【毎週ショートショート裏note】『小判食え』
昔むかしあるところに、お参り好きの男がいました。男はこれまでなけなしの小判をお供えしてきました。
ある時、男が森の社でお参りをしていると、「こばんくえー」「こばんくえー」という声が聞こえてきたのです。
その声はとても不気味でしたが、なぜか惹かれるものがあり、気が付いた時には小判を口にしていました。
すると、チャリンチャリンと音がし、足元に2枚の小判が転がってきたのです。男はもう1度小判を口にしました。するとまた小判が2枚足元に転がってきたのです。
それからというもの男は、小判ばかり食べるようになり、やがて大金持ちになりました。
しかし、栄養のない小判ばかり食べていた男は、ある時山道の途中で気を失ってしまいました。
次に目を覚ました時には、優しそうなお爺さんがご飯を分け与えてくれていました。男は、そのお爺さんのおかげで元気になりました。
その夜、お爺さんの家を訪れた男は、お礼に大量の小判を届けたのでした。
おしまい。(415字)
たらはかに(田原にか)様の企画に参加させていただきました。
*日本昔物語『ごはん爺さん』
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