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LBOモデル作成ステップ|Path to Modeling Test|Step3

概要

前回のPL projectionの記事に続いて、BSの作成に関する内容でLBOローン以外のBS項目のスケジュールである。基本的には普通の財務3表モデル作成の時と大きく変わらないので復習に近い内容になる。次回以降の記事でLBOローン等のDebt周りのスケジュールを記載していく。

運転資本項目

運転資本項目をどの勘定科目にするかは、対象会社の事業内容や特性、財務DDレポートでNet Working Capitalとして定義されている項目の確認、SPAでWorking Capitalとして何が定義されているか、等を考慮する必要があるが本設例では一般的にはAR(Account Receivable: 売上債権)、AP(Account Payable: 仕入債務)、棚卸資産、前払費用 (Prepaid expenses)、その他流動負債 (Other current liabilities)としている。

回転日数や対売上高比率の計算方法は割愛するが、モデル上は期末残高ベースで計算している。Case1=LTM base継続、Case2=2017A ~ LTMの最大値が継続、Case2=2017A ~ LTMの平均値が継続というように設定しているが実際はケース設定はDDや買収後のバリューアップ(operating 改善)、リターンを確保できる最低水準はどの程度か、等を加味して行うことが多い。

モデル上のテクニックでは、回転日数を計算する際の日数をdaysというようにセルに名前を付しておくと楽である。

Working capital cases
関数式の例示

固定資産項目

ここでは有形固定資産および無形固定資産 (既存および新規に計上されるのれん)のスケジュールを説明していく。特別損益に関連するイレギュラーな取引(除却、減損等)がプロジェクション期間中に発生しないとすれば、償却とCapexのスケジュールを反映させるシンプルなモデリングになる。

有形固定資産

こちらは、BSのPP&Eに該当する (Plant, Property and Equipment)。モデルのスケジュールでは固定資産の除却や廃棄、減損等はプロジェクション上考えないことにする(次期会計期間に明らかに見込まれている場合は当然織り込むこと)
なお、減損損失を織り込む場合には損金不算入項目なのでTax scheduleで課税所得の計算に影響する点に留意されたい。

プロジェクションの計算ロジックはシンプルで期首残高+Capex - Dep (減価償却) = 期末残高になる。なお、CapexのプロジェクションはMaintenance capexを含めている。なお、本モデルでは減価償却費はCOGS, SG&Aに含まれる分含め売上高連動で%で計算している点に留意されたい

無形固定資産

無形固定資産で償却性のものにはソフトウェア等があるが、今回のモデルではソフトウェア、電話加入権等諸々含めてintangiblesに含まれていると仮定し、プロジェクション期間中は毎期US$11mの償却が実施されると仮定する。

のれんは買収後に取得対価と純資産の差額で計算され、償却期間20年で計算するスケジュールになる(今回はJGAAP想定)。IFRSであれば償却を実施しないので定額がプロジェクション期間中に維持されることになる。

Tax関連

ここでは、簡易的に課税所得の計算を行い、PLにヒットする法人税等・CFS (キャッシュフロー計算書)に計上される法人税等支払額、BSに計上される未払い法人税等を試算することになる。

PBTはProfit Before Tax (税引き前当期純利益)で、PLよりダイレクトにリンクさせる。Amoritzationはのれんの償却費(全額損金不算入)をインプットする。もしプロジェクション期間中にその他の損金不算入項目(減損損失や持分法による投資損益)が見込まれる場合には、当然にこれらの項目も調整する必要がある。

そして、繰越欠損金が使用できる場合には課税所得が減額できるので、その点もモデルのスケジュールに織り込む。

繰越欠損金(NOL)のスケジュールおよび派生して繰延税金資産(DTA)もスケジュールを作成していくことになる。なぜDTAのスケジュールが必要になるかというと、NOL使用により将来の課税所得を減額=将来の税金支払い額を軽減していることが分かるので将来減算一時差異を構成するからである(税効果会計では将来減算一時差異に対応してDTAを計上する)。

課税所得 (taxable income) がマイナスであればそのままNOL残高の増分に、プラスであれば期首残高と、当期の課税所得*控除限度額%をMIN関数で比較して自動的に計算できるようにしている。

Unpaid Taxは未払法人税のことであるが、中間納付額を考慮して計算し(50%としているのは、6カ月 / 12カ月としていること)、BSに計上される。最終的にはTax scheduleを完成させCF計算書と連動をさせ完成版を本シリーズ終盤で確認することになる。

次回はDebt scheduleを作成、作成例を紹介する。

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