「男はセックスしないと生きている意味がない!」 つい妻にそう言ってしまい後悔しているあなたへ
妻とのセックスレスに悩む方のご相談に乗っていると、この言葉を発してしまった日から、妻との関係が決定的に悪くなったというお話を聞くことが多いです。
冒頭のお話は、ぼくの創作ですが、今も世界中でこんな会話がされているんだと思います。
ぼくも似たような経験があるので、とてもよく分かります。
「セックスしないと生きている意味がない」と妻に伝えても、セックスレスが解消できるわけがないのに、なぜ、ぼくら男性はこんなことを言ってしまうのだろうか?
この言葉を言われた時、女性はなにを思うのか?
そして、どうすれば、妻との間に生まれてしまった心と体の距離を埋めることができるんだろうか?
今日は、このことについて書いてみたいと思います。
一生死ぬまでセックスができない恐怖
なぜ、ぼくらはそんなことを言ってしまったり、思ってしまったりするんでしょうか?
「妻からセックスを拒否されたこと」によって、死ぬまで二度とセックスができなくなると思ってしまうんだと思うんですね。
「性欲」の強さは人それぞれですが、それが強い人にとっては、自分の内側から湧き上がる欲望と闘うことはなかなか難しいです。
食欲と同じく、ある種の自然な欲望であり、渇望であることは変わりありませんので。
その「自然な欲望」を絶たれてしまったことによって、「食べなければ死んでしまう」ように、「セックスをしないと死んでしまう(生きている意味がない)」という思考になるのかなと思うんです。
でも、完全にセックスができなくなるかというと、そうではなくて、相手が妻でなければセックス自体はできますよね。
浮気や性風俗で「セックス自体」をすることは可能なはずです。
でも、そうじゃないんですよね。
誰でもいいわけじゃなくて、「妻でないとダメ」な理由があるんです。
ということは、「一生、死ぬまでセックスができない恐怖」にぼくらは怯えているんじゃなくて、「死ぬまで『妻と』セックスができない恐怖」に怯えているのだと思うんです。
求めているものはセックスではなく、妻との親密な関係
セックスだけを求めているのなら、浮気をしたり風俗を利用すれば済む話ですよね。
性欲というどうしようもない渇望を満たしたいのならば、夫婦間のセックス以外に手段はいくらでもあるわけですから。
でも、こういうことで悩んでいる男性は、「そうじゃなくて、何か違う」と思うはずです。
誰でもいいわけじゃなくて、妻でなければダメなんだと、そう思っているはずです。
そうでなければ、妻とのセックスに固執しないですから。
求めているものが、「妻とのセックス」ならば、なぜ、「妻とのセックス」をぼくら男性は求めるのでしょうか?
それは、妻とのセックスというものが、妻との親密な関係の象徴であると、ぼくら男性が思っているからではないでしょうか?
夫婦がお互いに、愛し愛されている証拠であると。
さらに言うなら、妻とのセックスを通して、妻からの愛を確認したいのではないでしょうか?
妻を愛し、そして、妻から愛されているという実感を感じたいと思っているのではないでしょうか?
セックスを失うのが怖いのではなく、妻の愛を失うのが怖い
妻からセックスを拒否されたときに、ぼくらが感じる恐怖の源泉は「妻の愛を失う恐怖感」なのではないのかなと、思うんです。
死ぬまで一緒に愛し合うはずだった人が、自分から離れていく恐怖感。
妻の心が自分から離れるはずがないと信じきっていたのに、それが起こってしまったことによる絶望と怒り。
怒りの感情は、妻が自分の元から去ってしまう絶望を覆い隠そうとして生まれるのだと思うんです。
とても耐えきれそうもない絶望を乗り越えるために、怒りという感情が生まれるのかもしれません。
そうして、ぼくらは自分でも思ってもいなかったような言葉を口にしてしまう。
欲望をぶつけられた時に、妻が思うこと
この言葉は、ベクトルが完全に自分に向いていますよね。
「可哀想な私」をなんとかするために、「悪いあなた」に変わってもらいたい。
ぼくの妻は「夫は妻に罪悪感を感じさせてはいけない」とよく言うのですが、「男はセックスをしないと生きていけないんだ」という言葉は、夫の自分勝手さを感じさせると同時に、妻に対してある罪悪感を植え付けます。
それは、「この人が生きていけないのは私のせいなのか」というものです。
もちろん、そんなことはないのですが、この言葉を聞いた妻は、夫に対して「罪をなすりつけられた」と感じるようになります。
「セックスをしたくない」原因は夫側にあるにも関わらず、自分の行動を反省せずに、一方的に欲望の処理を押し付けられる。
まるで、妻は夫にとって「性の道具」であるかのように。
でも、よく考えてみると、夫としては本質的には「セックスができないのが辛い」のではなく「妻との親密な関係を失う」ことを恐れているんですよね?
だけど、「妻を失う恐怖感」から生まれた怒りが、「男はセックスをしないと生きていけないんだ」という言葉を作り出す。
そして、一方的に欲望を押し付けられた妻は、そんな自分勝手な夫にうんざりして、さらに距離をあけるようになっていく。
だとしたら、ぼくら夫がやるべきことは、怒りに振り回されずに、柔らかで壊れやすい「妻を思う気持ち」を素直に表現することだと思うんです。
ぼくらは、なかなか人に弱みを見せることができないけれど、妻の前でなら見せてもいいと思うんです。
「妻を失う恐怖感」を静かに自分の心で受け止め、それを言葉にし、「どうすればいいのか?」を考え、行動に移していく。
その繰り返しの中で、妻への自然な気づかいが生まれ、妻が夫を見る目も徐々に変わってくるのだと思います。
少なくとも、ぼくはそうでしたし、ぼくにご相談してくださって夫婦仲を取り戻した方もそうでした。
つい、こんな言葉を言ってしまったり、思ってしまう方の参考になれば、幸いです。
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