シマウマは過去に襲われたことを思い出して打ち解けることはきっとないですから。
夫への不信感はどうやったら消えるのか?
妻からの不信感をなくすことは、素人では対応が難しいと思います。
優秀な臨床心理士さんの力を借りながら、ふたりが過去の傷に向かい合っていくのが、やはりいい方法だなと思うんです。
ぼくの知り合いでも実際に関係性が改善しつつあるのは、ふたりで心理士さんのところに通われている方なんです。
臨床心理士さんのところに通われている方のお話を聞くと、夫婦ふたりがお互いへの安心感を少しづつ築いていくことで、徐々に親密さが増していき、相手に対して心を開いていけるようになるんだなということを、しみじみと実感するんです。
ぼくらのような素人でもできることといえば、そういった「夫婦のトラウマ」が夫婦関係を負のループに巻き込むことがあるってことを知っておくことだと思うんですね。
夫婦のトラウマについてはポッドキャストでも触れていますので、合わせて聴いていただけるとより分かりやすいかなと思います。
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夫婦関係に関するポッドキャストをやっています。ご夫婦で聴いていただけると、ものすごく嬉しいです。