つばめ

「さよなら」
この一言で彼は大空へ向かわされた。

生まれて初めての旅路だ。果てしなき道のない大空へ彼は飛び立った。

両親とは、もう逢えないかもしれない。でも彼はそんなことを考えない。

生まれて間もない彼は、恐怖に満たされていた。前途多難なたびのはじまり。

彼には名もまだない。あるのは、使命感だけだ。両親に教わった渡り鳥としてのルートを守り抜くだけ。

言い淀んでいたが彼は、鳥だ。渡り鳥でもあるツバメ。

雛から孵り４ヶ月になった、大人として旅立ちを迎えたツバメだった。

　　　　　　 to be continued