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牧草生産のリアル part1

乾草ロール収穫風景

日本のみなさんこんにちは!
今回の記事は『牧草生産のリアル』ということで、私のメイン事業についてリアルな現状や課題など、記事を2回に分けて包み隠さずお伝えします。

私の使命

牧草生産からAtomicottaはスタートしたわけでありますが、私はこのメイン事業においては幾分かの利益で抑えたいと思っています。メイン事業でありながら利益を優先しない理由は、個人で頑張る小規模酪農家さんの経営を少しでも安定させるためです。

『安価で安定した国内産の牧草をAtomicottaコミュニティの同志(個人農家さん)に届けたい』

これが私の思いであり、使命です。

経営が緩くない場所に牧草を届ける事をミッションとしています。

以前もお話したかと思いますが、持続可能な酪農は『小規模農家さんの分散』にあると信じている。

頭数に見合った農地で放牧酪農をしていくことがこれからは必要になってくると思っている。
輸入飼料に頼って規模拡大すれば、必ず大きなツケが回ってくるだろう。


牧草は儲からない⁉︎

先に申し上げておきます。
牧草生産は儲かるか儲からないか。

はっきり言って儲ける事は難しい。
これをやるくらいなら他の事業に手をつけた方が賢明です。

なぜ難しいか理由を挙げます。

①農地がないとできない
②トラクターと作業機は高額(中古も)
③機械は壊れるもの(部品代や修理代は高額)
④肥料、資材、燃料の高騰
⑤天気に左右される

人を雇わず個人でうまくやれば、贅沢はできないが、それなりに生活して食べていけるぐらいです。

牧草生産のメリットは季節限定であること。なので時間的余裕があり他の事ができる。
一年のうち正味2ヶ月稼働するかしないかです。

私の場合、冬季はバスの運転手をしたり、隙間時間に知り合いの農家さんのところで農作業を手伝ったりして小遣い稼ぎをしたりしています。

このように兼業できる事が最大のメリットかなと思います。

デメリットは挙げればキリがありません。ただ一つ言える事はこれで裕福になる事は絶対にない。

普通、牧草生産は酪農家自身がやるんです。近年ではコントラという農作業を請負う会社に委託する事もあります。委託すると言っても機械、資材、燃料は各農家さん持ち。トラクターのオペレーターの給料まで払う事になります。

これは果たして持続可能なのか。

『コントラ』はこれからの農業における救世主と聞きますが、オペレーター不足で終わるか、農家がパンクするかで終わるんじゃないかと。

飼料はやっぱり酪農家自身で自給しないと。
足りない分は僕が自前の機械で作り、近くにいらっしゃれば自前のトラクターで手伝いに行きますから。


どうしたら儲かる?

経営が緩くない小規模農家さんを救う事をミッションとしているので、牧草生産で儲ける事はあまり考えてはいません。他で頑張って稼ぎます。

ただ、この牧草生産事業がどうやったら儲かるかを自分の経験から述べてみる。

利益をあげる方法(私の主観)

儲けようとする場合、シンプルに考えて①たくさん売る、②価格をあげる、③コストを下げる
という方法を誰しも考えると思います。

①”たくさん売る”の方法を取る場合、農地を広げていかないといけません。規模の拡大です。

草地面積から作れる個数は、天気に左右されますが大方決まってきます。

私の場合は反(たん)に1.5~2個のロールが作れるか作れないかです。1個のロールは直径140cm、重さにして乾草なら200キロ前後になります。

※1反(たん)=10a(アール)=1000m2。
 1町(ちょう)=1反×10=1ha(ヘクタール)

私の草地面積は約26haであり、作れる個数はうまくいって500個(1番草)ぐらいでしょうか。

ここが僕の始まりの地(26ha)

このように作れる個数に上限があるのです。
たくさん売るのは草地面積次第。

①”たくさん売る”の方法の欠点を挙げます。

  • 草地の購入(1haは安くて50万、高くて80万ぐらい)

