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牛の楽園を目指して

日本のみなさん、こんにちは!

前回の記事では漫画家さんとの出会いや私の夢について語りました。ぜひこちらも読んでみて下さい。

今回はAtomicottaの第一ビジョンについて深掘りしていきます。酪農と向き合う漫画家さんとの共同プロジェクトについて頭の中で描くイメージをみなさんにお伝えできればと思います。

Atomicotta第一ビジョン:
日本最大の酪農地帯で”とある漫画家さん”と一緒に動物の福祉に基づく放牧型観光酪農園を築く


漫画家さんと私の信念

みなさんはAtomicottaの第一ビジョンを読んでどんなイメージを持たれたでしょうか。

僕らは何やら動物愛護組織か何かの人間かなと思われたかも知れません。特に”動物福祉に基づく”とありますから。

ここは僕らのスタンスに関わる重要なところでもあるのではっきりと申し上げます。

違います。

私達は人の食を支えるという使命を持って農業をしています。あくまで人と家畜という線引きはしっかりとあるわけで、人間中心の立場をとっていると言えるでしょう。

牛乳も飲みますし、肉も美味しくいただきます!

それが大前提としてある上で、家畜動物の健康とストレスに配慮し、動物達の生活環境の改善に努めていく。また無駄な搾取は改め変えていくべきだという姿勢をもっています。

それが動物福祉に基づくと表現した理由です。
これからそのような団体や組織に入るつもりは全くもってありません。このようなスタイルを生産の現場から発信し、日本のみなさんを巻き込んで『和』をもって変えていきたいと私は思っています。


漫画家さんと築く酪農スタイル

漫画家さんと共に推し進めていく酪農スタイルについて具体的に挙げていきます。

①舎飼いから放牧へ

これはもうすでに始めていることですが、舎飼いというのは牛を牛舎の中で生涯飼育することです。舎飼いの場合は牛を外に出すことはありません。

一方、放牧というのは牧柵で仕切った草地に牛を放し飼いにすることです。青草を食べさせて育てます。

漫画家さんが舎飼いから放牧に切り替える初日に、私も手伝いに行きました。

初めて外に出て行く牛達は最初は戸惑っており、どこへ連れて行かれるのか不安そうな表情に見えました。しかし広々とした放牧地に放たれた時には、勢いよく飛び跳ねながら元気に走り回り、青草をモリモリと食べていたのです。

そんな光景を目の前にして「これが答えだな」となんだか腑に落ちる感覚を味わいました。

漫画家さんの放牧地風景

②牧草主体の飼料で管理

牧草主体の飼料で管理するというのには2つの狙いがあります。まず一つは濃厚飼料(高タンパク飼料)からの脱却です。それによって飼料コストの削減、牛達の健康促進を期待できると思います。

牛は人間では消化できない草を消化できます。牛の胃の中にいる微生物と反芻によりそれを可能にするわけですが、牛は草が主食。

濃厚飼料をゼロにするとまでは言いません。ご褒美のオヤツとして少量はあげたいなぁとは思っています。労いの気持ちです。少なくとも乳量をあげる為に給餌するという考えはやめたい。

そしてもう一つの狙いは頭数に見合う農地(牧草地)を牛舎の近辺に持ち、牧草を自給することが持続可能な酪農なんだということを社会に提示するのが狙いです。これは漫画家さんというより私の勝手な思いです。

③ミルクはまず子牛に

普通は生まれたばかりの子牛は初乳を飲ませて、その後はすぐに母牛から引き離します。

漫画家さんの場合は放牧地で自然に産んで、母牛に子牛を育ててもらうやり方を取っています。母牛のミルクはまず子牛の為にあると言うのが、漫画家さんの思い。子牛が飲みきれない分を私たちは頂くというスタイルなんです。

