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週末散歩_Vol.36(蜘蛛と金魚)

六本木編(2024/9/28:土曜)


1.久しぶりの六本木

今日は六本木の大所の2つの美術館を巡る予定。どちらもアーティストの回顧展として期待大の展示。
まずは森美術館からということで六本木ヒルズへ。

2.ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ

六本木ヒルズのパブリックアートの「蜘蛛」で有名なアーティスト
その創作スタイルや「蜘蛛」以外の作品について知らなかったので、アーティストを理解するよい機会となった。
彫刻・絵画・ドローイング・インスタレーションなど多様なスタイル。
ストレートな表現は心に抱えた葛藤や苦悩を現す作品でインパクトのあるものだが、見る方にも負担をかけるものに感じた。
大きな作品はそれだけでも印象が強いが、
森ビルの53階という場所を活かした展示室に置かれた「ヒステリーのアーチ」、
壁のような防火壁に囲まれた「罪人2番」、壁に掘られたような空間に赤く照らされた「父の破壊」など
はアーティストの心持ちを踏まえてみることで更に作品から伝わってくるものがあった。
そして蜘蛛をイメージした「かまえる蜘蛛」・「蜘蛛」は
その姿で攻撃性を感じるものと守るような優しさを感じるものがあり
その二面性を感じ取れるような展示であった。
アーティストの家族との関係性や感情を踏まえて作品を見ると、
どれも人生を写す作品であり、作品のための人生でもあるように思えた。
それだけパワーを込めた作品が並んでいた。

<気になった作品>
・ヒステリーのアーチ
・父の破壊
・蜘蛛
・カップル

<テーマ>ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ
<会期>2024年9⽉25⽇(水)-2025年1⽉19⽇(日)
<時間>10:00-22:00(入館は閉館時間の30分前まで)
<会場>森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
<展示会場内写真> 可

ルイーズ・ブルジョワ展

3.ロベール・ドアノー写真展第一部「パリ郊外 ~城壁の外側~」

次に向かう国立新美術館に行く途中で少し寄り道。
フジフイルム スクエアは定期的に有名写真家の展示があるところ。
今回はロベルト・ドアノー。
「パリ市庁舎前のキス」は学生時代から好きな写真。
この人の一瞬を切り取るタイミングにいつも惹きつけられる。
2部制になっているのでもう一度見に来たい。

<テーマ>ロベール・ドアノー写真展第一部「パリ郊外 ~城壁の外側~」
<会期>2024年8⽉29⽇(木)-10⽉30⽇(水)
<時間>10:00-19:00(入館は終了の10分前まで)
<会場>フジフイルム スクエア
<展示会場内写真>不可

4.田名網敬一 記憶の冒険

これまでそれほど注目されていなかったように思うが、
今回大規模な回顧展は「集大成」にふさわしい物量の展示。
冒頭からプロローグの「百橋図」という今年の作品。
創作意欲が全く衰えていないことを示し、更にこれまでの実績を順に見せてくれている。
広告やアニメーションなどもはさみながら、立体作品やコラージュのインパクトはすごい。
くくることはできないが、横尾忠則さんや森村泰昌さん、日比野克彦さん、大竹伸朗さんなどに通じるアーティストであるが、
その中でもきれいに作品のまとめる。作品のバランスをとても上手にとる方なんだと感じた。
更に赤塚不二夫さんやバービーちゃんとのコラボ、アンディー・ウォーホル同様シルクスクリーンやピカソの模写など様々な刺激を作品に投影している。篠原有司男、赤瀬川原平、荒川修作などネオ・ダアと呼ばれる方々との交流もあり、日本のアートに大きな足跡を残している方ということがよくわかる展示だった。
今年の8月に亡くなられたニュースには驚いたが、この回顧展はやはり見て良かった。
もう少し作品を作って欲しかったと思う作家であった。

<気になった作品>
・百橋図
・ORDER MADE!!シリーズ
・金魚の大冒険

<テーマ>田名網敬一 記憶の冒険
<会期>2024年8⽉7⽇(水)-11⽉11⽇(月)
<時間>10:00-18:00(入館は閉館の30分前まで)
<会場>国立新美術館 企画展示室1E
<展示会場内写真>可

田名網敬一 記憶の冒険

5.ゴミうんち展

せっかく六本木に来たら21_21 DESIGN SIGHTギャラリはのぞきたくなる。
三宅一生、佐藤 卓、深澤直人というディレクターを中心に、面白いテーマが企画される。
今回は身の回りのことから、様々な「ゴミうんち」をテーマにデザイナーやアーティストが展示。
エコや循環といったゴミからつながる課題をどう表現するのか、個々の方々の力が試されるような企画と思った。
その中でもなるほどと思ったものは「くそバッチ」という作品。
がちゃがちゃを回した際に、はずれで出てくる中途半端な景品の数々。
見ると確かにこれは「くそ」だなと思ったもの。
でもその中でも気に入るものもあったり、なかったり。
「ゴミ」と思う感覚も人それぞれだなと納得のいく作品だった。
ちゃんと統計や学術的な説明もありつつ生活を考えるような展示だった。

<テーマ>ゴミうんち展
<会期>2024年9⽉27⽇(金)-2025年2⽉16⽇(日)
<時間>10:00-16:30(入館は閉館の30分前まで)
<会場>21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
<展示会場内写真>可

ゴミうんち展

6.六本木アートナイト2024

六本木アートナイトは2009年から続くイベント。
それほど意識してはいなかったが、その時勢いのあるアーティストが出ることもあり、期間常設のアートはできるだけ見るようにしている。
パフォーマンスなどは夕方からスタートも多く見る機会が少ないが
イベントの雰囲気は六本木という土地柄かゆったりとした余裕ある感じ。
「ハイソ」という感じが近いかも知れない。
目についた一つに久保寛子さんの「あおぎつね」という作品。
久保さんは一番最初はKAMU KANAZAWAでの「泥足」という大きな足のオブジェ、
その後今年の5月にポーラミュージアムアネックスで見た「鉄骨のゴッデス」、
今年開催している越後妻有アートトリエンナーレでも作品が登場したようで
これら防風ネットを利用した作品を見る機会が最近増え本当に勢いが今あるのだと思った。
この中で期間限定のパブリックアートを担当する人が常設を担当する人が生まれてくるのだろう。

<気になった作品>
・あおぎつね(久保寛子)
・豊穣の宝石 ‒ Reflection(ツァイ&ヨシカワ)

<テーマ>六本木アートナイト2024
<会期>2024年9⽉27⽇(金)-9⽉29⽇(日)
<時間>16:00-20:00
<会場>六本木周辺
<展示会場内写真>可

7.最後に

所要時間:約4時間
六本木(10:30)→(徒歩)→森美術館→(徒歩)→フジフイルム スクエア→(徒歩)→国立新美術館→(徒歩)→21_21 DESIGN SIGHT→(徒歩)→六本木(14:30)
お疲れ様でした


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