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つばめ(つづき2)

それからの彼は自由を謳歌していた。気ままに飛んでは休み、狩猟した。狩猟と言っても捕食ではなく、木の芽や草花といった、穏やかなもの。


季節も見方して彼はほぼ一日中、満腹に近かった。

このころ、やっとミミズの味を知った。泥の匂いの中に血を感じて、ダイレクトに生命得られる様な心地よさから、好物になった。


他にも、花が好きでスイートピーの花弁は大好物の一つだ。


文字通り甘くて美味しかった。筆者は思う。彼はなかなかのグルメだと。





中には食べられないものもあった。主にアリは、彼にとって苦い思い出となり、嫌いな食べ物となった。木々に生息するシロアリの一種をたまたま口にしたとき、その酸味と苦味に頭が朦朧とし、半日ばかりグロッキーだったからだ。


その時の彼は生まれて初めての後悔の念にかられ、まるで生気の失せた老人の様な思考に陥った。




このときの彼のことを筆者は(若気のいたり)といった。


時には、魚を獲ろうとチャレンジしたときもあったが、まだまだ早かったようだ。



一番問題だったのはスコールだった。とにかく、近くの木を探し陰や枝葉に身を潜めた。ある時は一時間以上足止めを食らったものだ。




その様な暮らしの末、秋の終わりには本州の島根県大田市へとたどり着いた。



                  to be continued…..

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