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【管理会計の論点 その6】原価管理の視点

こんにちは!

当コラムでは毎回、管理会計プロジェクトで論点になりそうなトピックを解説します。

論点というぐらいなので、いつも選択肢は1つではありません。
どうやって答えを決めるのか?いつもお客様と一緒に悩みながら、その時にベストな解答を探しますが、ベターなやり方を選択することも多いのが実情です。

さて、第6回目のテーマは、「原価管理」です。

この原価管理というテーマは、管理会計のサブテーマの1つと考えるとなかなか奥深いもので、今回はあくまで概論です。

コンサルティングの現場では、お客様から「原価管理を強化したいんですが。。」という要望をよくお聞きします。そんなときは、まずはお客様の事情をよくよくお聞きするようにしています。


読者の皆さんが上司から「原価管理の仕組み・体制を強化してほしい」という指示を受けたら、最初にどのような視点で進めていけば良いのかを考える必要があります。ここでは、原価管理の強化ポイントを4つの視点で整理してみましょう。

■製品ごとの採算管理

製造業では、どの製品がどれだけの利益を上げているかを詳細に把握することが重要です。利益率が低い製品については、その原因を分析し、製造工程で無駄を削減する取り組みや、営業部門と連携して販売価格の引き上げ交渉を行うなど、具体的な改善策を考えます。製品別の採算性を定期的にチェックし、問題があれば迅速に対応できる体制を整えることが必要です。

■発生費用の管理

原価管理においては、工場全体での発生費用を見直すことも欠かせません。製品ごとにコストを削減するのではなく、工場全体のコスト構造に目を向けることで、より大きなコストダウンが実現できる可能性があります。

特に、工場全体で発生する共通費用や加工費については、全体で削減や効率化を図ることが重要です。

■総合効率の向上(KPI管理)

工場運営においては、歩留率(不良率)、能率(生産性)、稼働率の3つの効率指標(KPI)を中心に管理することが求められます。

特に稼働率については、100%が必ずしも最適とは限らない点に注意が必要です。稼働率が高すぎると、利益率の高い製品を作る機会を逃してしまう可能性もあるため、バランスの取れた稼働を目指すことが大切です。

■原価企画・原価見積り機能の強化

製品の原価は設計段階で80%以上が決まると言われています。そのため、原価企画や原価見積りを強化し、設計段階からコスト削減を意識した体制を作ることが重要です。
ただし、原価企画・見積りの精度を高めるには、既にご説明したような、製品ごとの採算管理や発生費用の管理、工場全体の効率化といった基本的な管理体制がしっかり整っていることが前提となります。

原価管理の強化を検討する際には、ついつい、実績の集計方法や計算方法から整理したくなりますが、まず自社の収益管理全体の現状を把握し、どの部分から着手するべきか優先順位を立てて進めることが成功の鍵です。

今回ご紹介した観点それぞれの詳細については、また改めてご説明いたします!

#管理会計 #原価管理   #製品別採算管理 #発生費用管理 #原価企画 #見積原価



企画:
アットストリームコンサルティング株式会社
プリンシパル/公認会計士 内山 正悟

EY新日本有限責任監査法人を経て、現在に至る


執筆:
アットストリームコンサルティング株式会社
取締役・シニアマネージングディレクター 松永 博樹

アーサーアンダーセンビジネスコンサルティング(現 プライスウォーターハウスクーパース)を経て、現在に至る。


編集:
アットストリームコンサルティング株式会社
執行役員・マネージングディレクター 伊藤 学

プライスウォーターハウスコンサルタント株式会社(現 日本IBM)、
ベリングポイント株式会社(現 PwCコンサルティング)を経て、現在に至る。