「MaaS戦記 伊豆に未来の街を創る」読了日記
【※読了日記本文は6章より書いております】
【先に謝ります。長いです、ごめんなさい】
1.きっかけはドングリで十分。
「MaaS?言葉は聞いたことあるな。…ん?伊豆?東急?」
個人的に深い縁のある伊豆で、MaaSという革新的なチャレンジに取り組む東急電鉄社員の激闘記。
自分の仕事とは違う分野だけど、MaaSという全く無知の分野で、伊豆という後がない地で、仲間とともに懸命に闘う作者の奮闘劇は今後の自分と重なる面や実り多い学びもあるはずだと、即購入。
先週、一人映画で「糸」を観て感じたドングリ理論のままです。
「道端に落ちてるドングリを拾い投げるように行動する」
小さいきっかけでポロって運命は変わったりするから、些細でもきっかけに繋がりがあったら行動する。以前、それくらいのフットワークの軽さでいたい。
2.伊豆は、第二の故郷。
伊豆との深い縁は、幼い頃。
海といえば雲見の海だった。
前日夜中23時ぐらいに家を出発して、誰もいない朝の海に駆け出す。
毎年の恒例行事だった。
海がきれいな伊豆の中でも特段きれいな松崎町雲見。2m下まで見えてしまう、恐怖を覚えるほどきれいな透き通った海、冬には日本で一番富士山が美しく見える。(二つのこぶのような岩のバックにそびえたつ富士山。一度見たら、忘れられない景色)
そうして数年後、ひょんな偶然から、大学のゼミで雲見の景色に再会することに…。ゼミの班選びで、教室のスクリーンに映し出された景色は、幼少期に見たあの海に浮かぶ富士山の景色とまるっきり同じだったから、運命すら感じる間もなく雲見のある松崎町を活動拠点に選んだ。
実際のところ、前身の班が活動を終了し、新たに松崎の地で活動をすることに決めてから最初の募集だったから、本当に奇跡的な再会だったんだと思う。
3.月1で車を出しては松崎に。
そして2年間、松崎町で子どもたちとまちづくり活動をしてきた。
伊豆の海といえば東の熱海、西の松崎と呼ばれたほどに輝いた町、その昔には明治の海運の拠点、養蚕としても栄えた町。
そんな歴史と自然が作り上げる松崎町の良さを、どうにか今後も途絶えることなく連綿と続いていってほしい。そんな願いを込めて子どもたちとまちづくりを続けて来た。
地場産の食材をふんだんに使った松崎パエリア、松崎町の風景を子どもたちと集めた風景百選企画、同じく松崎で活動をする大学生とのなぞ解きまち歩き企画…今となってはまとまりのないことに見えるけど(もっとましなやり方あったろとツッコミを入れたくなるものばかり)、松崎の子どもたちに自分たちが今住む町は本当に誇らしいものなんだと伝えたくて、そして何より今しかできない経験をしたくて必死だった。
「大学生活で最も印象に残っていることは何ですか」と聞かれれば、真っ先に「松崎町という第二の故郷ができたことです」と答えるくらいには、思い入れを込めた町だった。
4.お別れも、感謝すらもきちんと伝えられず、社会人に。
時間は残酷なもので、多くの学びの機会をくれ、自分を大きく成長させた松崎町お礼を告げることに。
…そんな時に襲いかかったウイルス。お世話になった人たちにきちんと分かれも感謝も告げることなく卒業を迎えてしまった…。今でも悔やみきれないものがある。
そして、オンラインでぬるっと入社してはや4か月半が経過した。無事配属も決まり、忙しい日々を過ごしている(リアルに、想像していた2.3倍くらいは忙しい)
ペーペーなので大したことは全くしていないけど、世に言う”FinTech”と呼ばれる分野で仕事をしている。キャッシュレス化によって社会をより良いものにしていく、そんな大きな夢がある。
華々しい言葉とは裏腹に栄枯盛衰の激しい業界は、まさしく激流に溺れているようなもので、自分の現状すらどこにいるのか分からなくなる。
早くも忙殺されそうだったから、松崎ののんびりした雰囲気、第二の故郷に帰りたくて、金曜の仕事終わりにレンタカーに飛び乗って急遽お忍びで訪問したりした。松崎の人たちは本当に心があったかかった。
5.”まだ”、何もできないだけ
何もできない、貢献することができない、人の役に立てない状況ってのは非常につらいもので、「新卒なんだから何もできなくて当然」と言われるのにもイラつきを覚えてた。
…この「新卒だからできなくていい理論」、大学生や同じく社会人1年目の人は捨てたほうが良い。”まだ”できなくていいだけで、できない理由にしちゃったら人間腐ったようなもの。できない理由を新卒っていう地位に甘えちゃダメ。できないのは単に知らないだけ、やったことないだけだから、細かいことのようだけど使う言葉には気を付けたほうが良い。いずれ洗脳していくから。
いろいろ話したけど、この本の感想を書くにあたって自分が整理しておくべきだなと思ったことを書き連ねた。お付き合いいただきありがとうございます。以降より本の感想を書いていきます。
▼読了日記「MaaS戦記」
6.MaaSとは?~読了日記~
MaaSという言葉、聞いたことはあったけど一体何者なのかはよくわかっていなかった。SaaSやらDXやら、最近は本当に進化が早くてよくわからん単語ばっかだよねほんと。実際Fintech業界にいる自分ですらFintechが何なのか聞かれたらちょっとたじろぐ。他にもAIとかIoTとかブロックチェーンとか…人間の脳みそが完全に置いてかれてる感じ。
MaaSとは、簡単に言えばスマホで新幹線もバスもタクシーもレンタカーやレンタサイクルも、乗り物をぜーんぶ一括で予約利用できちゃうサービス。
乗り物はあくまで目指す場所に移動するための手段であり、「乗り物」という一つの区切りとしてまとめちゃうイメージ。
例えば、北海道に旅行するとき、飛行機の予約して、現地でレンタカー予約して、鉄道のチケット取って、あっレンタサイクルもやってみよう!って全部違うサイトでやるんじゃなく、一つのサイトで全部の乗り物をまとめて予約できるもの。(たぶん詳細はもっと複雑だけどカット)
予約してるうちに疲れちゃう人いない?自分はすごくコレだったから、早くリリースしてほしいと思った
たいていは目的地で何かをすることが最大の目的だから、乗り物に頭使うんじゃなく、乗り物はあくまで手段で旅の先々で何をするかに考えを集中してほしい、そんな願いがあるのかも。(個人的意見強め)
以下、辞書的な言葉の解説。
【MaaS=Mobility as a Service】
移動をサービスとしてとらえる、新しいモビリティの概念。
スマートフォンやクラウドなど、ITの活用によって、鉄道・バス・タクシー・自転車ほか、ほぼすべての交通手段をシームレスにつなぐだけでなく、観光・不動産・生活サービス・医療分野などと組み合わせることで、新しい産業を創出する効果も期待されている。
また、デジタルの特性を活かした事業の省力化により、人口減少・少子高
齢化によって慢性化する交通機関の人手不足を補い、住民の移動手段を確
保するなど、地域課題解決のための公共的役割も担う。
アフターコロナにおいては、対人接触を避け、安全に観光を楽しむために、
チケットを事前決済し、決済画面を見せるだけで電車やバス、観光施設が
利用できるMaaSの需要は、一層高まるだろう。
7.伊豆には、後がない?
