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第一世代Apple Watch用の心電図モニターで心房細動をチェック
B2Bファシリテータとは無関係な記事で失礼いたします。
第4世代Apple Watchでは、FDA(アメリカ食品医薬品局)承認済み(ハードウエアとしてではなく、あくまで診断するアプリが承認されたという話)の心電図(Electrocardiogram, ECG)が測れる機能を搭載して話題になった。同時に話題になったのは、日本では使えないじゃん、という話だった。これは、日本においては、PMDAいわゆる独立行政法人医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)による管理医療機器(クラス2)の審査が必要となりうる新しい「心電図計+ウエラブルデバイス+通信」機器だからと思われる。ハードは米国で販売するApple watch4と同じものだけど、心電図測定アプリが日本でリリースされていないので、結局日本ではECGモニターとしては使えないという話で、がっかりした人も多いだろう。おかげで私もApple watch4を慌てて買わずに済んだクチだ。
言っておくけど、実は私は薬学部出身の薬学修士の薬剤師なのだ。
iTunes Storeの米国アカウントを取得してアプリをダウンロードすれば使えちゃうんじゃないだろうか?くらいな気持ちでいたけど、そういう記事が見当たらないので、GPSで利用地域を検出したり、OSの言語バージョンを見て、使えないようにしているんだろうか? アメリカでApple watch4を買って日本へ持ち込めば使えるという記事を見たが(真偽は不明)、そこまでして心電図計を使って記事にしている人をググってみたけど、まだ見つけられていない。
今日のお話は、そういったリージョンごとのプロテクトを破ろうというような物騒なお話ではない。正しいことを正しく行う。
実は、Apple watchが心電図測定に対応したのは、第4世代が初めてではない。すでに第1世代〜第3世代向けにKardiaBandというものが発売されている。それが、今回の記事のカバー写真に写っている装置だ。といっても画面しか写っていないから分かりにくいだろうけど、こんな感じだ。
バンドに埋め込まれた電極と一体型となった2センチ×2センチの厚さ8ミリのデバイスで、もちろんFDAの認可を受けている。価格は$99、日本からは個人輸入で購入することは可能だが、直販ストアもAmazon.comでも日本への発送は対象外となっている。
Apple watchの画面でもECGをリアルタイムで確認できるが、自動でiPhoenアプリにデータ転送されて、大きな画面でデータを確認したり、過去の履歴をチェックできる。
このサービスの優れているのは、このデータをKardiaセンターへ転送すれば、米国にいる医師が診断を下してくれるというものだ。もちろん有料で、1回あたり$24が必要だが、真夜中ですぐに医師に相談できない時などは、不安なまま朝を待つ必要はなく、時差で日中の米国の医師の診断を受けられるのは、とても安心だ。ただ、Apple watchのアプリ単体でも、不整脈と心房細動の簡易診断はしてくれて、その診断精度は高い。私は一度、真夜中にアプリの診断で「心房細動の可能性があります」という表示を見てビビってしまい、この米国医師の診断サービスを利用した。すぐに返送されてきた医師の診断結果は、アプリで診断した内容と全く同じもので、「早めにかかりつけの医者へ行け」という指示だけだった。なんだい。
使い方ビデオは以下↓
ただし、この専用のiPhoneアプリは日本のiTunes Storeでは入手できないため、米国のiTunes Storeのアカウントを取得しておかないとダウンロードできないので要注意だ。
もう一つの注意事項は、Apple watchで測定するには月々$9.9のサブスクリプションが必要で、ずっと支払い続けないといけないらしい。「らしい」というのは、私の場合、KardiaBand発売直後に購入した特典として、Life-Time Freeという生涯無料アカウントになっているのだ。
