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ぼくら夫の口数が少ない理由と、妻との会話は言葉のキャッチボールではなく“感情のキャッチボール”だったという話
「ねぇ、なに考えてるの?」
「黙られてたら寂しいんだけど?」
ぼくはハッとして妻を見上げた。
妻は不満があるというよりも、寂しそうな目で、じっとぼくを見つめていた。
また、やってしまった。
ぼくはついつい、妻の言葉に適当な相槌を打って、妻を困らせてしまうことがある。
相槌を打つならまだいい方で、なにも返事をしなかったり、きちんと耳に言葉が入っていないことさえある。
なぜ、ぼくら夫は妻の言葉をきちんと聞いていなかったり、適当な返事をしてしまったり、そもそも口数が少なかったりするんだろう?
今日は、そのことについて考えてみたいと思います。
妻の話が頭に入ってこないとき
本当に申しわけないんですが、なにかほかのことをやっていたり、なにかを考えているときって、妻の話ってほとんど耳に入ってこないんですよね。
ぼくら男って、本当にマルチタスクが苦手で、同時に複数のことができないんです。
ご飯を食べながら会話をすることもできなくて、ぼくは妻の話に意識を向けすぎると、ご飯を食べるスピードがものすごく遅くなります。
逆にご飯が美味しくてもりもり食べていると、妻の話ってほとんど頭に入ってきません。
どっちかしかできないんですよね。
ですので、妻が夫にずっと話しかけていても、夫の反応が悪いときって、その言葉が頭に届いていない可能性が高いです。
論点を探してフリーズするぼくの脳
女性の話って、「感情」を軸にした話が多いと思うんです。
「こんなことがあったんだけど、ほんとに参っちゃった」
という場合
「こんなこと」じゃなくて「参っちゃった」という感情を軸にした話になりがちだなって思うんです。
そして、聞いて欲しい内容も「参っちゃった」という気持ちに関することが多いと思うんですね。
女性にとって「感情」に共感してもらうことはとっても重要なので、ぼくら男性はそこに気をつけないといけないわけですが、でも本音を言うと「感情」が入り混じったストーリーを聞くと、脳がフリーズするのも確かなんです。
女性は、なにが起こったかを最初から話してくれる人が多いですが、そうするとぼくは自動的に話の「論点」を探して、彼女の話をスキャニングし始めます。
妻の話から論点を探そうとスキャニングしているので、「妻の感情」はノイズとして除去してしまうんです。
この「論点の抜き出し」が「妻の話を自分勝手に解釈してしまう」問題にもつながっているのだとも思います。
でも、妻としては「話の論点」じゃなくて、「感情」に寄り添って欲しいと思っているわけなので、ぼくが論点を抜き出すと、妻はより「感情」にフォーカスした話をしてきます。
すると、ぼくの脳は、感情が入り混じった情報をうまく処理できなくてフリーズしてして黙ってしまったり、さらなる「論点の抜き出し」による話を展開させて、妻をイライラさせたりするわけです。
たぶん、「夫の口数が少ない」というのは、情報量が多い女性の話を男の脳がうまく処理できなくて、脳がフリーズしてしまっているんじゃないかなって思う時があるんです。
それから、夫が妻の話に「まぁね」とか「そうだね」しか言わないのは、妻の言葉にどうやって共感をしめしたらいいのか分からないからかもしれません。
売れる販売員は感情を伝えることを怠らない
ぼくは新卒で呉服会社に就職し、呉服の販売員をしていたのですが、それまでは本当に人とコミュニケーションを取るのが苦手で、女性となにを話したらいいのかよく分かってなかったんです。
でも、呉服販売って、知らない人の家のチャイムを押して、むりやり会話を作って仲良くならないといけないんですよね。
そして、生活にまったく必要がなく、何十万、何百万円もする呉服を販売しなければなりません。
呉服の販売で必要だったのは「呉服の知識」でもなく、新規顧客開拓のための強靭な精神力でもなく、「女性と仲良くなる方法」でした。
もっと、はっきり言うなら「女性から愛される力」でした。
「もっと、この人と話したい」
「もっと、この人と一緒にいたい」
そう思ってもらえた方からは、商品を買ってもらうことができましたが、(まだ距離感があるな)と思えた方からは、その方が呉服に強い興味があったとしても、決して買ってもらうことはできませんでした。
売れる販売員は、女性の話を聞くのが本当に上手でした。
女性が共感して欲しいタイミングで上手に共感したり、時には女性が嫌悪感を感じない程度に、軽いけなしというかディスりというか、そういったスパイスも混ぜ込みながら、相手を楽しませていました。
そういう売れる販売員って、口数が少ない人はいないんですよね。
だからといってムダにおしゃべりをするわけじゃなくて、上手に自分の感情を女性に伝えて、女性の気持ちをリラックスさせているんです。
「そうなんだね!」(感嘆)
「それは参っちゃったね」(共感)
「それはすごいね!」(称賛、尊敬)
「楽しそうだね!」(喜び)
などと、必ず相手に感情が伝わるように会話をしていて、ぼくらが一番使っていた常套句は「そんなん、はじめてですわー!」でした。
(そんな話、聞いてことない!)
(こんな美味しいもの食べたことない!)
(こんな素敵な着物見たことない!)
などと、実際にはそこまで思ってなくても、少しでも気持ちが動いたらこの言葉をよく使っていました。
女性との会話は感情のキャッチボール
たぶん、女性との会話って、言葉のキャッチボールじゃなくて感情のキャッチボールなんだと思うんです。
(わたしはこんなこと思ったよ。あなたは?)
(ぼくはこう思ったよ。びっくりしたね)
情報としての言葉をただやりとりするんじゃなくて、そこに感情を乗せて、なんなら感情だけの言葉でもいいから、きちんと気持ちを伝えることが、女性にとっての「会話」なのかもしれないなって思うんです。
そして、女性から返ってきた感情に対して、ぼくらはまた感情というボールを打ち返す。
強いボールもあれば弱いボールもある。
”なんで、こんなに強いボールなのかな?”
”なんで、今日はこんなに弱いボールなのかな?”
などと、妻の気持ちを推測しながら、妻の感情というボールをしげしげと見つめる。
そして、妻の心にストンと落ちるように、またぼくらは感情というボールを投げ返す。
そのキャッチボールがお互いに心地よいと思えるようになるまで、ぼくらはボールを投げ合う必要があるのかもしれないですね。
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