僕はこれを『お零れミルク』と命名しよう。

まず、これをする酪農家さんはほぼいないのではないかなと思います。しかも子牛が離乳するまで(2-3ヶ月)は母牛と一緒にさせています。

これは儲けから遠のくやり方です。
搾る量は減りますから。

牛達の自由度を上げようとすると利益は減少する、トレードオフのいい例ではないでしょうか。

④高泌乳にこだわる生産はしない

現在は昔と比べて品種改良や飼料分析による栄養管理の発展により、1頭が年間に出す乳量が飛躍的に伸びました。ただそれと引き換えに長命性は短くなっています。

私が実際に目にしてきた中で、この手の牛は乳がパンパンに大きく、地面につきそうなくらいです。そういう牛は跛行が目立ちます。

道東の酪農地帯は圧倒的にホルスタイン種が多いです。なぜなら乳量が他の種と比べて別格だからです。ジャージー牛は脂肪の濃いミルクを出しますが、乳量がホルスタインと比べて劣ります。なのでこちらでは敬遠されています。漫画家さんはジャージーが好きなんです。

ジャージー牛の価値が上がれば嬉しい。
というのもジャージー牛のオスはほとんど価値がなくて生まれてきたオスはすぐに処分(安楽死)されるのが現状だからです。

価値がないなら価値を作ってあげたい!

私と漫画家さんは人を癒す仕事をこの牛達にしてもらおうと考えています。これから築きたいと思っている放牧型観光酪農園にふれあい広場を作って、生まれてきた彼らにちゃんと役割を与えたい!

酪農さんあるあるのお話を一つみなさんに伝えたい。それは何かというと、乳量自慢です。僕も何度か耳にしますが、「ウチは1頭平均12000キロも出してるよ」等です。こういう考えを無くしたい!

⑤断尾はしない

断尾をしている牛を見かける事があります。
あれは良いとは到底思えない。断尾をする理由が牛の体が汚れるとか、搾乳時に尻尾が人にあたるなどを聞きますが、牛の体が汚れるのは尻尾が大きな原因ではないと思います。

断尾をしなくても漫画家さんの牛達の体は綺麗です。汚いのは他に原因があるはずです。

断尾の大きな問題はハエや虻などの虫を払うことができない事です。これはかなりのストレスでしょう。牛の体には結構な数の虫が集ってきますから。

⑥使えなくなった廃用牛を受け入れる

これは前回お話しした漫画家さんの夢です。

⑦人も牛も快適な環境を創る

これは箇条書きで書いていきます。これから研究していきたい項目をあげます。

  • 能率のあがる牛舎の構造(ロボットに頼らない)

  • 最適な牛床資材

  • メンテナンスがし易く、ローコストで耐久性のある機械や施設(糞尿や肥料を扱うとすぐ錆たりします)

  • 新たな簡易保管倉庫の検討。
    D型倉庫の波トタンは考えもの。雨漏れや錆の浸食、積雪による倒壊もあったりします。錆防止の塗装費用も莫大です。

  • 猛暑対策

  • 牛の痒み対策

  • 害虫対策

  • 雨に当たらない餌場

  • コンパクト酪農の考案と実践(規模を縮小し、1人でもできる経営モデルを作る)

D型倉庫の波トタン

DAIRY GARDEN  〜牛の楽園〜

前回の記事でも言いましたが、漫画家さんが儲けの逆を行く酪農スタイルであることをわかって頂けたかと思います。

目の前にいる牛を想って経営者として取るべき選択をあえてしないというのは時間もお金も犠牲ににします。けれども彼の信念がそうさせるのであれば、酪農(搾乳)以外で利益を得るしかない。

さて、どうしようか、、、

夜な夜な妄想に耽り、導き出した答えが放牧型観光酪農園です。

観光酪農園と言ってもよくある体験型ではなく、

『みんなで育てる』
『みんなで守る』
『みんなで考える』

そんな拠点です。

私と漫画家さんで築きたい観光酪農園では、

「生産者の苦悩話や思いを伝えるつもりはありません」

「生命(いのち)のありがたみを悟すつもりもありません」

そこから転じて

「食べ物に感謝しようなんて言うこともありません」

人は生きる為にあらゆる生命を食べる。ただそれだけ。そこに深い意味を与えようと考えるのが人間であります。

生命ではない水や塩で生きていきますか?
土でも食べますか?
土も小さな生命の塊です。
では岩石でも?

