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データ管理を劇的に変える!“マスター”の活用法

こんにちは。中小企業診断士の松島ゆーきです。前回から引き続き、資金繰り表や採算管理の具体的な方法を書くうえで欠かせない考え方 “ 情報やデータの取り扱い方 “ をご紹介します。最後に、サンプルを添付してありますので、参考にしてください。

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1.日々の業務でデータ探しに時間を取られていませんか?

時間かかってません?

「同じ顧客リストを何度も書き直している気がする…」
「売上データを集計するたびにフォーマットが違う…」
 
あなたもそんな経験はありませんか?
 
一見、当たり前のように行われている日々の業務ですが、実はそれが効率を大きく低下させる原因になっていることがあります。そして、根本的な解決策は"マスター"を構築することにあるのです。
 
データがバラバラの状態では、どれだけ努力しても正確な情報は得られません。たとえば、顧客リストに同じ会社が別名で登録されている、売上データが複数のファイルに分散している、商品名の表記揺れが発生している――こうした状況では、集計に時間がかかり、ミスも起こりやすくなります。逆に、一貫性のある"マスター"があれば、情報は即座に経営判断の材料に変わります
 
では、この"マスター"とは何か。そして、なぜ必要なのか。

2.データ管理のカギ、“マスター”とは?

"マスター"とは、データの入力基準を一元化し、重複や不整合をなくすための基礎データのことです。ざっくりいうと、一覧表です。具体的には次のようなものが含まれます。
 
・顧客マスタ:顧客名、住所、連絡先、取引条件などを統一的に管理するデータベース。
・商品マスタ:商品名、品番、単価、在庫数など、商品ごとの基本情報を集約。
・社員マスタ:社員番号、氏名、部署、役職、給与体系などの社員情報。
 
これらの"マスター"が整備されていない状態では、データの信頼性が著しく低下します。

3.実際の例:ある製造業での混乱

ある製造業者では、取引先ごとの売上高を毎回伝票からExcelに入力して管理していました。その結果、こんな事態が発生しました。
 
- 会社名の表記が“ ㈱ ”の時もあれば” 株式会社 ”の時がある
- 会社名の入力方法が半角カタカナの時もあれば、全角カタカナの時もある
- 単純な入力間違い省略での入力。
 
これにより、同じAという会社でも、集計時に複数に分かれてしまい、担当者は何時間もかけてデータを突き合わせる作業を強いられていました。経営者はこう嘆きました。
 
「本当にこの情報は正しいのかわからない。これでは意思決定するのか…怖いな…」
 
この状況を変えたのが、"マスターの構築"でした。

4.なぜマスターが必要なのか?

マスターを構築することで、次のような効果が得られます。
 
1.データの一貫性が保たれる
誰がデータを入力しても、同じ形式・基準で登録されるため、情報のばらつきがなくなります。
 
2.業務の効率化
マスターを参照すれば、データ入力や検索が一瞬で完了します。これにより、手作業が大幅に削減されます。
 
3.意思決定の精度向上
正確なデータが即座に手に入るため、迅速かつ正確な意思決定が可能になります。

5.具体的な変化:製造業A社の事例**

製造業A社では、顧客マスターを整備したことで、業務に劇的な変化が生まれました。
 
・導入前:売上データの集計に3日以上かかり、現状把握に遅れが生じていた。

・導入後:売上データはリアルタイムで確認可能になり、月次レポート作成時間が5時間から30分に短縮。

・戦略的な意思決定:どの取引先の売り上げが多い時に利益が出やすいか分かるようになり、受注の優先順位を決定し利益率が2%向上。
 
「今までは何度も確認していた作業が、ワンクリックで終わるようになった」

担当者はそう語ります。
 
こうした具体的な成果は、正確なデータを基にした経営判断が可能になったことを示しています。

6.どうやってマスターを構築するのか?

ここで重要なポイントがあります。
 
『マスター構築の第一歩は、データの現状を正確に知ること』
 
です。これがなければ、いくら手を加えても根本的な解決にはなりません。マスターの構築は、最初は小さな一歩から始めることです。ここの近道はなく、地道な作業です。しかし、この地道な作業を乗り越えた先には、大きな成果が待っているので、諦めずにやり切っていきましょう。

7.マスター構築のステップ

1.データの棚卸し
- 現在使用しているデータをリストアップし、どの情報が必要か整理します。
 
2.一意のIDを設定する
- 顧客ID、商品IDなど、データを識別するためのユニークなIDを付けます。
 
3.データ形式を統一する
- 名前の表記や単価のフォーマットを統一し、入力ルールを明確にします。
 
4.定期的な更新・確認
- マスターは一度作れば終わりではありません。定期的に見直しを行い、最新の状態を保ちます。
 
これらのステップを踏むことで、データの信頼性が飛躍的に向上します。

8.最後に:マスターが未来を拓く

情報の整理ができない状態では、何をしても効果は半減します。しかし、マスターを構築することで、データが経営判断の力強い武器になります。
 
まずは、次のアクションを試してみてください。

・顧客リストを整理し、一意のIDを付ける:Excelやスプレッドシートでも簡単に始められます。

・商品データの重複をチェックする:品番や名称を統一することで、管理が一気に楽になります。

・1週間のうちにデータ棚卸しを実施する:今あるデータの現状を把握するだけで、大きな一歩になります。 

「小さな改善が、経営全体を大きく変える一歩になる」
 
今日からできるアクションをひとつ、まずは始めてみましょう。それが、あなたの未来を拓く鍵になります。 Excelやスプレッドシートを使えば、手軽に始められます。そして、商品リストの表記を統一するだけでも、業務の無駄がぐっと減るはずです。一歩踏み出せば、確実に成果が現れます。
 
マスターの例と具体的な集計の方法を添付してあります。ご活用ください。
取引先一覧(マスタ)を作成しておくことで、取引先や業界を自動入力が可能。また、これにより、集計や分析のスピードが上がり、意思決定の精度が上がります。
※生成AIにてデータを作成しており、顧客名や金額などは架空の情報です。

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