本厄に白血病になった話①
2020年3月30日、ちょうど今から一年前のこと。私は白血病と診断された。
丸一年を記念して、せっかくなのでこの機会に振り返ってみようと思う。
2020年、本厄の幕開け。
小さい頃は、そこそこ運が良かった。小さなクジで当たりが出たりするような、そんな子だった。ただ雨女で、遠足や修学旅行はどこかで絶対雨が降った。
少し大人になり、悪運は徐々に強くなったように思う。友人の結婚式に着ていく服を、大きめのショッピングモールへ買いに行った時、何故かその日だけ全店舗休みだったり(当時はまだ彼氏だった旦那に爆笑された)、旦那がおすすめのラーメン屋に連れて行ってくれたら、(何件かあったのに)行くお店が全て閉店や休みだったりしたこともある。
そんなこんなで私の本厄を本気で心配した旦那は、しっかりと厄祓いするように言ってきた。私自身も不安はあったため、1月3日にはいつも行くお寺へ初詣に行き、そこで厄祓い祈願に一万円を献上した。
その頃はまだ、コロナウイルスというものはダイヤモンド・プリンセス内での脅威でしかなく、ドライブや旅行の計画も楽しげに語り合える世の中だった。
年末に転職していた私は、日々の生活にストレスと疲労の蓄積を感じていた。仕事から帰ってきて家事をし、寝る前に泣くこともしばしば。そうこうしているうちに、3月に入ってから急に体調が悪くなり始める。
リンパが腫れてかかりつけの耳鼻科にいくと、まず咽頭炎と診断された。仕事終わりに身体が怠くなり、夜は熱が上がる。薬を飲んで寝ると朝には下がるため、仕事に行くという日々。
首のリンパも腫れたり治ったりを繰り返していた。さらに、坂道を登った時に息切れをするようになる。
この時、最初にコロナを疑った。
でも、海外渡航歴もなければ、コロナ患者との接点もない。それは違うか、と思い直した。
そして、ちょうど子どもの卒業式。リンパの腫れがゴルフボールくらいになっていることに気づく。しかもなんだか硬い。慌てて卒業式の前に耳鼻科へ駆け込んだが、すぐに何かということはなく、抗生剤を内服して1週間後も変わらなければ大きな病院へ行くように言われた。
1週間後。結局腫れは治らず、総合病院の耳鼻科を受診。採血の結果、耳鼻科的な異常はないが、白血球の数が異常値であるため、そのまま血液内科に行くよう促される。
この時ですら、やばい病気だったらどうしようという不安はあったものの、自分が白血病かもしれないとは思わなかった。
しかし、待つこと1時間後。呼ばれた診察室で、座った瞬間に知らされることになる。
「白血病で間違いないでしょう。今日から入院できますか」
白血病?ハッケツビョウ?
もちろん聞いたことはある。一番最初に思い浮かべたのは、中学か高校くらいの時代にみた世界の中心で愛を叫ぶだ。確か、あれは結局ヒロインと死に別れした気がする。
自覚もなく、突然のことで頭はついていかなかったけれど、自然と涙だけは流れ落ちた。
あ、死ぬかもしれないと思った。
これが、告知された時までの記憶。
この後、徒歩15分かけて家まで歩きながら、友人の保険屋へ連絡して入院することを報告したり、旦那が慌てて帰ってきて、私を抱きしめて泣いたりしたけど、私だって全然自覚がないわけだから、ただただ戸惑いしかなかった。