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1/28(無料)調整入りの可能性出てきている

こんばんはアトレです。
このNoteではファンダメンタルズの観点から米国株式、米国経済を分析しており、かなり易しくまとめて発信しておりますので、何かにお役立て頂けたらと思います。*今週は無料公開でいきます。

先週Noteのまとめです。
〇個人消費系のデータが発表され、12月の個人消費が強かった事が示された(金利上昇の要因
〇米国雇用関係の指標が良く、低い失業率、低い失業申請件数が注目されている。(雇用が強く、FRBは今の高い金利維持の理由になる
〇一方、製造業に関する指標は大きく崩れており、一部の企業決算にもそれが如実に表れており、銀行決算も厳しかった。
カンファレンスボード、銀行などは今後のリセッション、或いは多くの企業倒産を見込んでいる
〇そんな中でBTFP、リバースレポなど市場へのマネー供給が止まらず、株価や経済を底支えしている。

つまり、悪い指標、良い指標と入り乱れているが、インフレ低下&雇用好調という良好状態は続いており、すぐに株価が崩壊するようなセンチメントとはほど遠いという内容でした。

そして今週お伝えしようと思っているのは、現在の決算シーズンがいつもと異なり、決算ミス、或いはガイダンス(来期見込み)が悪化している企業が目立ってきており、ちょっと雲行きが怪しくなった点です。以下のMikeさんの投稿の通り、マグフィニセント7と呼ばれる優良企業を除いたS&P500の残りの493社のEPS(稼ぐ力)は半年前からグイグイ落ちている事が分かります(下図参照)。パッと見、昨年12月からの下落が特にひどいように見えます。

株価はPER(割高性) x EPS(稼ぐ力)で計算されますので、EPSが下がると勝手にその株は割高になり、下落しやすくなるという理屈ですね。PERは金利が低い時に割高になっても許容されやすく、金利が高い時に割高が許容されにくい性質があるので、EPSが下落している時はかなり注意です。
下の図では昨年10-12月(Q4)のEPSについての見直しがどのように入ったのか視覚化されています。

引用元:Mike Zaccardi氏のPost

そして下図は同じ期間の金利(10年債利回り)ローソク足と、SPY(オレンジ線)の日足チャートです。12月頃からEPSは特に落ちているにも関わらず、金利は良好な経済指標に押されて上昇。本来は逆相関する2つがセオリーとは逆に進んでおり、この部分の調整があるかもしれない、と警戒はした方がよいと思います。

ただし、S&P500は残りのマグニフィセント7(M7)がかなり支えており、Mikeさんの図でも、むしろQ4のEPSは+4%と伸びている事が分かります。これによって、S&P500の1年後のEPSもM7の下支えで同じレベルを維持する、という見込みがアナリストから出されている事が以下の図で分かります。

画像引用元:株式マーケットデータ

という事は、足を引っ張っている残りの企業をどこまでM7が支えるような強い決算を出せるかにかかっているので、今後の決算シーズンがかなり大事になりそうです。

さて、決算シーズンを前に、米国の大手企業の役員たちはどのような立ち回りをしているのか?以下はFinbizのサイトから確認できる企業の役員ら(Insider)の売買です。拡大すると分かりやすいですが、赤色が売り、緑が買いです。*売買の額が大きい順
Top Insider Trading Recent Week - Insider Transactions - Form 4 (finviz.com)

シンプルにかなり売りが多いですね。。。

画像引用元:Finbiz

そして気になるのは、少しだけ下にスクロールしたところにあった名前。
METAの社長であるマークザッカーバーグが自社株を売っていますね。

画像引用元:Finbiz

売却して一部資産整理している人なのかなと思い、ニュース(昨年12月)を見たら、普段全く売らなかった人が昨年末から売り始めている模様。決算前に売却しているのは結構気になります。NFLXの社長も同社の決算日にしれっと売却しているようですね。

ザッカーバーグ氏、2年ぶりにメタ株売却していた-年初来172%急騰 - Bloomberg

という訳で、個人の消費、雇用が強い状態が続く米経済ですが、現在はFRBが低下中のインフレに対してリバウンドへの警戒から長く金利を高い状態(5.25-5.5%)でキープしているところです。ちょっと金利が強すぎて経済への悪影響が強くなるかもしれないと警戒したいところです。

つまり、本来は高い金利が続き、CPIが既に金利より低くなっている中、株価や経済がもう少しダメージを受けていないと、過去の例と比べると不気味に強い状態が維持されています。ただ、今年は大統領選の年でもあり、政府としてはばらまきをして経済を維持拡大させる事で、人気を得たいという思惑はあると思われます。

以下の図は政府支出の対前年比のチャートです。22年頭から徐々に政府支出が増えているのが分かります。Q4は少し下がりはしたものの、かなり高い水準で政府支出があった事が分かります。

また、以下はBLSが毎月発表している雇用統計のデータです。最近の雇用に関するデータで、労働者の純増が多いのが病院関係、ソーシャルケア関係、政府直接雇用関係などです。特に政府関係は、今は支出を22年末との比較で約17万人増加しており、果たしてインフレを抑えたい政府がなぜ雇用を他の産業よりも多く生み出し、お金を使う方向に動いているのか
定かではありませんが、政府支出は増え、政府雇用も増え、という状態は暫く続いているようです。

画像引用元:BLS
https://www.bls.gov/news.release/empsit.toc.htm

まとめ
〇S&P493の昨年Q4の収益見通しは悪化が継続しており、この後の決算発表もやや怪しい。
〇むしろM7のEPSは増加しており、M7の決算がいつもより重要。
〇その一角、METAは社長が自社株の売却を続けている。
〇それでも株価が上昇しているのは、大統領選を意識した政府支出、政府雇用が伸びているからなのか?

補足情報:::
Probability of U.S. Recession Calculated from the Yield Curve – ISABELNET

画像引用元:ISABELNET


上記サイトによると、クリーブランド連銀の12か月以内のリセッション入り確率は約70%と計算されている模様。

また、逆に経済が強い情報として、ダラス連銀発行の週次経済データがあり、以下の通り、現在は横ばいかやや上目で推移中。これは主に消費者の消費行動や、雇用データをまとめて数値化されたものであり、比較的個人の消費活動がまだ落ちておらず、キープできている事を指しています。

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米国株・半導体を中心にファンダメンタルズ情報を発信します。 更新頻度:週1~2回 決済は、お申し込みをいただいたときに初月分が発生し、そ…

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