どの流派がお好み?---五ヶ伝を知る@刀剣博物館
こんにちは!苛性ソーダです。
今回は、刀剣博物館さんで開催中の「五ヶ伝と五ヶ国の日本刀」の展示に行ってきましたのでそちらの感想をつらつら書いていきたいと思います。
両国へ
朝9:30、会館時刻と同時に墨田区の両国にある刀剣博物館さんへやってきました。
ここは通年日本刀の展示をしている博物館で、いつ来ても刀が見れます。
今は少しでも刀剣鑑賞をした人ならば一度は耳にしたことがある(かもしれない)五ヶ伝をフィーチャリングした展示を開催中です。
五ヶ伝って何?
そもそも今展覧会のテーマ、五ヶ伝って何…?ということなんですがこれは
・山城伝(京都)
・大和伝(奈良)
・備前伝(岡山)
・相州伝(神奈川)
・美濃伝(岐阜)
の五つのことで簡単にいうとその地域に特有の作刀方法・流派みたいなやつです。
この五つの地域に伝わる作風はかなり違くて、
今回の展示はその五つの流派の刀を見比べることができる面白い展示になってました。
その中で印象に残った刀の感想を書いていきます。(今回は写真OKでした)
専門用語多めになってしまったので、わからない方は調べてみてください。
※転載禁止/Reproduction prohibited
お出迎え
ここの展示室は、入ってすぐ一振りだけが展示されているケースがあるのですが、今回はそちらで太鼓鐘貞宗がお出迎えしてくれました。
こちらは相州伝
正宗の後継者とも言われている貞宗の刀です。
地鉄は青い光を放ち、刃には沸の白くて眩い光が…
小ぶりなのに物凄い存在感。
これぞ京物 山城伝
展示は山城伝の刀からスタートします。
山城伝の刀として有名なのは宗近・吉光・国行などでしょうか。
吉光の刀が好きなので、鍋島藤四郎をじっくり観察……
吉光の刀は焼き出しのところに動きがあるのがいいですね〜!
派手さはなく質の良い鋼に綺麗に焼き入れを施していてシンプルイズベストという感じ!!
山城の刀は小さい沸(焼き入れ組織の粒子)がきらきら輝いていてとても綺麗、静かで曲線的な印象です。
京都の建築、街並みや庭園に似てるかも?
仏教の地 大和伝
続いて大和伝。
有名なのは千手院、尻懸、保昌、手搔、当麻!
こちらは千手院派の刀です。
焼きが低い!見てて気持ち良いくらい細い!笑
でもよく見るとこの細い刃文に金筋などの働きが詰まってます、面白い。
大和伝は寺院お抱えの刀工たちの流派で、仏教の影響か作風は無骨な感じ。
山城伝の曲線的な作風に対して大和伝は直線的だななんて思います。
豪華絢爛 備前伝
次は備前伝。
有名なのは、福岡一文字や長船派。
こちらは福岡一文字派の助真の刀です。
刃文は丁子乱れで写りが特徴的。
匂(焼き入れ組織の粒子)本位なので表面が霞みがかって見える気が…
この豪華絢爛な刃文は備前刀の特徴とも言えると思います。
先ほどの山城、大和と比べると作風が全然違いますね!見比べが楽しくなってきた!
青い輝き 相州伝
続いては相州伝。
有名な刀工はもちろん正宗!
貞宗、広光、行光と名だたる刀工が揃っています。
正宗といえばこの炎のような刃文、地鉄の青い光というイメージが個人的にはあります。
沸が大粒なので、先ほどの備前刀とは違い触ったらざらざらした手触りなのかな……なんて思ったりします。(もちろん触ったことはないです笑)
正宗の刀は見たら直ぐわかるくらい特徴的。
刀のことを全然知らない人も正宗の名前だけは知ってるのでは。そのくらい有名というわけですね!
個性派揃い 美濃伝
最後は美濃伝。
美濃伝といえば兼定や兼元!
兼元といえば三本杉の刃文!
二枚目の写真をよく見ると尖った刃文が見えると思います。
美濃伝ってほんとに色んな作風があって個性的。
兼元のような尖った刃文の三本杉、兼定のような独特の流れ、兼房のようなぶわっとした乱れ刃や様々なものがあります。
新めの流派なのも影響してるのか?
終わりに
ここまで読んでくださりありがとうございます。
五ヶ伝の違いがわかってくると刀剣鑑賞もどんどん楽しくなって、色んな刀を見てみたい!と思うようになるのではないでしょうか。
今回の展示は入門としても良いかもしれません。
この記事ではほんの一部しかご紹介していないので機会があれば是非是非、現地で実物を見てくださいね!
お決まり
刀を見終えるとなぜかアルコールが欲しくなります。なぜか。。。