境界線をたどる #2 ―机・デスク・テーブル―
「これ、机の上に置いといて」
この文を読んだとき、どのような状況が頭に浮かんだだろうか。
私は学校で友人に軽く声をかけられるイメージだった。
それでは次の文章はどうか。
「これ、デスクの上に置いといて」
今度は会社で上司に声をかけられる一幕だろうか。
では、
「これ、テーブルの上に置いといて」
今度はどうか。
家族に声をかけられているような気がする。
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机もデスクもテーブルも、基本的には同じものを指しているはずなのに、受け取る印象が言葉によって違うのは面白い。
机 テーブル デスク 違い
などで検索を掛けたら答えが書いてあるのかもしれないが、まず先に自分の中の境界線をたどっていきたいと思う。
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まずはじめに思いつくのは、大きさや重量感の違いだ。
テーブル > 机 ≒ デスク
という印象が私にはあるのだが、みなさんはどうだろうか。
なぜ大きさのイメージに差があるのかと言えば、それぞれ用途に違いがあると考えているからではないだろうか。
デスクは仕事に使われている印象が強い。
パソコンなどが乗っていればなおさらデスク感が強まる、と個人的には思う。
机は仕事以外の何かしらの作業に使われている感じになるだろうか。
勉強机や学校机という言葉があるように、勉強に使われるものは「机」という言葉だ。
作業机という言葉もあるので、そういった印象を抱いているのだろうか。
テーブルは食事を食べる場所というイメージがある。
家で使うものはもちろん、レストランなどにあるものはもれなく「テーブル」であるような気がする。
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しかし、用途だけで考えると問題点も生じる。
私はまだ小中学生だったころ、リビングの食事をとるテーブル(仮)で宿題等の勉強をしていた。
用途だけで考えると、この場合リビングにあるものはテーブルと机の両方に当てはまることになる。
逆もまた然りだろう。
勉強中や仕事中に軽食を取ったら、そこはテーブルになるのか。
......うーん、やはりそれは違う気がする。
こう、お皿が何個も並んでいる感じの食事が乗っていてはじめてテーブル然としてくるのではないか。
ということは他にも境界線を決める要素がありそうだ。
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そう思ってたどり着いたのが、それが何人で使われるか、というものだ。
デスクや机は一人で使うことを前提としているが、テーブルは複数人で使われるものとして用意されている。
......だろうか。
テーブルというとなんとなく、家族友達で食事を囲んでいるイメージが頭に浮かぶ。
もちろん一人で使うこともあるだろうが、設計の時点で複数人に使われることを想定していたら、それはテーブルとなるのではないだろうか。
そう考えると、先に記したようにテーブルだけサイズ感が大きいイメージがあることにも納得できる。
机やデスクは一人で使うことを目的としており、複数人が集まって使う場合には、人数分の机やデスクがあるイメージだ。
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以上をまとめると、私の中での境界線が見えてきた。
①複数人で使うことを目的に作られ、主に食事をするために使うものは「テーブル」
②1人で使うために作られ、主に仕事やパソコンでの作業をするために使うものは「デスク」
③1人で使うために作られ、②で示したもの以外の用途に使うものは「机」
しかし、これはおおまかな分類に過ぎず、実際の境界線は明確に示されているものではなく、グラデーションのように曖昧なものだ。
この記事の見出しの写真のものはどうだろうか。
感覚的には、壁にくっついているものはテーブルではなく、「机」という感じがする。
しかし、椅子が2脚見えているので、複数人で使うものだ。
……とするとこれはテーブル?
たしかにカウンターテーブルというものもあるし。
いやしかし、ここでは食事を取る感じには見えないから……
世間一般の境界線とずれていることもあるだろうが、自分の中の境界線を知ると、ひとつまた自分の考えが見えるようで面白い。
また丁寧に境界線をたどってみたい。