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[ミミョのUnboxing K-POP] アルバムフォーマットにも本気、ATEEZ「SPIN OFF」ATEEZ『SPIN OFF:FROM THE WITNESS』
3トラックともKポップの様式美とは似ているように、鮮明に異なる展開を見せながらも、ATEEZ特有の危急でクラクラする世界観を再現している。 スピンオフを同じ世界観の中の異なる叙事と表現するなら、このリミックスはアルバムタイトルのようにATEEZのスピンオフと呼ぶにふさわしい(2023.01.11)
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ATEEZにつけられた名札の中に、「麻辣味」というのがある。 この味は概ね暗く劇的なコンセプトと激しくて刺激的な曲、混乱度を加重させる遊び心やこれを音楽的に盛り込む極端な構造と装置などをその成分としている。
ATEEZがデビュー初期には友人たちを愛する楽天的な海賊だったような気もするが、とにかく非常に脱日常的なコンセプトを重点とし出発したので、非常に突拍子もないところに飛んだわけではない。
また、人が冒険をしていると、いろいろなことがあるのではないだろうか。
新曲「HALAZIA」もかなりの「麻辣味」を伝えてくれる。 暗くて切迫した口調と内容の歌詞、ポストアポカリプス世界(黙示録の後)を舞台にするミュージックビデオ、個性がはっきりとしたラップの交差、鋭い高音とひっそりとした低音が共存するボーカルのようなものだ。
サビが伝統的なポップの文法で親しみと安心感を与える部分なら、彼らにとってのサビは舌をさらに痛める時間だ。
特有の呪術的なテーマで密かに緊張を与えては、突然新たな盛り上がりを見せるかのように8ビートでキックが落ち、テンポを2倍に上げる高揚感を与える中で高音を連打する。そのようなサビの最後のラストラインは、2分48秒を経て新しいクライマックスを作り出すのに再利用される。
緊迫したブレイクビーツと荒いチャンティング、暴れ回るシンセサイザーへとつながる後半部は、最後に新たなとどめの一撃が注ぎ込まれる。
ATEEZがすでに何度か見事に披露したことがある手法だ。
「HALAZIA」が収録されたシングル「SPIN OFF:FROM THE WITNESS」には3曲のリミックスも収録されている。「WIN」原曲は不条理ながらも非常に印象的な歌詞一行(僕たちの船は片道だけ行く)にスポットライトを当て、重厚で空虚なドロップタイプのサビへと進み後半に強烈なビルドアップドロップで見事な後奏をむかえた。 「June One Remix」はそれに準ずる多彩なセクションを設けるものの、KPOPよりはEDMの流れにつなげ、猛烈に疾走する。
すでに「HEAT-TOPPING Ver.」に変奏されたことがある「I'm The One」のEden-aryバージョンは原曲の熱さを冷たい空間に転換し、より確実にドロップを構成しながらエレクトロニックで「再解釈」するような対称を示してくれる。
ドライブ感のあるニューウェーブサウンドに哀想を込めた「Take Me Home」は、IDIOTAPEに会って交通安全に対する懸念を引き起こすほどの無謀な暴走に変わった。
3トラックともKポップの様式美とは似ているように、鮮明に異なる展開を見せながらも、ATEEZ特有の危急でクラクラする世界観を再現している。
スピンオフを同じ世界観の中の異なる叙事と表現するなら、このリミックスはアルバムタイトルのようにATEEZのスピンオフと呼ぶにふさわしい。
「HALAZIA」の歌詞や、鎖を引く人間の筋力で(おそらく)超自然的な存在に逆らう場面のようなものは、実はシングルタイトルが主張する「証人の言葉」よりは英雄叙事主人公の視点に近いように感じられる。
しかし、カバーアートの羽のように忽然と消えたものの、かすかな痕跡というモチーフは作品全体によく染み込んでいる。
リミナルスペースと廃墟の概念的な中間のどこかに位置したミュージックビデオの空間がパッケージでもスケッチのように登場し、ミュージックビデオも「あったもの」と「残ったもの」の対比が描かれている。
ちょうどこれは叙事のスピンオフでありアイドルのシングルである。 多くのものを提供するが、また縛る必要のない軽快さが似合うモチーフだ。
このシングルはCDが含まれた「WITNESS Ver.」と2種類の「POCAALBUM Ver.」で発売された。
近年の環境災害と関連して、Kポップ産業では代替パッケージング形式がたまに登場している。
CDを取り除き、パッケージを簡素化し、音源の専用プラットフォームでデジタル視聴権を提供するもので、アルバムがもつもう一つの非常に重要な価値であるコレクターズアイテムとしての財産は維持できるというものだ。このシングルは、フォトカードを飾るフレームとして使えるのが特徴だ。
また、ミニCDサイズの「ミニチュアディスク」が含まれているが、これが少し曖昧な感じだ。もちろん、厚いフォトブックの二酸化炭素排出量は無視できないが、代替包装の重要な議題は、プラスチックの消費削減でもあるためだ。ただ、何も記録されていないこの小さな円盤が、今日販売されるが鑑賞されない数多くのCDと、アルバムであり「グッズ」としての価値という面で事実上変わらない点だけは非常に興味深い事実に違いない。リミックスに多少けちなK-POPでATEEZはデビュー1年を少し過ぎた2019年末にリミックスアルバムをリリースしていた。さらに、国内でのキャリアとは別に行われることが多い日本発売盤を、世界観シリーズに組み入れたりもした。
この過程で既存発売した国内曲の日本語バージョンを収録して行われたリアレンジは、リパッケージの「技術」を新しくする試みとして見る価値があった。
それに続き、<FROM THE WITNESS>の叙事的テーマ設定とリミックスに関連した一連の音楽的選択は、彼らがアルバムフォーマットに関する考えを着実に続けていることを改めて感じさせる。
「麻辣味」に遮られがちだが、ATEEZの濃い味がにじみ出る材料の一つだ。
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