牧草生産のリアルpart2
日本のみなさんこんにちは!
今回の記事は『牧草生産のリアル』part2という事で前回の記事の続きとなります。前回の記事をまだお読みでない方はそちらも読んで頂けると嬉しいです。
牧草生産の工程と使用機械
牧草生産の作業工程と私が実際に使用している機械やトラクターを紹介していきます。
①牧草刈り取り
まずは草を刈り取ることから始めます。刈り取り機は主に2つのタイプがあります。
----刈り取り機----
a.ディスクモア
b.モアコンディショナー
モアコンディショナーはディスクモアと違って草を刈った直後に草を叩き、こんもりとした列を作ります。モアコンディショナーで刈り取った方が乾草スピードは断然速いです。また、刈り取った草を反転させ易くなります。
ディスクモアの場合、刈り取った後は草がペターっと地面に付くような感じになり反転させるには上手く調整が必要になります。
僕はモアコンディショナーで刈り取ります。
----刈り取り機専用トラクター----
ディスクモアやモアコンディショナーは90~100馬力ぐらいあるトラクターじゃないと、草が多かったり、勾配のある草地なら失速します。
私はそれでも最初は65馬力のトラクターでやってました。117馬力のトラクターを購入して、それに切り替えてやったら、もうあの頃に戻れません。
②反転
次に刈り取った草を散らばせて天日干しさせます。草を散らばせながら裏返すことで、草全体が満遍なく陽に当たるようにしていきます。
----反転機----
c.テッダー
私の場合は一日2回から3回程反転させます。乾草までもっていく場合は最低3日間、ラップサイレージの場合は最低でも2日間はしっかり乾草させます。
----反転機専用トラクター----
テッダーはそんなに馬力を必要としないです。
僕は40~60馬力のトラクターを使用してます。
写真にあります赤いトラクター(MF135)。
僕はこのトラクターが1番好きなんですが、かなり古いトラクターです。それでもバリバリ現役でして、こいつはとにかく燃料くわない。
③集草
乾いた草を集めていき、ウィンドローという集草列を形成します。これは後でロールを作る際に、しっかり草を拾いやすいようにするために行います。
※他の使い方として、僕は夜露対策に使用することもあります。テッダーをかけ終わったら、夕方にレーキでウィンドローを作っておくのです。
そうすると、夜露に当たる部分を減らせます。
ウィンドローの内側は乾いているし、内部の温度も高く保てるでしょう。
----集草機---
d.レーキ
2024年にツインレーキを購入しまして、作業効率が2倍速くなりました。これは最高です。
今まで頑張ってくれた片側レーキは狭い草地で活用していこうと思います。
----集草機専用トラクター----
レーキもそこまで馬力を必要としません。50~60馬力あればいいと思います。
僕は65馬力のトラクターを使用してます。
④梱包
ウィンドロー(集草列)の草を拾いあげ、圧を加えながら丸く梱包していきます。こうしてできたものが牧草ロールです。
----梱包機----
e.ロールベーラー
ロールベーラーは2台ありますが、ラップサイレージを作る時は芯巻き用を、乾草の場合は側巻き用をそれぞれ使い分けています。
----梱包機専用トラクター----
私が持っているロールベーラーは最低でも80馬力は必要です。最近のロールベーラーは100馬力以上のトラクターでないと話になりません。
<芯巻き用と側巻き用>
上の写真を見比べてみてください。芯巻きの方は中心部が渦巻いていて、側巻きは中心が菊巻きっぽくなっているのがわかると思います。
芯巻き用は、側巻き用よりも隙間なく密に梱包できる。実際に同じ直径の芯巻きと側巻きの重量を測ってみましたが、芯巻きの方が断然重い。それだけ詰まっているということです。その分、空気が入らなく嫌気性発酵を促せると思います。
乾草ロールに仕上げるならば側巻き用です。ちょっとでも水分が高いと、微生物が活性化し発酵熱により自然発火する事があるんです。これが本当に怖い。芯巻き用で作った牧草ロールから湯気が出てるのを見て焦ったことがあります。
側巻き用は内部(中心部)の熱を放出しやすいです。自然発火のリスクを減らすために、乾草に仕上げる時は側巻き用をなるべく使うように僕はしています。
⑤ラッピング
乾草までもっていければ、⑤のラッピングは不要です。天候不順により、乾燥不十分で水分が少し残ってしまうのであれば、ラップをすることで嫌気性発酵(乳酸発酵)させて保存性を高めたものを作っていきます。これがラップサイレージです。
甘酸っぱい独特のいい香りがします。
※僕の場合はできるだけ水分を落として巻いているので、このような低水分のものはラップヘイレージと呼びます。
----ラッピング機----
f.ラッピングマシーン
----ラッピング機専用トラクター----
ラッピングマシーンは馬力を大した気にしてません。馬力よりも油圧の吐出量が大事です。
ラップは何層で巻くか?
