被災された地域のオストメイトの方に役立つかもしれない情報まとめ
被災された地域のオストメイトの方につかっていただけるかもしれない情報を急ぎまとめました。追加情報や修正がある場合はぜひコメント欄にて教えてください。
ストーマ用品の無償提供の仕組みがあります!
1)ストーマ用品セーフティネット連絡会(OAS)によるもの
この取り組みを行っているのは、日本国内のストーマ用品メーカーによって結成された「ストーマ用品セーフティーネット連絡会(OAS)」という団体です。厚労省がシェアしている以下のリストの会員各社から構成されています。
JWOCMのHP上の周知されていますが、まずはご自身が日ごろストーマ用品を購入している販売代理店へご相談ください。連絡先がわからない場合など販売代理店に連絡できない場合は、今年度の幹事会社であるコンバテックジャパン株式会社に連絡するという流れになります。(※幹事会社は毎年変わりますのでご注意ください)
☞ストーマ用品の無償提供の対象は
☞災害救助法適用の市町村は (令和6年1月1日現在)
【新潟県】
【富山県】
【石川県】
【福井県】
【出典】
令和6年能登半島地震にかかる災害救助法の適用について【第2報】 (bousai.go.jp)
該当する地域で被災されたオストメイトの方で、家屋の倒壊などでストーマ装具の持ち出しや入手が難しい方は、ストーマ用品が無償で提供される対象になります。(※適用地域については、内閣府政策統括官(防災担当)の発表する最新のオリジナルの情報をご確認ください)
2)市町村による備蓄によるもの
市町村が備蓄していた標準的なストーマ用品が提供される。(日常使用のストーマ装具と異なる場合があります)
お住まいの市町村がストーマ装具等の備蓄を行っているかどうかは、JOA支部またはお住まいの市町村にお問合せを。
そのほか、市町村とストーマ装具販売店の間で物資供給協定を結んでいる場合もあります。
どこに相談すればいい?
JOA(日本オストミー協会)牛尾幸子さんによれば、
「被災状況にもよりますが、個人の方が被災されたら、販売代理店へのお問い合わせをしてください。ストーマ用品に関する知識があり、日ごろおつきあいしている担当者の方には相談もしやすいというメリットもあります。」一方で、「地域のJOA支部、避難所、自治体の窓口などへの相談も有効」とのこと。
特に自治体や避難所の窓口にストーマ用品の要望をあげることは、オストメイトの存在に気づいてもらう意味もあるそうです。さらに、避難所の方に存在が伝われば、そこからその地域を担当のWOC(皮膚・排泄ケア認定看護師)さんにつなげていただき、医療機関のサンプルを使えたり、必要な支援を受けたりすることができる可能性もあります。
参考)過去の震災では、ストーマパウチそのものへの理解が不足していて、支援物資の中にあったパウチが必要な人まで届かなかったという事例もあったと聞きます。まずは勇気をだして、「オストメイト」であることを伝えてください。
以上、災害時には、様々なストーマ用品提供のルートが想定されてますが、市町村によって備蓄の有無が異なりますし、販売店についても被災状況や在庫状況などによって事情が変わってきます。そのほかご自身の事情、被災された地域の事情に応じて、あきらめず、また臨機応変にストーマ用品の無償提供や避難所で過ごす上で困っていることなどについて相談をしてみてください。
どんなストーマ用品が入手できる?