  • 機械の大型化(処理能力をあげる必要がある)

  • 飛び地への移動の負担

  • 天気次第で余す可能性大

  • 人を雇う事も視野に入れないといけない

①”たくさん売る”の方法は無謀です。お金に余裕があればやりたいし、たくさん作って、格段に安い価格で提供したい。需要もある。

ただこの選択は今は取れない。

次に②”価格をあげる”方法の場合を考える。
これは手取り早いだろう。価格を500円でもあげると、それだけで僕の場合は30万は違ってきますからね。

ただ上げるのは簡単なんですよ。
500円あげたとしても売り切れるでしょう。

だけどこれでは小規模農家さんは救えない。
僕の使命を果たせません。

新規就農して農業の道に進み、大きな借金(数千万〜)を抱えるわけですよ。
借金返済でやっとで、次営農できるかできないかの不安を抱え、今を必死に生きてる人を見ています。

借金さえなければ、色々挑戦できるのに。
別の方法も選択できるのに。
肩身の狭い思いをしなくてすむのに。

だから②”価格をあげる”は僕はしません!
一緒に身を削ります。

僕は早く借金返済に協力したいので、本当なら軌道にのるまで、ほぼほぼ無料にしてあげたい。

その為の方法として、各農家さんの牛をファン化させて、『みんなで一緒に育てる』仕組みを作ろうと思っています。

みんなで育てるリアルゲームの様なものです。

Atomicottaの第一ビジョンでもお話しましたが、漫画家さんと一緒にそれを作ります。

最後は③”コストを下げる”方法について。
どこでコストを下げるか。

一番良いのは乾草のみを作ることに専念することがいいかもしれない。

ラップサイレージよりも乾草の方が需要もあり、高く売れます。なぜなら、ラップサイレージは水分量によって品質に差がありますし、ラップが少しでも破けているとカビがすごいですから。

そしてラップを開けて中身を確認しないと状態がわからないという点は、購入する酪農家さんも頭を悩ます問題と言えます。

また、ラップサイレージですから当然ラップ代がかかってきます。ラップ代は本当に馬鹿にならない。

ロール一個で500~600円ぐらいかかり、これが500個作るとしたら、ラップ代はtotalで25~30万かかります。

ならラップサイレージをやめればいいと思いますが、そう簡単にはいかないのです。

それは本当に天気次第。

乾草は最低でも3日間、雨にもあてずにもっていられるかどうかなのです。
途中に天気が変わって雨が降るとなれば、急いで巻いてラップサイレージに切り替える。

天気がもたず、雨にあたれば乾草は最悪です。
栄養価も一回の雨でガッツリなくなる。

そうなるのであれば、ラップサイレージにした方がいい。

天気予報は翌日の天気は当たるが、3日後の天気は結構外れます。僕も読みを外して泣いた事があります。

話はそれましたが、③”コストを下げる”方法においてもう一つ下げれるのではないかと思うところがあります。可能性として試している段階ですが、それは肥料です。

化成肥料を抑えて、鶏糞を撒く事です。

圧倒的に化成肥料の方がイネ科の徒長スピードは速く、収量も断然違いが見れます。
鶏糞は1番草刈り取り後にすぐ撒いて2番草の肥料にしています。

2番の収量は落ち込みましたが、コストと収量を比較してみて、コストを抑えた方が利益になるかなと今のところは判断しています。

他にもコストを抑える事のできるところがあります。それはロールが完成した時にネットタイプよりも、トワインという紐タイプで結束する事です。トワインで結束した方が断然安い。

今はネットタイプが主流ですが、僕はトワイン一択です。微々たるものですが、10年、20年後の差は大きなものです。

今回はここまでと致します。次回の記事では『牧草生産のリアル』part2という事で、牧草生産で使用しているトラクターや作業機械について紹介します。

またこれからの牧草生産という事でAtomicottaの第ニビジョンにも触れていこうと思っています。

ご一読ありがとうございました!

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