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家庭より仕事の方が重みがあるのか?ー金継ぎされた陶器の重さー

仕事のスケジュールは守るのに、家庭の予定は守らない。

なんでそうなの?と夫にたずねると「重みが違う」と答える。まるでアルミニウムと金の重量さを指摘するように。

そんな経験はありますか?

ぼくは女性からも男性からもこういった話を聞いたことがあります。

この発言をする男性心理には「仕事の方が家庭より重要だ。家庭の予定はいつでもなんでも調整が効く」といったものがあります。仕事は金のように重く、家庭はアルミニムのように軽いと。

なぜ、彼らはそう思うのか?妻としてどうすればいいのか?

そこにある2つの男性心理からお話しします。

「仕事の方が家庭より重い」と言ってしまう男性にある特徴、それは甘えと無理解です。

子どもの習い事の送り迎えを頼まれたけど仕事だから行けない。妻が外出するから早めに帰って欲しいと言われたけど仕事だから行けない。

なぜ仕事を優先するのか?

それは、家庭は妻がなんとかしてくれるという甘えがあるからです。そして、実際今までも妻がなんとかしてきた過去があるんですよね。

だから、妻が抱えている重みを資源の日に捨てる空き缶のように軽く扱うんです。

ぼくも過去そういったことがありました。仕事だから仕方ないよねというムードを出せば妻が諦めてくれる。そこに付け込んでいた時期があったことも確かです。

でも、今は家庭と仕事の話をお互いに伝え合い、どちらを優先すべきか、両方の重要性も考慮に入れながら決定しています。時には仕事を優先し、時には家庭を優先します。

それができていなかった時期というのは、「結局、家のことは妻がなんとかしてくれる」という甘えがあり、「なんとかしている」妻の気持ちを知ろうとしていなかったんだと思います。

妻との関係が悪くなってしまった男性の話を聞いていると、家父長制傾向の高い家庭で育った方が多いです。7割超えてるかもです。

とはいえ、その家庭が好きだったかというとそうではないんですよね。反発を感じていた方もいる。だけど、自分に家族ができると無意識のうちに同じ家庭を再生産してしまう。

鋳造されたメダルを高熱で溶かし、新しいデザインで成形しようとしたけど、自分が持っている金型が一つしかないので結局同じデザインのメダルが出来ただけだった。

そんなことって本当に多いです。

幼少期に見てきた「母親に大きくかたよったケア比重」が大きな影響を与えているのだと思います。男性が家のことはしないのが当たり前、風呂に入る時には廊下に点々と脱ぎ散らかされた服が散らばっている。当たり前のように母親がそれを拾い上げる。

ケアがいつでもそこにあるのが当たり前。自分はケアされる側であってする側ではない。その経験が「自分の家族像という金型」を作り、同じ型の家族を再生産する。

そこから生まれる意識が妻への甘えを生んでいるんです。

もう一つは、夫が「家庭の重みを理解していない」という無理解の問題です。

ぼくもそうですが、多くの家庭では夫より妻の方が家事育児比率が高いです。単純に夫がフルタイム&妻がパート(or時短or専業主婦)というケースならば、自然と妻への負担が増えます。うちもそうです。

妻への家事育児比重が高いことが悪いわけじゃなく、そこに二人が納得感を持って望んでいるならいいと思います。

問題は「体験量の差を埋める」努力をしないことです。

ぼくには忘れられないエピソードが一つあるんです。まだ子供が2歳くらいの頃だったと思います。仕事から家に帰ると妻がものすごく怯えた顔でこう言ったんです。

「こんなこと、あっちゃんに言ったら怒られるんじゃないかと思って怖いんだけど……、今日ね、滑り台の上にあの子が立っていて、ちょっと目を離したら落ちちゃったの。頭をぶつけたみたいですごく心配で、病院で診てもらったけどなんともなかった。だけどもし怪我していたらどうしよう、最悪の場合、命に関わるし、すごく怖かったの……。」

スローモーションのように子供が地面へと落ちていく。強い痛みと恐怖を感じ、泣き叫んでいる我が子、その時に妻が感じた恐怖感、焦り、罪悪感。それらすべてがぼくの中に流れ込んできた瞬間でした。

家事育児の負担が大きい妻とすべてを共有することはできないけど、こうやって妻が体験と感情をシェアしてくれることで、ぼくは絶対量の差を擬似的に埋めることができているんです。

欠けたお椀を金継ぎで修復するようなものなので完璧ではないけれど、それでもヒビは埋められ、隙間から水が漏れてくることはありません。

割れ目を金でつなぎ修復した陶器は割れる前よりは価値が下がるかもしれない。

だけど、壊れそうになるたびに修復された金継ぎ陶器は、壊れる前よりも愛着と美しさを感じると思うんです。

ぼくらはお互いの体験量の差を実際に埋めることはできない。だからといって壊れたお椀を放置していいわけでもない。

気持ちのシェアによって体験量の差は埋めることができる。いびつな形であっても、完璧でなくても、ぼくらが少しづつ金継ぎした"夫婦関係"という陶器はどんな国宝よりも美しい。

それを手にした時に感じるずっしりとした重さは、責任感と献身にあふれている。純金製の陶器よりは軽いだろうけど、そこに含まれる感情はどんなレアメタルよりも重さを与えてくれる。

そう思うんです。

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この話はポッドキャスト「アツの夫婦関係学ラジオショート」でもお話ししています。noteとは少し内容が違うので、通勤や家事のお供にぜひどうぞ!

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