【毎週ショートショートnote】『強すぎる数え歌』

　噂は本当だった。
　大勢が床に突っ伏した状態でいる目の前の光景に、翔斗は目を疑う。
　『呪いの数え歌』この歌を聞いた者は、呪いにかかったように次々と倒れていく。まさにその噂が証明された瞬間だった。

　ひとつ、ひとのせ、ひとたたき

　ふたつ、ふたたび、めひらけば

　みっつ、みずから、みをよせて

　よっつ、よいまで、めをとじて

　いつつ、いつまで、いきひそめ

　むっつ、むかえる、とうげんきょう

　ななつ、なきがら、なげうって

　やっつ、やちよに、やすまれば

　ここのつ、ここらで、ねむりましょう

　とうとう、うとうと、ねんねこや

　とうとう、うとうと、ねんねこや

　保育士の翔斗は、園児たちが全員すやすやと眠りについていることを確認すると、優しく微笑んだ。『呪いの数え歌』なんて異名があるが、本当に役立つ歌である。
　聞いた子は呪いにかかったように次々と眠りに落ちる。わずか1分程度で、20人の子どもを眠らせることができるなんて、まさに強すぎる数え歌だ。（414字）

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たらはかに（田原にか）様の企画に参加させていただきました。
＊みなさまが眠りについていないことを祈るばかりです。