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2017.4.1 法の数え方に関する法律案提出遅れる

エイプリル・フール・ニュース05
赤瀬川原平さんの『新解さんの謎』(文芸春秋社)で、新明解国語辞典で数え方欄を新設したことを書いていて、それに着想を得ています。そういえば、本文とは関係ないけど、立川志の輔さんのマクラで、ウニは「ひとつぼ、ふたつぼって数えるんだってさ。ウニと土地と同じだという・・・」というのがありました。なお、この記事でも、実際の組織、人物とは一切関係がありません。

法の数え方に関する法律案提出遅れる

                            2017年4月1日

 法制審議会法の数え方部会で審議がされている法の数え方に関する法律案の取りまとめが難航している。
 法律などの法令をどのように数えるかについては、従来、意見が分かれており、それを統一しようと法務大臣が法制審議会に諮問していた。しかし、最終的な局面で議論がまとまらず、今国会での提出が難しくなっている。
 法の数え方については、大きく分けて「本」派と「件」派があることが知られている。「本」派は、一般の人は法律を1本、2本・・・と数えるのであり、それが定着しているという理由で「本」で数えるべきだという。たしかに、『数え方辞典』や「かぞえ方欄」を設けた『新明解国語辞典』では、法律は「本」で数えるとされている。「本」派に対しては、同じく1本、2本・・・と数えるものに鞭、蝋燭、縄があることから別の業界の話ではないかという批判がある。一方、「件」派は、1件、2件・・・と数えるのが公式の数え方だということを理由としている。たとえば、法務省自身、平成20年に「現行法令件数について」という大臣官房司法法制部司法法制課が作成した記事をホームページ上に載せていたということがある。しかし、これに対しても、法が事件や事故と同じかという批判がある。また、『内閣法制局史』に「各府省が起草したものを技術的見地から一本の法令に統合する」という記述があり、公式のものが「件」で一貫しているわけではないという指摘もある。なお、法は生き物であり、そのうえ法令には短いものも長いものもあって、その意味で、体長1ミリのノミからサナダムシや体長10メートル以上にもなニシキヘビ、さらには恐竜にまでに使われる「匹」を使うべきとする「匹」派もいるが、少数にとどまり、部会にもこの派の学者は入っていないし、「匹」は検討対象とはなっていない。
 部会での議論が続いていたが、今年に入って、「本」派の一部から、この法律で定めるのは成立した法令についてのみであり、これは「本」とするが、それ以外の案の段階では「件」でも構わないということを部会長声明で明らかにするという妥協案が示されたことで、さらに混迷を深めることになった。「件」派にしてみれば、公式のものこそ「件」であるべきだとする原則論があり、この妥協案にはかえって反発を強めている。一方、「本」派の中からも、法律と法律案で数え方が異なるのはおかしいという声が上がっている。
 法務省幹部は、「票の数え方がわからない」とこの議論の行方が読めないことに困惑している。
                               (加添益代)

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