恋と呼ぶには
「あまり期待しない方がいいわよ」
我が家では「期待しない」ということが重要なものだった。
現実主義で幼い頃は全く面白味のない家族だと思っていたけど、私もその家族の一員何だと思った時、私も人間としての面白味のない人間だと痛感した。
ともかく
人間関係、クリスマス、宝くじ、、、、
さまざまなものに期待をしないように教えられてきた。
なのに
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舞浜からの帰り道。
時刻は21時を過ぎている。
都会はすごいものでこんな時間になっても人は忙しない。
駅を2分ほど歩けば全く仕事をしていない街頭が等間隔にぽつりぽつりとある地元とは大違いだ。
この光景も2年ほどたてばすんなりと馴染んでいる。
インスタに投稿できない思い出があっても良い。
彼がいれば私はそれで良いと思っていた。
「〇〇ちゃんと付き合うことになった」
彼はいつも事前報告を怠る。それに呼び出すときは大体急に呼ばれるし、次の予定なんて言われたことがない。
「じゃあ今日が最後だね」
口から出る言葉は心の
私しか知らない彼の癖
彼の背中のちょうど真ん中に小さいほくろ
私しか知らなかったことをあの子もだんだんと知っていくんだと思う。
私は、きっと、何かに期待していんだんだと思う。
この関係に何かを期待していて、きっと彼にも期待していたんだと思う。
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家族とはもう2年ほど会話もしていない。
私にはもう何も期待するものがなくなった。
これでいいんだ、これで。
恋なんて期待するものではない。
何かに期待した瞬間負けなのだ。