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浮気をしたパートナーにどうか知っておいて欲しいこと。

「謝って欲しいわけじゃないんです。ただ、この傷ついた気持ちに寄り添って欲しいんです」

パートナーに浮気をされた人からお話を聞くことが多いのですが、相手に求める対応を得られないことが多いなと感じています。

”浮気をした側”は、浮気が発覚し、謝罪をし、関係性を再構築していくことをお互いに同意したならば、すべてが終わったと思っていることが多いです。

もう前を向いて歩いていこうと。

だけど、”浮気をされた側”としては、そんな単純な話ではないんですよね。

何度も当時のことを思い出して、辛い気持ちになることがあるはずです。スイッチを切り替えるように、気持ちをパッと切り替えることなんてできないんです。

今日は、”浮気をした側”の人に知っておいて欲しいことを書こうと思います。

”浮気をされた側”が、どのような気持ちを抱いてパートナーと接しているのか、それがわかれば夫婦関係改善のスピードが上がるんじゃないかなと思っています。


繰り返されるフラッシュバック

浮気をする人にとって、浮気はとても簡単な体験だったと思います。ヒョイっと目の前の柵を乗り越えるように簡単にできたと思います。

お金や時間はかかったと思いますが、相手もそういった行為を望んでいるのならふたりを妨げるものはなく、欲望のまま、その行為ができたんだと思うんです。

ぼくが呉服屋で働いていたとき、枕営業をしている男性の同期がいました。1日に何人もの女性客とそういった行為をしていましたが、彼がその行為をするとき、なんの抵抗もないようにみえたものでした。

別の同期は既婚女性のお客さんと恋愛関係になり、その方の夫から会社に連絡が入り、彼はクビになりました。

”する側”にとって、それはとてもシンプルな行為だったんだろうと思います。

夫婦関係がうまくいっていなかったならば、自分の行為の原因を夫婦関係の破綻と結びつけ、正当化しようとする人もいます。

もしくは、パートナーとの話し合いにおいて、関係性をやり直していく決断をしたならば、”浮気はもう過去のことであり、自分は生まれ変わった”と感じる方もいます。

だけど、”浮気をされた側”にとっては、そんな単純な話ではないんです。

求めてもいないのに、脳が当時の辛い記憶を何度もリピート再生させるんです。

パートナーがひとりで出かけるとき、帰りが遅いとき、スマホを見て笑っているとき、当時の辛い記憶が一気によみがえってくるんです。

パートナーの浮気というとても辛かった出来事が、人生のなかでもっとも辛かった出来事が、なんどもなんどもフラッシュバックするんです。

これは、トラウマなんです。

浮気をしたとかされたとか、そんな気軽な言葉でくくれない、くくってはいけない大きな心理的問題なんです。

心に深い傷を負わされたトラウマなんです。

傷つきの体験からの回復には時間がかかる

”浮気をした側”としては、関係性を改善すると決めたのなら、もう後ろを振り返りたくないと感じていると思います。

確かに自分は悪いことをした。許されないことをした。

だけど、夫婦関係を再構築しようと決めたじゃないか?

いつまでも過去を振り返っても意味がない。前を向いていかないと。

起こってしまった過去は変えられないのだから。

そう思っていることと思います。

ですが、過去を後ろにおいて前に進むとき、傷ついたパートナーの心も後ろにおいてきてしまっているんです。

トラウマを抱えるパートナーの心を無視して、ひとりで勝手に前に進んでいるように見えるんです。

”浮気をされた側”としては、そんな簡単に自分の気持ちをなかったことかのように扱って欲しくないんです。

だったらどうしたらいいんだと思うでしょう。

起こってしまった過去は変えられない。自分は反省している。きちんとパートナーに向き合っている。これ以上いったいどうしたらいいんだと。

ですが、パートナーが求めていることは、深く反省を繰り返すことや前を向いて歩いていくことだけではないんです。

前を向きたくても向けないんです。

思い出したくなくても思い出してしまうんです。

大切なパートナーからまるで透明人間のような扱いを受けたことを、自分にはなんの価値もないと思わされてしまった体験をなんども思い出してしまうんです。

”浮気をされた側”が過去を忘れることはないんだと思います。それだけ深い傷つきの体験だったんですから。

パートナーのトラウマに向き合う

忘れることはないのですが、その傷を浅くすることはできます。

時間をかけて少しづつ心の傷を浅くし、フラッシュバックの頻度を抑えられるようになっていきます。

だから、”浮気をした側”の人には、どうかその過程に寄り添って欲しいんです。

自分のパートナーは深い傷つきの体験を抱えていて、心理的外傷(トラウマ)を負っている。

目には見えないけれど、実は身体中から血を流している。大量出血をすれば人は死にますが、心が大量の悲しみを抱えていても同じように命に関わります。

浮気をされたあなたのパートナーは、あなたにこれ以上謝って欲しいわけでもなく、ただ同じ時間を一緒に過ごして欲しいわけでもないんです。

傷ついたこの心に寄り添って欲しいと感じているんです。

悲しみの涙と血が流れるこの気持ちを、どうか自分と同じように感じて欲しいんです。

自分がどういった気持ちでパートナーと接しているのか、自分が感じるこの感情を同じように感じて欲しいと願っているんです。

”浮気をした側”の人間にとっては、自分が傷つけた傷を見せられることになるので、耐えられないと感じることもあるかもしれません。

ですが、その傷ついた心に二人で向き合い、寄り添い合うことで、時間をかけて少しづつその傷は癒されていくのだと思います。

そして、その行為こそが、あなたのパートナーがあなたに求めていることなんじゃないかと、ぼくは思うんです。



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