伊豆は日本人の主要な移動動線から外れてる。
熱海や修善寺くらいならともかく、下田や河津、松崎となるとかなり気合いを入れないといけない場所。実際、伊豆を好きな理由は「わざわざ車を出して行くその冒険感が好きだから。山を越え、山を越え、やっとの思いで辿り着く達成感が魅力を増しているから。」
でも、同時にもう一つ言えることは、「わざわざ時間をかけていくだけの価値が伊豆にはある。そして、どことなく感じる南国風土の人の温かさは、都会には絶対に勝てる」
どうにかその素晴らしさを残したくて、そして地元の子どもたちに伝えていってほしくて、大学でまちづくりをしてきたわけだけど、社会人になってまた一歩俯瞰してみるようになって、漠然と難しさを感じてしまう。結局、その手間を抱えられる人の割合はごく少数のファンだけなのかもしれないと。
8.伊豆は、MaaS最先端の町になるかも?
余談だが、今世界で最もキャッシュレスが発達している地域の一つがアフリカだ。その理由は単純で、そもそもきちんとした銀行や貨幣制度がないから。キャッシュレスを構築しやすい環境だったからだ。日本のキャッシュレス化が進みにくいのは、銀行を中心とする現金制度が高度に発達し、現金文化が強く根付いているから。進歩していたからこその変化の難しさがある。
入り組み発展した町に道路を作るより、新しい町のさら地に道路を引くほうが簡単なのと一緒かな。
そう、だからこそこのMaaSも、実は伊豆だからこそ発展の可能性を大いに秘めていると思っている。中途半端に鉄道網がある町、交通手段の多様な都心ではなく、移動はほぼ自家用車という伊豆だからこそ、新たな社会システムを受容しやすい可能性がある。もちろん、MaaSを伊豆、特に松崎町で進めていくには、高齢者のスマホやIT教育、自動運転技術と法整備などと同時に進めなくてはいけないが。
可能性の話に帰結してしまうあたり悲しい。。
ああだこうだ言ってきましたけど、本を読んで感じたことを二つほど。
9.「後悔」
ゼミのまちづくり、もっとできたなという後悔。
先に社会人になった先輩がよく自分に言ってた。
「またゼミに戻りたい」って。その意味が今はすごくよくわかる。
学生時代はなかなか甘い考えで「まちづくり」という名を借りて「やってる風だったのかな」とか。でも知らないからこそまっすぐできていたのだと思うし、もっと上手に大人の力を借りるべきだったなと思ったりする。
コロナで訪問にすら満足に行けず苦しむ後輩にも、松崎町にも何もできない自分が歯がゆい。
10.「ショー・マスト・ゴー・オン」
著者の座右の銘。何が起きても、目の前のショーが止まることはない。
演劇の名言だが、「人生は何が起きても続いていくもの。諦めずに続けよ」との意味に。本当の一流は、静かにプライドを燃やしながら動じない。
本書の中で最も学び大きかった言葉。
前述の通り、後悔はある。もっとできたんじゃないか、と。
でも後悔したところで無駄だなとも思う。後悔しているうちに最も大事な「今」は目の前を特急で通過していく。その大事な経験が今の自分を作っているのならば、もっともっと進化して大きな恩返しをすればいい。
あの時に深く考えてがむしゃらにやったからこそ、今もこうして考えるきっかけを自分に与えてれていると思うし、経験の色付けは常に自分にかかっている。
11.まとめ
今できることを誠実に、真剣に。
これに尽きます。
必ずビッグになって、松崎で、雲見で、アナザースカイを撮影してもらうのが夢なので。
以上、本当に長々と書いてしまいましたが、心が落ち着きました。
今目の前のことに全力で取り組めるように、思いの丈吐き出しました。
まとまりも実りもない文章でしたね。。笑
でもそれでいい。ひとつ後悔から自分を解き放つためにどうしても書きたかったので。
「忘れないために、記憶から消すために」
お読みいただきありがとうございました。
伊豆の皆さんは、絶対に読むべき本、
「MaaS戦記~伊豆に未来の街を創る」/森田創