【遊戯王MD】ティアラメンツ環境における植物族デッキの立ち位置

記事の目的

この記事は、以前の記事で紹介した植物族デッキについて、2023年4月現在のティアラメンツ環境での立ち位置を考察したものとなります。植物族デッキ自体の詳細については、以下の記事を参考にしてください。

デッキ分布

プラチナ3~ダイア3あたりで数十戦やって当たったデッキについて、頻度が高い順に挙げて軽く解説します。

ティアラメンツ

ティアラメンツ(イシズティアラメンツ)には主に以下の派生デッキがありますが、どれも大まかな動きに違いはありません。対戦相手の7割程度はティアラメンツとその派生デッキだった印象です。

これらのデッキは、ひたすら墓地を肥やしながら墓地効果で何度もサーチや融合を行いつつ、盤面を構築していきます。不確定要素はあるものの、基本的に手札の枚数だけ手数が増えるため、2-3妨害程度ならたやすく突破してきます。

展開後から相手ターン中にかけて構えられる妨害はティアラメンツ・ルルカロスティアラメンツ・カレイドハートの2体と、強力なテーマ内の魔法・罠が2-3枚、それに加えて墓地にいる宿神像ケルドウ剣神官ムドラとなります。5妨害は簡単に超えてしまうため、単純な手数で妨害を乗り越えるのは不可能です。ただし、魔法・罠を何でも無効にするカードはティアラメンツ・クライムしかない場合が多いため、全体除去(特に拮抗勝負)に弱いのが特徴です。

エクソシスター

上記のトップメタが強力すぎるため、対抗できるデッキはトップメタの弱点をつけるデッキに限られてきます。エクソシスターはティアラメンツに対して強く出られる数少ないデッキの1つで、相手がティアラメンツでない場合は大体エクソシスターです。

エクソシスターは墓地を封じる効果を持つものが多く、除去手段もほとんどが除外のため、ティアラメンツの天敵と言えるでしょう。さらに、1枚で墓地利用を封じられるディメンション・アトラクターなども無理なく採用できるため、後攻での勝率も比較的高くなります。

エクソシスターの弱点は、展開の要所が非常にわかりやすく、妨害突破力が低いことでしょう。エクソシスター・マルファさえ止めれば、大体なんとかなってしまいます。
また、エクソシスターのテーマ内で用意できる妨害手段は、主に除外除去か墓地利用封じの2種類しかありません。墓地利用をしないデッキが相手の場合、除外除去による2-3回の妨害しか残らないため、持久戦があまり得意でないのに制圧力も控えめなデッキと化してしまいます。

ふわんだりぃず

ふわんだりぃずは墓地を利用しないため、墓地利用を封じられるメタカードを多く採用でき、トップメタに対抗できる特徴を持っています。烈風の結界像が禁止カードになった影響でティアラメンツを完封できるほどのパワーはありませんが、ほとんどのデッキで刺さる優秀な妨害効果を持っている上に継戦能力がトップクラスなため、幅広いデッキに対応できる点が魅力です。

妨害突破力が低く、初動を止められると動けない場合が多いものの、手札誘発が少なめな現環境はふわんだりぃずにとってかなりの追い風となっています。

メタビート系デッキ

特殊召喚を封じるのに特化したデッキで、特に対ティアラメンツを意識して次元の裂け目などの墓地利用を封じるカードが採用されているのが特徴です。
これまでの環境で多くのデッキを苦しめてきたスキルドレインなどの永続罠は、ティアラメンツに対してあまり有効でない場合が多く、採用が減ってきています。その影響を踏まえると、ティアラメンツには有利を取れるものの、その他のデッキ相手には不利になると思われます。

拮抗勝負などの全体除去が流行っている現環境はメタビートにとっても致命的な上、除外系の制圧カードが刺さらない相手もそこそこ多いため、この環境のメタビートは弱めの立ち位置だと思います。

HERO

M・HERO ダークロウによる墓地封じやその他の妨害札を組み合わせて戦うデッキで、妨害貫通力と制圧力、デッキ構築の自由度が高いのが特徴です。先攻を取れさえすればティアラメンツを含む様々なデッキを封殺できるためか、たまに見かけるデッキです。

ただし、墓地メタが多い環境はHEROデッキにとってもかなり苦しくなります。そのうち環境から姿を消していくと思います。

その他のデッキについて

直前の環境で溢れていたデッキの例として、以下のものが挙げられます。

  • ルーン

  • スプライト

  • 斬機

  • アダマシア

  • PUNK

これらのデッキは基本的に墓地メタが刺さるため、ティアラメンツだけでなく、その対抗馬のデッキ相手でも不利になってしまいます。その影響か、環境からほとんど姿を消してしまいました。スプライトならまだ戦えるパワーを持っているものの、ティアラメンツの数が落ち着くまでは、ティアラメンツか墓地を使わないデッキ群の2強環境が続いていくと思われます。

