デンマーク、 ロックダウン段階的解除へ
しばらく、記事の更新が滞っていました。
どうやら、私も新型コロナに感染していたようなのです。幸い、重症化せずに回復しました。
そのことについては、またあらためてご報告します。
今日は、昨夜行われた、デンマークのフレデリクセン首相の会見の内容について書こうと思います。3月11日の首相会見から続いていた、新型コロナウイルス感染の急速な拡大を阻止するための5週間弱のロックダウン(国内封鎖措置)が、4月15日から段階的に解除されることになりました。
ロックダウン段階的解除の背景
WHOのパンデミック宣言を受け、3月11日に行われたフレデリクセン首相の緊急記者会見。そこで発表された実質的ロックダウンは、全国民に大きな影響を与えるとともに、事の深刻さがあらためて広く認識されることとなりました。
その日の会見では、 ○急を要さない職務を担当する全ての公務員、すべての教育機関の児童、学生の3月13日から2週間の自宅待機。民間企業もできる限り在宅勤務を要請○100人を超えるイベントや集会の中止 ○3月16日より2週間は全てのデイケアサービス(保育園など)を閉鎖 ○美術館、図書館、バー、ナイトクラブ、レストランなどの閉鎖 ○感染が急速に拡大している国や地域への不要な渡航の中止勧告
などを発表。
3月12日には、
○新型コロナウイルス対策に対する特別措置法が成立
3月13日には、
○3月14日から4月13日まで、空路、陸路、海路全てのデンマークの国境閉鎖
○医療感染者への感染を防ぐため、生死に関わる患者以外の通常診療・治療を中止、閉鎖
3月15日には、
○政府、経営者、労働者の三者合意に基づき、3月から6月の経済損失をカバーする救済パッケージを発表
3月17日には、
○3月18日から3月30日まで、10人を超える集会は室内外とも禁止。違反者は1,500デンマーク・クローネ(約24,000円)の罰金。自宅での大人数でのパーティなども自粛を要請
○3月18日から3月30日まで、大型ショッピングセンター、室内スポーツ施設、ヘアサロン、タトゥー店、ディスコクラブ、バー、レストラン、カフェなど飲食店の閉鎖
3月23日には、
○現在の全ての措置を4月13日まで維持または延期
3月30日には、
状況は引き続き深刻であるものの、新型コロナウイルスの入院患者数と集中治療を要する患者の増加速度が緩やかになりつつあり、恐れていた感染爆発は起きていないとして、
○今後2週間で入院者数等の数字の安定傾向が続けば、2週間後に少しずつ社会を再開させる。しかし、慎重を期する必要があり、感染者数が再び急増することになれば、再び封鎖措置を継続する
という政策をとってきました。そして昨日までに、医療現場での状況が安定的に保たれ、人工呼吸器や集中治療室にも余裕が出てきたことから、30日の会見通り、デンマークは段階的に社会活動を再開させることになりました。
上の表は、デンマークでの病院に収容された新型コロナウイルス患者の推移。青が病院に収容された合計人数、黄色が集中治療室への収容数、グレーが集中治療室に収容され、人工呼吸器を装着している患者数。(デンマーク保健庁ウェブサイトより)
病院で治療を受ける感染者の数が3月末を境に緩やかに減少傾向にあるのがわかります。
段階的解除はどのように行われる?
昨日4月6日のフレデリクセン首相の記者会見では、以下のようにロックダウンの段階的解除の第一段階が発表されました。
○イースター終了後の4月14日まで感染状況の安定的傾向が続けば、4月15日から保育園、幼稚園、学童保育、小学5年生までの学校教育を再開→小さな子供は人と距離をあけることを理解するのが難しいので、よく掃除をし、屋外での活動をできるだけ多くし、大人と子供の距離を保つようにする
○6年生から10年生(6〜9年生は日本の小学6年生と中学1〜3年生。デンマークでは10年生も希望すれば選択できる)は引き続き在宅学習。9年生の卒業試験は中止。卒業時の成績評価は、9年生の成績を卒業の成績とする
○高校その他の教育機関は5月10日まで引き続き在宅でオンライン学習を継続。3年生など卒業試験を受ける生徒は、感染防止に配慮した方法で実施
○公務員と民間企業もできる限り在宅勤務の継続を要請。民間企業については、保健衛生的に責任のある形での勤務が可能になるよう、政府、経営者、労働者の三者で話し合いを続ける
○社会活動の段階的再開に伴い、公共交通機関も増やしていく
○10人を超える大規模集会やイベント、フェスティバルは、引き続き5月10日まで禁止
○国境閉鎖も5月10日まで延長
○ナイトクラブ、バー、レストラン、カフェ、大型ショッピングセンターやアーケード、屋内スポーツ施設、ヘアサロン、タトゥー店、マッサージ、エステティシャン、大学などの高等教育機関、教会、図書館、映画館、協会活動なども5月10日まで活動禁止
となっています。
第2段階は?いつ、どのようになる?
昨日の会見では、フレデリクセン首相は第2段階については明らかにしませんでしたが、「計画通りに進めば、ロックダウンで経済的に大きな影響を受けている事業者の人たちは、そろそろ明るい兆しを感じられるようになるはずです。第1段階がうまくいけば、レストラン、バー、ヘアサロン、カフェなどの規制緩和を優先的に考慮したい」とコメントしています。
雨が多かった今年の冬から、春の訪れとともに穏やかな太陽の光が戻ってきているように、デンマーク社会にも、明るい兆しが見え始めています。
私たちが気を緩めずに新型コロナウイルスと向き合っていけば、見慣れた日常が戻ってくる日もそう遠くはなさそうです。
ただ、昨日の会見でフレデリクセン首相が「コロナ後に、コロナ前のデンマークの日常がそのまま戻ってくるとは考えていない」と語っていたように、私たちは、同じ世界にあるけれど、新しい考え方、接し方で社会を生きていく覚悟が必要なのだと感じています。
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