この装置であれば、私のような第1世代のApple watchでも心電図モニターを日本でも使うことができる。このKardiaBandは日本のアマゾンで3〜4万円というプレミア価格で並行輸入品が販売されているが完全に違法だ。これを買っては行けない。確認したところ、これは管理医療機器としての審査を通っていない無資格の違法な販売業者たちのようなので(無法地帯ですね)、良い子の皆さんはそういうグレーゾーンには決して手を出さないように注意喚起したい。個人で利用する分を個人的に輸入する注意事項は、この記事の最後にまとめておいた。
私は、4年ほど前に出張先のホテルで心房細動(詳しくは国立循環器病センターのWEBでチェック)を発症して(初めて)救急車で運ばれた経験がある。心房細動が悪化して頻発すると心臓で血栓ができてしまい、その血栓が血管を通って脳へ到達すると脳血栓が脳梗塞を引き起こす、と訊いてさすがにぞっとした。そこで持ち運べる心電図計を探したが日本では、残念なことに手軽にスマホと連動するような小型のデバイスは売っていない。海外のネットでさんざん探して見つけて最初に手に入れたのは、こちらKardiaMobileだ($99)。
サイズは8.2 cm x 3.2 cm x 0.35 cmなので、iPhoneの背中側に貼り付けて持ち運ぶことができる。たまたまセール中だったので半額で手に入れることが出来た。こちらはApple watchタイプとは違ってサブスクリプション無しで使えるので安心だ。
あくまで診断の補助装置《アプリ》だと言うこと
・常に心房細動をモニターしているわけではなく、アプリを起動して電極に手を当てて測定して初めて正常か異常かがわかる
・当たり前だが治療はしてくれない
・他の心臓の症状を感知する機能はない
・従って心房細動に起因する脳血栓や脳梗塞を診断できるわけではない
・いつもと同じか、いつもと違うかをモニターして、違っていたら、かかりつけの医師の診断を受ける、と言う使い方がいいようだ
測れないものは改善できない
体重計なしではダイエットできない
心電図計なしでは心臓の健康管理はできない
これは製品の説明をするのが意図の記事ではなく、健康を維持するのであれば、まずは「測れるようにする」ことが大切だと言うお話だ。健康か、異常があるかを測らないままでは、健康は保てないし、対策も立てられない。年に一度の人間ドックでは、間が空きすぎだし日々の健康管理はできない。
健康はまずは「自分を測る」ことからだ。
次回は、喘息の人向けの肺機能診断について最新の個人輸入のデバイスを紹介したい。日本に輸入されたのは、これが最初の1台だ。
以下は、厚生労働省医薬食品局 監視指導・麻薬対策課のQ&Aから。
Q 医薬品などの輸入は、薬事法でどのように規制されていますか。
A 医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器は、人の健康や身体等に直接影響するものであることから、その品質、有効性及び安全性について、科学的なデータ等に基づいて確認がなされた製品だけが国内で流通するよう、薬事法によって厳しく規制されています。
一般の個人が輸入(いわゆる個人輸入)することができるのは、自分自身で使用する場合に限られており、個人輸入した製品を、他の人に売ったり、譲ったりすることは認められません。
Q 医薬品を個人輸入することは可能なのですか。どのような注意が必要ですか。
A 一般の個人が医薬品の輸入が可能となっているのは、外国で受けた薬物治療を継続する必要がある場合や、海外からの旅行者が常備薬として携行する場合などへの配慮によるものです。
個人輸入には、原則として、地方厚生局(厚生労働省の地方支分部局)で必要書類を提出し、薬事法に違反する輸入でないことの証明を受ける必要がありますが、一定の範囲内であれば、特例的に「税関限りの確認」で通関することができます。
なお、自己判断で使用すると重大な健康被害を生じるおそれがある医薬品は、数量にかかわらず、医師による処方が確認できない限り、一般の個人による輸入は認められません。
Q 個人輸入代行業者を介して海外から医薬品などを入手することは、薬事法上は問題ないですか。
A 最近、個人輸入代行と称して、外国製の医薬品や医療機器を広告して、それらの購入を誘引する仲介業者がいます。
しかし、日本の薬事法に基づく承認や認証を受けていない医薬品や医療機器の広告、発送などを行うことは、違法な行為です。また、何かトラブルが生じても一切責任を負おうとせずに、全て購入者の責任とされます。
こうした悪質な業者には、くれぐれもご注意ください。
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