牛尾さんによれば、自治体の備蓄にしても、ストーマ用品セーフティネット連絡会にしても、必ずしもご自身の普段使っているパウチが提供されるとは限らないそうです。
詳しくは、災害時に災害救助法が適用された地域でストーマ保有者の支援にあたる、過去の震災の際に支援された例が載っていますので、JSSCR(日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会)の災害対策の歩みをご覧ください。
「災害時は、使いなれたパウチを入手できるとは限りませんしすぐに入手できるとも限りません。そのため、普段から自宅、公共施設など複数の場所に分散してパウチを備蓄することをすすめています。ただし、被災して倒壊した家屋に装具をとりに戻るのは危険です。絶対にやめて、ストーマ用品の無償提供の支援を活用してください。」
「どうしても必要なパウチを入手できない場合は、ビニール袋などを二重、三重にして袋の口をおなかに向けて開いた状態でテープなどで貼り、パウチの代わりにすることができます。以前は子供用のおむつをあてることもありました。一方、パウチが入手でき、使用済パウチを廃棄する場合にはできるだけしっかりと中身を絞り出し、ビニールやジップロックなどにいれて廃棄してください。おむつなどと同様、使用済パウチを廃棄する場所が必要であることを避難所の方に伝えましょう。なお、今回被災されなかったオストメイトの方でまだご自身のストーマ用品の備蓄をしていない方はぜひ自宅と自宅が被災しても取り出せるそれ以外の場所での”分散保管”をしてください。分散保管の場所として一部の区市町村では、公共施設に個人使用のストーマ装具・ストーマ用品を保管場所として提供しています。ご活用ください。」(JOA牛尾幸子さん)
とにかくニーズをあげることが大事!
そのほかにも、避難所のトイレにて被災されたみなさんが長蛇の列をなしている中、パウチ交換のために長い時間かけることができずに危険な自宅に戻ってしまった事例も過去にはあったといいます。
「大きな被害が発生している中、命に関わることではないし・・・と声をあげるのをためらってしまうケースも多いと思いますし、声をあげても実際に支援につながるまでは時間がかかるかもしれません。ですが、まずはご自身のストーマ保有者としてのニーズがあることを伝えてください。気づいてもらうことが必要な支援に繋がる一歩です。」(JOA牛尾幸子さん)
==================================
JOA(日本オストミー協会)の各支部の窓口は・・・
支部一覧 | 日本オストミー協会 (joa-net.org)
※ただし、各支部はオープンしている日が限られていたり、また個人で対応されていたりする場合があります。JOA支部以外の窓口についても同様ですが、被災地では問い合わせ窓口の対応をされている方ご自身も被災されている可能性があります。想像力を働かせて相手に過度な負担をかけないようご配慮ください。
関連団体による災害対策マニュアルなどは・・・
〇JOA(日本オストミー協会)
オストメイトの災害対策 | 日本オストミー協会 (joa-net.org)
災害が起きる前の日ごろの備えと起きた際のストーマ装具入手の方法などを当事者向けに説明。
〇JSSCR(日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会)
災害対策
JSSCRのこれまでの災害支援の事例などをまとめたポータル的なサイト。
災害対策リーフレット
〇JWOCM(一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会)
皮膚・排泄領域における災害対応ブック
東日本大震災で、被災地に皮膚・排泄ケア認定看護師を派遣し、皮膚・排泄 ケアの分野の支援を行い、その経験を基に作成した災害対応マニュアルと災害対応ガイドブック。災害時に被災地の皮膚・排泄ケア看護(WOC)分野で活動する看護職 の方々が活動する際に役立ててもらうことを想定。
そのほかメーカーなどによるまとめなど(順不同,随時追加)
〇ブーケ
【災害対策】ブーケ(若い女性オストメイトの会) (bouquet-v.com)
普段からの災害対策のほか、「ドーナツリング」というパウチの代用のアイディアも紹介されています。
〇NPO法人m-akt
災害時に備えてオストメイトが準備するもの – NPO m-akt
〇ザイタック
オストメイトの災害への備え│ザイタック通信|ストーマ装具販売。給付券の申請から利用までサポートします。株式会社ザイタック (zaitac.co.jp)
〇参考)宮城県ストーマ保有者のための災害対策マニュアル令和元年度版
847769.pdf (pref.miyagi.jp)
一日でも早くいつもの日常が戻りますように。
※このコンテンツは執筆した筆者、メンバー個人のもので、それぞれの所属する組織や団体のものではありません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?