観光酪農園ではただ『現実』を観てもらいます。
観せるというより魅せる。彼の酪農スタイルを。
(僕の牧草収穫もみて頂けたら嬉しい)

ラップサイレージ

そして酪農の歴史と現状を多くの方に知ってもらい、農について生産者も消費者もすべて巻き込んで、みなで一考する場でもありたい。

私がここで伝えたいのは、食のあり方そして取り方を一緒に考えてもらう事。
それだけです。

放牧型観光農園の名は

Dairy Garden  デアリィ•ガーデン:
〇〇ファーム 〇〇ファーム、、、

ロゴ原案

これは私が考える牛達の理想郷の名です。後に続く〇〇の部分は漫画家さんの名前が入ります。
『牛の楽園』という意味を込めてこの名前にしました。
※私達と向かうベクトルが同じ(動物福祉を考える)個人で頑張る農家さんがいれば、〇〇ファームと順次掲載し、協力体制をとっていく。

〜大自然の中にモダン的要素を取り入れた酪農園〜

『牧歌的風景を綺麗でオシャレな空間の中で、ゆったりとくつろぎながら味わってもらいたい』

頭の中のイメージ
頭の中のイメージ

これが私の頭の中で思い描いたイメージに近い観光酪農園の姿です。


届けたい価値とは

放牧型観光酪農園を通してみなさんが得る価値とは何かを考えてみる。

その前にまず観光酪農園で提供したいと考えている具体的なサービスを先にあげていきます。

  1. お零れミルクを使ったソフトクリームやスイーツの提供(数量限定)、カフェや夜のミュージックbar等

  2. 牛とのふれあい

  3. 牛のアイドル化(餌プレゼント企画)

  4. 漫画家さんの個展

  5. トラクターバスで放牧地を巡る

  6. グランピング/キャンプで宿泊

  7. ナイトアクティビティ

  8. 定期的フェアの開催(地元産のグルメ提供)

  9. 観光案内(道東エリア)

  10. お土産販売

やりたい事はたくさんあってキリがない。

話を戻します。

皆さんが得る『価値』についてです。

そもそも価値ってなんだろうか?

これまた話すと長くなりそうなんで結論だけ言いいます!

価値について色々調べました。ビジネスにおいては支払ったコストに対する満足度を考えるでしょう。

『私が創りたい』
『みんなに届けたい』

核となる価値、、、

それはやっぱり繋がりの『和』です。

そしてこの価値をみなさんと一緒に温めていきたいです。

信頼できる大きな『和』をみんなで創る!

もちろん提供する具体的なサービスでは顧客価値を追求します。美味しさ、楽しさ、非日常感、安らぎ、癒しなどです。

でも根本にある価値は『和』。

適正価格の範囲でそれ以上を求めず、みんなが来やすく「また来たい」と思える場所にしたい。


私の戦略

観光酪農園はかなり壮大なプロジェクトです。お金も時間もかかるでしょう。夢ばかり語らせてもらいましたが、現実的な行動計画を立てていきます。

第一ビジョンを達成させる為に具体的に何をしていくのか?

①ファンの獲得

まずは応援して頂けるファンを得る事です。SNSを活用し、noteの記事に目を向けてもらう事から始めます。

noteのメンバーシップもはじめました。
私の活動に賛同して頂ける方に支援を募っています。メンバーシップにご参加頂いた方には、私の現況と活動報告をお知らせ致します。

メンバーシップの皆さんにしてあげられることは、漫画家さんの牛達の様子などをカメラで撮ってかわいい姿を共有したり、掲示板を通して交流することしか今はできません。

観光酪農園が現実的になり、基盤ができればメンバーシップにご参加頂いた方には、観光酪農園の入園料永久無料やプラン別に特典をつけたい。

今は力がなくてごめんなさい。

②牛のアイドル化

僕の最大の強みは漫画家さんがいるという事です。これから一緒に1から築いていこうとする人がケモノジャンルの漫画家さん。

僕は彼にお願いしてあります。
彼がかわいくて仕方ない目の前の牛、一頭一頭の絵やストーリーを描いて下さい。牛のアイドルを作りましょうと。

彼ならできます!

