5/12 CPI予想週、なんで株価動かないのか解説します
こんばんは、アトレです。
先週はIMFにおける為替介入のルールを説明し、円ショートのポジションを上手く取れたというご報告をいくつか頂きました、お役に立ててなによりです(*'ω'*)
今週はCPI週ですね、株価がなかなか動かない日々が続きましたが、その理由を解説しがてら、CPIの予想をしていきます。
<今週の内容>
①CPIの予想と、その後の展開
②株価が膠着している理由について解説
まずは、恒例、CPIの予測から始めます。
CPI総合値は3.5%、コアは3.6%を予想します。今回はクリーブランド連銀の予想値がやや高め、アナリスト予想がやや低めという予想値が並んでおります。
見どころは以下の通り、総合値(青線)が1年前にコア(グレー)を下回り、その後、遅れてコアも徐々に下がってきたのですが、今回再び、総合値がコアを下から上に追い抜こうとしている事です。総合値はコアの先行指数的に動く性質があり、総合値が再上昇するような展開になるのは「インフレ再燃」を招きやすいという事です。
また、今回のCPIは総合値が単月で0.4%、コアが0.3%の上昇と予想されており、これは年率換算では各々4.2%、3.1%になるので、単月で見た時に、このまま0.4%、0.3%のような数字が続くようであればFRBの求める0.2%にはまだ遠いという事になります。つまり、まだインフレが強すぎて利下げは先になるという事です。
なので、私はこの予想値通りの数字が出るようであれば、「インフレは強く、利下げはまだまだ先になる」という株価には不利な展開を感じます。
事実、以下のようなFRBのコメントが目立ちます。
シカゴ連銀総裁、インフレ面での進展が失速している証拠はあまりない - Bloomberg
【FRB高官発言】今年は利下げ実施しない可能性も-カシュカリ総裁 - Bloomberg
米ダラス連銀総裁、利下げについて検討するのはまだ早い - Bloomberg
一方、異なる見方もあって、CPIが想定内の結果であった場合、株価上昇するシナリオも十分あると考えられます。
①総合値が高いのは中東における戦争で原油が上がったり、物流コスト上昇という特殊要因が絡んでおり、一時的な要因と読み解くことができる。
②FRBが当面は利下げせずに株価を維持する方策を取る事が周知されており、CPIが大きく上昇、あるいは継続上昇しない限り懸念材料では無い。
③コアCPI(上記図グレー)が徐々に下がってきている。
これらの通り、下がらないインフレ(CPI)が金利低下の重しになっており、市場参加者が多くの買いを入れにくい相場環境になっているかもしれません。
2.なぜ株価が膠着しているか?
以下はナスダックの予想PER(青)と実際の値動き(赤)です。
①予想PERが4月頭から急落している。
→決算を迎え、今後の収益見通しが明るいとのニュースが相次いだがそれに反して株価が伸びなくなった事を示している。
②PERが昨年10月並みに下がっている。
→これは将来的な経済不安があるときや、金利が上昇する局面で見られる現象。悪い経済指標(サービス業低迷、雇用悪化など)が続いており、市場参加者の投資マインドが下がっている事を示す。
次に同じグラフでS&P500を見るとまた印象が異なる。
*黒横線はPER20のライン
ナスダックと異なり、S&P500は4月以降でさほど予想PERが下がっていない。
①ナスダックよりは金利に対する耐性が高い為か、この数か月の金利上昇局面でも高値を維持。
→逆を言うと、現在の予想PER21.3は歴史的に見るとかなり高く、大規模緩和でもない限りはPER25に迫るような上昇は考えにくい。
②4月の決算シーズンを経てPERが低下したナスダックに対し、高いままのS&P500は織り込みが入りすぎていて、伸びしろが少なめと考えた方がいいかもしれない。
つまりまとめると、昨年末頃から株価が経済の好調の織り込みが進み、4月のそれなりに悪くない決算(S&P500社で決算発表済の460社中78%がEPS予想をクリア)の中で、既に織り込まれていた感が強く、PERが割高で高止まりしている事が一段の伸びに繋がっていないのではないかと読み解きます。
最後に、現況を改めて整理したい。
米国の経済は現在、インフレ指標系が強く、雇用、経済活動系が弱い傾向にあると思いますので、少し検証してみました。
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