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モラハラ加害者と被害者はなぜ分かり合えないのか?
パートナーのモラハラをやめさせたいけど、どうしたらいいかわからない。
そもそも、いったい何が原因なの?
と思い悩んでいる人も多いと思います。
加害者当事者会GADHA代表 中川さんとのお話、そしてぼくが運営する女性向けコミュニティでの会話から少しだけわかってきたことがあります。
それは、モラハラ加害者心理の理解。
「加害者への理解なんて何いってんの?」と思われるかもだけど、原因がわからなければ対策もできないわけで、ぼくはかなり重要だと思っています。
モラハラの発生原因はちょっとフクザツ。
モラハラ発生原因のひとつは人格障害です。加害者当事者の会GADHAの中川さんもご自身を振り返り「自己愛性パーソナリティ障害」だったとおっしゃっています。
自己愛性パーソナリティ障害の特徴はこちら。MSDマニュアル(医学辞典)から引用します。
・自己愛性パーソナリティ障害の患者は自分の能力を過大評価し、自分の業績を誇張し、他者の能力を過小評価する傾向があります。
・自己愛性パーソナリティ障害の診断は、自分の重要性と才能についての誇大な、根拠のない感覚、無条件に賞賛されたいという欲求、特権意識などの特定の症状に基づいて下されます。
・基礎にある葛藤に焦点を当てた精神療法が役立つことがあります。
自分を高く評価するけど、人のことは低く見る傾向が強いってことですね。そして、原因は自尊心にあるようです。
自己愛性パーソナリティ障害の患者は、自分の価値を過大評価しています(これを誇大性といいます)。また患者は自尊心に問題を抱えています。優越感や自尊心を高めるために、患者は以下のことをします。
・特別な人物と関わる
・優れた機関との関わりをもつ
・他者を低く評価する
また患者は賞賛されることを望みます。
すぐれた人物や機関と関わるのを好んだり、賞賛されることを望むとのこと。エリート層に隠れモラハラが多いと言われますが、まさに当てはまります。
「妻との関係を改善したい(ちょっと亭主関白気味)」とぼくに相談をされる方にもハイスペビジネスマンや経営者の方が多いです。彼らが自己愛性パーソナリティ障害というわけではないですが、そういった気質をうっすらと抱えていてご自身でもなんとなく気が付かれているケースが多いです。
(家族を支えるために必死で仕事に専念した結果、そういった気質を抱えることになったケースも)
集団の6%は自己愛性パーソナリティ障害の可能性があり、男性に多いそうです。男性比率の多い大企業とか6%超えてるかもですね。
じゃあ、なんでこういった障害を抱えることになるのか?
そこには遺伝と環境の要因があるようです。ふたたび、MSDマニュアルから引用です。
遺伝子と環境要因が自己愛性パーソナリティ障害の発症に関わっている可能性があります。
ある理論は、養育者が、子どもが安定した自己感覚を発達させるのに役立たない形で子どもとふれあった可能性を示唆しています。
例えば、過度に批判的であったり、過度に子どもを賞賛、称揚、または甘やかしたりしていた可能性があります。
自己愛性パーソナリティ障害の患者には、特別な才能や能力をもっていて、自己像や自己感覚を他者からの賞賛や尊敬と結びつけるのに慣れている人もいます。
GADHAの中川さんは、幼少期に親から褒められたことがあまりなかったそうです。「過度に批判的」というのは当てはまりますね。
ぼくの知り合いのモラハラ男性(妻へのケアに興味がない)は、幼少期に親からめちゃくちゃ甘やかされて育ちました。「過度に子どもを賞賛、甘やかす」という点にドンピシャです。
特別な才能や能力(学力、運動神経など)を持っている子どもが厳しすぎるか甘すぎる親に育てられた場合に、モラハラ夫が生まれる可能性が高い。
と言えそうです。
ただ、これってちょっとむずかしい話ですよね。
「うちの夫、自己愛性パーソナリティ障害でさ」
「あー!わかるー!うちもうちもー!」
とはならないじゃないですか。一般的な用語じゃないし、簡単な話じゃないですよね。
それよりも、「うちのモラハラ夫、まじクソ」とかつぶやいている方が共感得られるし、SNSで負の共感を得られると少し気持ちが楽になったりするんですよね。夫の態度は変わってないし、どうしたらいいかはわからないままだけど。
モラハラ発生原因の難しさが、加害者と被害者のわかりあいの邪魔をする一つの要因かなあって思っています。
もう一つの原因は被害者の心の傷の深さです。
心の傷の深さが加害者への理解を遠ざける
モラハラを受けると自己肯定感がめちゃくちゃ落ちたり、孤立感を強く感じたりしますよね。誰かを思いやるとかそんなことできなくなるし、モラハラする当事者を「理解」できないのは当然です。
夫への嫌悪が強まるし、ここから逃げなきゃという気持ちにもなるし、夫に近づこう(理解したい)という気持ちより、離れたいという感情が強くなる。
今まで受けてきた心の傷が深すぎますから、そうなってしまうのは当たり前だと思います。
そうなると、SNSというネガティブ感情発生装置に引き込まれやすくなるんですよね。Xにはモラハラ夫への負の怨嗟が渦巻いてますから、自分の感情もそこに引っ張られ、どんどん夫から気持ちが離れていきます。
じゃあ、どうすればいいのかですが自分たちを客観視する必要があると思うんです。
なかなか一人では現状を冷静に見れないので、誰か信頼できる人に話をしてみたり、前向きな人が多いコミュニティに入ってみるとかがいいかなと。
昨日の記事のAさんも前向きな女性が多いコミュニティに入っており、そこで友人にモラハラ相談をしていたそうです。
それから、人格障害じゃないケースですが、長時間労働とか仕事でのストレスがきつすぎてモラハラ気味になるケースもあります。
こないだある人から聞いた話ですが、職場に緊急医療従事者から電話がかかってきてものすごいパワハラ全開トークだったそうです。
上の記事のAさんも「夫は仕事の疲労がたまって怒りやすくなっていた」とおっしゃっていました。
まとめると、モラハラをなくすには原因を突き止める必要があり、その原因を夫婦が一緒に探ることができるとうまくいくのかもしれません。
ハードルは高めだけど、不可能ではないかもと思っています。
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