夫婦を惑わせる”円環的因果律”とは?
「あなたが悪い」
夫婦関係に悩みカウンセリングに訪れる夫婦の多くは、相手を批判する。
カウンセラーにジャッジを求めるかのように。
自分が正しいことを証明してもらおうとするかのように。
しかし、夫婦関係は永遠に回り続けるインフィニティループ(8の字を横に倒した永遠を意味するマーク)であるため、どちらかが圧倒的に悪いわけではない。
夫の言葉が妻に影響を与え、妻の言葉が夫に影響を与え、それぞれの言葉がお互いの心をざわつかせる。
ざわついた心を落ち着かせたくて、相手の感情に波紋を呼ぶ言葉をかけてしまう。
二人の言葉はお互いの心を留まることなく駆け巡り、円を描くように二人の感情と言葉はヒートアップしていく。
速度を上げた感情は行き場を失い、二人を引き裂くのだ。
今回のポッドキャスト「アツの夫婦関係学ラジオ」では、臨床歴25年の臨床心理士である上遠文恵さんをゲストにお招きし、夫婦喧嘩の根本原因である「円環的因果律」についてお話を伺いました。
この記事は、円環的因果律について上遠さんの著書「幸福な夫婦のためのマニュアル: 臨床心理士が読み解くパパママ世代の喧嘩の仕組みと夫婦円満のコツ」をもとに、簡単に説明しています。
ぜひ、ポッドキャスト、そして本書と合わせて読んでいただければと思います。
(そして、ポッドキャストもフォローしていただけると嬉しいです!)
◇
ぼくらは夫婦喧嘩になると、つい相手が悪いと思いがちですよね。
よくないと思いつつ、いまだにぼくもそんな思いに囚われてしまうことがあります。
本書では、そういった相手を責めるスタンスを「直線的因果律」と説明されています。
原因と結果がはっきりしている物事に対する考え方ですね。
夫婦の揉め事もついそう考えてしまいますよね。
あなたが悪いんだから、あなたがなんとかすればいいの。
お前が悪いんだから、お前がなんとかすればいいの。
ですが、これでは夫婦の揉め事を解決することはできません。
では、どうすればいいのか?
本書ではこのように書かれています。
お互いに影響を与え合うことで作り出される複雑なダンス。
それが夫婦喧嘩の本当の姿なんです。
喧嘩をしたくてしているわけじゃない。
相手を責めたくて責めているわけじゃない。
なぜかわからないけど、心が勝手に反応してしまう。まるで音楽に合わせて勝手に体が動くダンスのように。
そのダンスは心を落ち着かせてくれるものではなく、二人の心が引き裂かれるその日まで続くのです。
相手に大切にして欲しい。大切に扱って欲しい。
心ではそう思っているのに、口から出る言葉は正反対のものばかり。
きっと、そんな経験をされた方は多いはず。ぼくも心当たりがあります。
なぜ、相手を責めるようなことをしてしまうのか?
なぜ、相手から責められた時に責め返したり、黙り込んでしまうのか?
悪い結果を呼ぶと分かっているはずなのに。
本書ではこう説明されています。
自己嫌悪や恐怖、そして傷つけられることへの恐れによって相手を攻撃する。
攻撃された方にも同じ感情の変化が起こり、同じことが円を描くように繰り返される。
このループから抜け出すためには、自分たちがループにハマっていることに気がつくことが大切だと上遠さんは言います。
自分たちの状況を俯瞰して眺め、外から見ることができるようになれば、ルプから抜け出すきっかけを作れるはずです。
ネガティブな応酬が起こっている最中には気が付きにくいですし、冷静にはなりにくいですよね。
一人で落ち着いた時に、自分の心を冷静に振り返し、心に起こった変化や本当はどうしたいかを相手に伝えてみると、きっと変化が生まれるはずです。
ぼくも夫婦の揉め事が起こった時は、しばらく時間を空けて冷静に気持ちを振り返し、その感情を妻に伝えるようにしています。
だいたいの場合、寂しかった、悲しかったという柔らかで傷つきやすい感情ばかりです。
夫婦関係は複雑なものであると思いがちですが、案外そこにあるものは単純で人間らしい素直な感情だけなのかもしれませんね。
ポッドキャストでは、著者である上遠さん自身から円環的因果律について詳しくお話しいただいています。
ぜひ、お聴きください。
◇
■アツの夫婦関係学ラジオ
#472 インフィニティループから抜け出せ!夫婦を惑わせる“円環的因果律”とは?【ゲスト回:臨床心理士 上遠文恵さん】
▶︎Spotify
▶︎Audible
※「アツの夫婦関係学ラジオ」は毎週月曜木曜 朝5時配信です。
夫婦関係に悩む女性向けに無料でZOOM相談を行っています。こちらのフォームからどうぞ。
お話から得られた気づきを、noteやポッドキャストで発信させていただくのでお金はいただいていません。
友人に相談するような気軽な気持ちでご連絡ください。
▶︎女性向け無料ZOOM相談フォーム