”ナイナイ尽くし"の弱小部活があのBEAMSに湯あみ着を作ってもらえることになった幸せな話-エピローグー
「もともと日本には”湯あみ”という文化があって、麻などの素材を・・・」
2023年1月、結社とBEAMSチームとの会議。画面の向こうには、元BEAMSで、現在はネペンテスウーマンのディレクターである須藤由美さん。
どこをとってもスタイリッシュなパワポの資料を私たちのメンバーに共有しながら、日本の湯浴み文化や自身のデザイン意図を説明していく。
関西弁のこきみよいイントネーションにのって響いてくる、ちょっぴりハスキーな、それでいて抑制のきいた低音ボイス。
そのプレゼンには、そこかしこに繊細な気配りと美しい表現が現れ、聴く人に不思議な安心感をもたらす。
その次の瞬間・・・
布地の輪郭がすっと立ち上がって流れ落ちるような黒色のドレスがPC画面に映しだされた。
それはあまりに凛としていてエレガント。
「これが湯浴み着!?」
タオルをそのまま巻いているようなあのもこもことした素材感でもなければ、どことなくもったりした感じのする「湯あみ着ですから~!」というカラーやデザインでもない。
体形に自信がなく、水着などもう10年以上着ていない私も、一番最初にこのデザインをシェアいただいた瞬間、
「真夏の太陽が地面を焦がす南仏ニースの海岸を、まるでリゾートドレスのような須藤さんの湯あみ着をまとって、颯爽と闊歩するワ・タ・ク・シ♡」
がうっかり脳内に像を結び、一瞬思考がその場から舞い上がり、そのまま飛んでいきそうに。
あぁ・・・あがる♡♡♡♡⤴⤴⤴
今noteを読んでくださっている方の中には、はじめましてのみなさんも多いかと思いますが・・・
そもそも。
私たち『秘密結社アッと♡ストーマ』は、
オストメイトとその仲間で構成されるfacebook上の非営利のグループで、
法人格もなければ活動資金も一銭もない、
いわば「(ヾノ・∀・`)ナイナイ!!」”尽くしの”オトナの部活動”。
そんな弱小チームでしかない私たちの呼びかけに心を寄せ、「そういうことであれば、一緒にやりましょう!」と手をとってくれたのが、テレビディレクターである私の元取材先で、当時BEAMSにいた須藤さんでした。
何を隠そう、須藤さん、NHK『世界はほしいモノにあふれてる』の黎明期にバイヤーとしてご出演いただいた方なのです。
他にも、ストーマ部分をカバーする、ウエストポーチやショルダーバッグのようなタイプや・・・
片側だけ肩にかけるタイプや腰巻タイプなど、
どれをとっても、私たちが湯浴み着としては想像もしていなかった、
スタイリッシュで印象的なデザイン。
この日、須藤さんが提案してくれた湯あみ着に共通していたのは、お気に入りの服を着たときになにか背筋が伸びる”あの感じ”。
そう、どの湯あみ着も、私たちが一番欲しいと思っていた世界の中でキラキラと存在していました。
ここから、実際の着用感や機能面での当事者メンバーのヒアリングを重ねて最終的なデザインを固めていくわけなので、完成形はもちろんこのままではないわけなのですが・・・
須藤さんの最初の提案に感じた”背筋がぐっと伸びる感じ”は間違いなく、そのまま完成形に引き継がれていったように感じています。
さて。
そんな須藤さんが、さくさくと社内調整を進め、プロジェクトの仲間に引き入れてくれたのが、BEAMS内でソーシャルな案件をとりまとめているウィメンズ部兼CSR担当の児玉正晃さんです。
児玉さんの最初の印象は”イケメンおしゃれダンディ”。
いつもほがらかで堂々としていて、何を言っても、何をやってもとにかくサマになる。
なにしろオンラインミーティングで
「パパ!ココア飲みたい(注:めぐる季節感w)」
と、お子さんにからまれている姿さえカッコいいという、私の中の「BEAMSの中の人はきっとこういう人!」を体現している人でした。
その児玉さんの提案で、私たちはかなり早い段階で、いつまでという期限を決めるのではなく、無理のない形で進めていきましょうと「決めない」ことを決めました。
その後、それぞれの仕事が忙しくなるとしばらく音信不通になり、
水面下で動いてくださっている須藤さんたちの作業が進むと、思い出したようにまたみんなで集まり・・・
を繰り返すこと幾年(注:盛り過ぎ)。
仕事の枠外で手弁当で参加しているメンバーがほとんどの結社にとって、実はこの初期段階の約束こそが、このプロジェクトをきょうまで頓挫することなく導いてくれた秘訣だったかもしれません。
とにかく!
須藤さんが具体的なイメージを提案してくれたこの日、私たちの”理想の湯あみ着開発”がBEAMS児玉さん&須藤さんという絶対的かつ強力な味方に支えられて、本格的に動きだしました。
「オストメイトの方が気兼ねなく温泉や銭湯に入れたらいいのに」
そんな思いでプロジェクトを立ち上げてから、すでに1年以上が経っていました。
※結社の活動やこのnoteに記録する内容は、執筆者やメンバー個人のものであり、それぞれの所属する組織とは関係ありません。
※7月26日(金)に小杉湯で開催するお披露目イベントについてはこちら。