そしてファンからお目当ての牛に、餌(牧草)やオヤツ(濃厚飼料)のプレゼントをする仕組みを作ろうと思っています。

そうする事で餌のコストを減らした分の利益を確保します。

酪農業のコストで最たるものは餌代です。
半端なくかかります。
漫画家さんの様に50頭程の小規模農家さんでも、1500万ぐらいはいきますから。

だからいっぱい乳がでる牛を求めるのです。

今の酪農のあり方は脆いなと感じます。

個人で頑張る小規模の農家さんは淘汰され、代わりに大規模農家が増えてきました。クラスター事業による補助金で規模拡大し、高収益を目指す一極集中型の酪農を国が推し進めているからです。

施設や機械は大型化しロボットを導入するなど、何億ものお金が流れています。そのため高泌乳に特化した経営を維持しなければいけません。

濃厚飼料も必須でしょう。従業員も雇用しなければなりませんが、現状は外国人労働者者に頼っていたりします。

その一方で牛乳の需要はこれからどんどん減ると思っています。牛乳の必要性を考える動きがますます活発化してくるでしょう。牛乳の健康説しかり、最近は学校給食の見直しの動きも見られてきました。

一つ言えることは、、、

「たくさん作って、たくさん飲もう」

はもう終わった。

これからは程々にだ。

それが持続可能性に繋がるはじめの一歩ではないかと私は思います。特に酪農においては。

私は小規模農家さんがしっかり残り、分散してた方が持続可能な酪農になると考えています。

Dairy Gardenは今は漫画家さんと築いていきますが、全国の小規模農家さんとも生き残りをかけて連携していきたいです。

③ソフトクリーム開発

これもなんとか頑張ればできそうなところでもあります。ただ、北海道では6次化としてソフトクリームをやる牧場が増えており、競合する相手がたくさんいます。

僕は漫画家さんと出会う前からこのソフトクリームはやりたかったんです。

ここでは言えませんが、このソフトクリーム界隈に対してある方法で挑みたい事があるんです。

漫画家さんのお零れミルクを使うので量産はできないと思いますが、それでいいです。

①ファンの獲得と②牛のアイドル化は、ファンができるかできないか関係なく、お金をあまりかけずにできるところかなと。

ただ②に関しては法的に問題がないのか専門家に確認を取る必要があります。
可能であればすぐにサイト制作を依頼してはじめたい。

正直に言うと、これがもしできて年間にかかる1500万弱の負担がなくなれば観光酪農園を1から築かなくてもやっていけます。

漫画家さんを救えますよ。

でもそれは今を救えるだけであり、未来を変えられない。

変えるためには賛同するみんなを巻き込む必要があるのです。そのために観光酪農園を考えました。

意志を繋ぐ場所です。

お金があれば一気にやりたいところですが、お金をかけたからといって、かけた分の回収ができるかというと、私たちが目指す酪農スタイルでは儲けと逆行していますので、いかにファンを獲得するかにかかってくるでしょう。

基盤をしっかりと創り、自ら利益を生む仕組みを考えていかないとダメだ。

やるしかない。

まずは①、②、③を地道に進めてファンを増やしていくところから始めます。


変わるべき根源

今回の記事の最後になりますが、私は未来の酪農のあり方が、人にも動物達にも環境にも優しいものになっている事を願っている。

その為に今を変えたいのです。
変わらなきゃいけない。
酪農に限らず、すべての産業もまたしかり。

消費者だってそうです。
みんなが変わらないと優しい世界は生まれない。

ここが変わらなければ何も変えられないと思う根本的なものがあると思っています。そしてこれは生産者と消費者、どちらにも共通するものです。

それは『強欲』です。
まずここを変えたい。

<生産者>

  • 楽して儲けたい

  • たくさん売りたい

  • 高級志向

  • 生産量で1番になりたい

<消費者>

  • たくさん食べたい

  • 好きな物だけ食べたい

  • 高級志向

  • 食べ残し

必要以上の無駄をなくしませんか?

『足るを知る』

私も含めてみなさんの意識を放牧型観光酪農園を築いて一緒に変えていければと思います。

最後までご一読いただき、ありがとうございました!

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