ラップは通常6層で巻くのが基本とされており、ほとんどの人は6層で巻いてると思いますが、僕は4層巻きにしてます。その分ラップが破けやすかったりしますが、運搬や積込みする時は慎重かつソフトにやってます。破けた箇所があるなら、即専用のテープで補修します。今のところ4層にして品質が損なわれるとかはないです。
ただし、もし業者に運搬してもらう場合は6層巻きにします。彼らはぎゅうぎゅう詰めにして、より多く運ぼうとするので積込み時にラップが破けますから。
6層にしていても牧草を購入する農家さんで、破けたラップが届いてしまう方は多くいると思います。これは問題ですね。しかも返品できずに泣き寝入りするというのが現状ではないですかね?
ラップに少しでも穴が空いていると、中がカビだらけになって餌になりません。
今も昔も大した変わらない
牧草生産の工程と専用機械を紹介しました。牧草生産の工程は昔となんら変わりはありません。
変わった事は機械が大型化し、作業効率が上がっただけです。トラクターもGPSを搭載し、直進サポートや自動運転ができたりと進化してます。
でも、そんなの僕はいらないです。
畑作農家さんには助かる機能だとは思いますが、牧草生産だけならば、全くもって必要ない。
トラクターに求めるのはそこそこの馬力(100馬力)と粘り強さ、PTOが500回転/1000回転あれば十分です。
トラクターや作業機の大型化は狭い圃場では扱いにくいだろうし、1番の欠点は重い事だ。畑に悪い。燃料もバカにならないだろう。
コンビラップと呼ばれる大きな作業機があります。これはロールベーラーとラッピングマシーンが合体したようなもので、梱包とラップの両方が一度にできてしまうものがあります。新品価格で約2000万ぐらいしますが。
これって梱包機かラップどっちか壊れたらその日の作業は止まってしまいます。牧草生産は天気勝負で時間との勝負ですから、次の日晴れて修理が間に合えばいいが、雨なら最悪です。
2000万出すなら、僕は新しいロールベーラーを買って2台持ちにします。作業機は同じものを2台用意しておく。壊れたらもう一台にすぐ付け替えてとにかくその日に終わらす。
そして壊れたものは終わってからゆっくり直したほうがいい。精神的にも焦りはなくなり、安全です。
ロールベーラーなんてベアリングがイカれてきますし、下手したら摩擦熱で火を吹くことさえありますから。トラクターまで焼けてしまったという事故を何回も耳にしてる。僕は2台持ちをお勧めします。
最も時間がかかるのは梱包
牧草生産の工程で最も時間がかかるのは梱包です。モアで刈り取り、テッダーで反転するのはさほど時間がかかりません。
ロールを巻く日(最終日)が一番時間を要します。
まず、レーキで集草してウィンドローを作り、ロールベーラーで牧草ロールにし、できたロールを運搬し倉庫にしまう。
これは時間との勝負です。朝になったらすぐ巻き始めるかと言うと、そうはいかないです。夜露にあたって、朝一番は草が少し水分を吸って湿っているので、少し乾かすんです。
天気が朝から良ければいいのですが、ぐずついていると遅れて開始します。
そして夕方になってくると、気温も下がり湿度も上がってくるので、また湿っぽくなります。
なので夕方(17時頃)までの勝負です。
天気も機械も調子が良ければ、僕は1人で120個程ロールを作ります。それぐらいが限界かなと。面積で言うと、6~7haです(途中休憩なし)。
※草の量にもよる。
草の刈り取りや反転ならば、1日かければ10ha以上は余裕でできますが、梱包だけはそうもいかない。
結局のところ、機械やトラクターを大型化して効率よくなっても、梱包と片付けを考慮すると、そこまで処理できる面積に大きな変わりはないでしょう。
けれどもコストは大きく跳ね上がりますよ。大きな作業機には大きなトラクターが必要で、どちらも揃えるとなると新品で5000万以上はかかってくるでしょう。
