【毎週ショートショートnote 裏お題】『 星屑ドライブ』

「はい」
　満天の星の下、山道を運転していると、助手席の彩が缶コーヒーを渡してくれた。すでにフタが開いている。人一倍爪に気を遣っている彼女。爪の心配をする俺に「大丈夫」と彩は微笑んだ。
　俺はコーヒーを飲みながらその顔を一瞥する。
　
　今夜、転落事故に見せかけ彩を殺す。転落する場所、飛び降りるタイミング。計画はバッチリ――のはずだった。
　
　もうじき山頂。という所まで来た時だった。前方に対向車が現れる。すれ違う直前、その車が突然向きを変え俺の車に突っ込んできた。ブレーキを踏んだが間に合わなかった。強い衝撃が身体を襲う。しかし俺も彩も何とか無事だった。
　車外にでる。散らばった車の破片がまるで星屑のようだった。その中に男が倒れている。事故の相手だろう。傍らには女性がおり、泣きながら名前を叫んでいた。
「翔斗！翔斗！」
　しかしその声は届くことはないだろう。倒れた男の首はあらぬ方向を向いてる。俺はその姿を茫然と見下ろしていた。（410字）

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たらはかに（田原にか）様の企画の裏お題に参加させていただきました。
＊星屑をこんな風に使ってすみません。
　そして今回はちょっとした趣向をこらしています。本題も裏お題も、それぞれ単体で1つの作品ですが、合わせて読んでいただけると幸いです。（それにしても、こんなこと410字でやることではないなとつくづく感じました。）