僕は時間がかかってでも、コンパクトにかつ軽量な機械でやります。
牧草生産の課題
牧草生産における課題をあげます。
①植生の維持管理
私の草地にはチモシー、赤クローバー、オーチャードグラスを混播しています。これが年々植生が変化してクローバーが減ってくるんです。
また雑草も生えてきたりして、特に厄介なのがギシギシです。これの対策と画期的な予防法がないのか頭を悩ますところです。
今のところ、ギシギシがあまりに酷い時は手で抜いたりしてます。
草地の維持管理において、科学的根拠と再現性が欲しい。Atomicottaに優秀な研究者がいてくれたらと願うばかり。
私は現場で得る経験則とネットに出回る情報をかいつまむことしかできない。
農業には再現性が必要だ。
②肥料
化成肥料についてですが、これはとにかく高い。化成肥料を減らす為に代替肥料(鶏糞)も使っていますが、化成肥料に優るものは今のところないです。あったら教えて欲しい!
あったとしても、そこに再現性があるのかまで聞きたい!
ある所ではコレがいい、またある所ではアレは意味ない。そういう話が多いんです。信憑性を疑う色んな資材や方法論がこの農業界に蔓延っている。
何度も言うが農業には再現性が必要です!
そして正しい情報源を示す必要があります。
天才達よ、宇宙に行かないで農にきてくれ。
③天気勝負
これが最大の課題といってもいい。乾草にしてもラップサイレージにしても肝心なのは天気です。
草地をうまく管理しようが、いい肥料を振ろうが何しようが、雨にあたればもうダメです。
それが一番の課題。
ラップサイレージなら最低でも2日、乾草なら3日は天気が続かないといけない。
僕は人工乾燥させるドライヤーのような作業機が作れないもんかなと妄想してます。
天日干しと人工乾燥機を両立させて、1日とまでは言わないが2日目に乾燥ロールが作れたら、牧草生産に革命が起きますよ。規模も拡大できるし、収穫適期を逃さすことなくできます。
日本の天才求む!
優秀な頭脳が欲しい、、、。
Atomicotta第ニビジョン
最後にAtomicotta第二ビジョンについて私の思いを伝えて終わります。
Atomicotta第二ビジョン:
牧草生産における機械のコンパクト化と生産方法のマニュアル化をして生産拠点を拡大する
Atomicottaの第二ビジョンとして上のビジョンを掲げていました。
このビジョンの目的や最大の狙いは何か?
目的は国産牧草の生産量をあげる事。
私は各地に拠点を置き、そこに牧草生産に必要なトラクターや作業機、保管倉庫をそれぞれ構えたい。
そして誰でもできるようにマニュアルを作り、牧草生産において単発高収入のバイトを全国に生み出したいと思っています。『真面目に働き、しっかり稼ぐ』というスタイルを浸透させるのです。これが最大の狙いでもあります。
ただ単に国産の牧草生産量を上げるだけではありません。
昨今では闇バイトやパパ活など、単発高収入に目がくらみ、悪事を働く若者が目立ちますが、誰でもできて”世の為”になるものを作り、単発で高収入の仕事を彼らに作ってやりたい。
お金のない若者が、安い賃金のバイトに明け暮れて、本来の目的を見失わない様にさせなきゃいけないでしょう!
盗んだり、身体を売ったりしてお金を掴みに行く世の中の流れを本気でやめまさせませんか。
日本のみなさん。
お金のある方も未来の子供に投資しませんか。
資産運用するなら。
楽して稼げる姿を見せるな。
私の思いに賛同してくれる方はどうかAtomicottaコミュニティに参加して
一緒に考えましょう!
一緒に変えましょう!
一緒に守りましょう!
『義をみて為ざるは勇無きなり』
まずは日本の子供達を守りませんか?
僕は農業を通じて何か社会問題の解決ができないか考えます!
ご一読ありがとうございました!