植物族デッキの立ち位置

ここからが記事の本題となります。環境上位3デッキ(ティアラメンツ、エクソシスター、ふわんだりぃず)を想定して、植物族デッキの立ち位置について考察します。

対ティアラメンツ

植物族テーマ内では以下の強みがあります。

  • 六花来々の②効果+六花のしらひめ六花の薄氷により、墓地効果を発動させずに安全にティアラメンツモンスターを処理できる。

  • ムドラやケルドウの墓地効果で展開力が多少落ちるものの、致命的な妨害は受けない。

少なくとも先攻では完封を狙える上に、イシズモンスターによる墓地干渉にもある程度耐えられるため、対ティアラメンツの相性は悪くありません。

また、植物族デッキはスモール・ワールドを無理なく採用できることから、妨害を吐かせた上で最後に倶利伽羅天童をサーチし、盤面を解決することも可能です。後攻でも勝てる可能性は比較的高いと思います。

対エクソシスター、ふわんだりぃず

植物族デッキも墓地を使うことから、ディメンション・アトラクターを投げられた場合などはそれなりに展開力が落ちてしまいます。しかし、全く動けなくなるわけではありません。アロマセラフィ-ジャスミンによるリクルート先を六花精ボタンにして六花来々+六花の薄氷を構えることにより、最低限の妨害を用意できます。

幸いにも、これらのデッキは少しの妨害で展開力が止まる傾向にあるため、2ターン目以降も十分戦えます。

採用する汎用カード

特にティアラメンツ相手だと、少々の手札誘発では簡単に突破されてしまいます。そのため、1枚以外を全て裏側除外できる拮抗勝負や、厄介な魔法・罠を除去できるハーピィの羽根帚ライトニング・ストームなどを優先して採用する必要があるでしょう。自分ターン中に相手フィールド上でモンスター効果が発動することが多いため、三戦の才倶利伽羅天童も良く効きます。

また、エクソシスターやふわんだりぃずは、ティアラメンツと比較して以下の特徴が似ています。

  • 自分ターン中に相手フィールド上でモンスター効果が発動する

  • 魔法・罠を使った妨害が多い

  • 魔法・罠に対する妨害が少ない

このことから、対ティアラメンツで有効な三戦の才や倶利伽羅天童、その他全体除去系カードは、エクソシスターやふわんだりぃず相手でも良く刺さります。採用する汎用カードの調整次第で、現環境でも十分戦えるデッキにすることができます。

対全体除去

植物族デッキの弱点は魔法・罠による全体除去で、これが現環境トップ3の弱点と一致しています。除外による墓地メタが重視される間は植物族デッキも十分に戦えますが、墓地メタよりも全体除去が重視される環境になってしまうと、植物族デッキにとってもかなり厳しくなります。
ただし、スプライト環境で採用率が高まっていたサンダー・ボルトは対ティアラメンツで非常に弱いため、採用率が激減しています。また、ハーピィの羽根帚やライトニング・ストームについても、ティアラメンツでリソース回復に使われることを嫌ってか採用率が低くなっています。拮抗勝負以外の全体除去が少なくなったことで、植物族デッキにとってかなり戦いやすい環境になっています。

全体除去への対策としては、最終盤面の妨害数を重視するよりも、継戦能力を重視した構築にすることが挙げられます。セリオンズの出張セットは継戦能力が高まるだけでなく、以下の利点もあるため、現環境では特に優先して採用しておきたいカードです。

ティアラメンツ環境用の植物族デッキ

上記考察を踏まえて調整した植物族デッキがこちらです。
このデッキでダイア1に到達しています。

前回環境用デッキとの違い

前回の記事との主な違いは以下の通りです。

手札誘発が少ない分、ふわんだりぃず相手に後攻を取るとかなり不利ですが、以下のデッキ相手には後攻での勝率も高めです。

  • ティアラメンツ

  • エクソシスター

  • 罠ビート・メタビート系デッキ

現在執筆時点で私のマスターデュエルのランクはダイヤ3ですが、ダイヤ帯の勝率が65-70%あり、かなり快適にプレイできています。現環境のティアラメンツに歪められたデッキ構築と分布は、植物族デッキにとってかなりやりやすい環境だと感じています。

【おまけ】カードの採用・不採用意図や強みなど

スモール・ワールド

植物族デッキのそもそものデッキパワーが強い理由の1つが、このカードを採用できるからだと思っています。このデッキは驚くほどスモール・ワールドと相性が良く、実質的な1枚初動にもなります。

このカードを採用するからと言って、その他の採用カードを調整する必要は一切ありません。その要因は、何と言ってもローンファイア・ブロッサムの存在でしょう。

ロンファの火属性、レベル3、植物族、ATK 500、DEF 1400のステータスが絶妙で、ロンファとのステータスの一致が1つではないカードは灰流うららバラガール、キングレギュラスの3種しかありません。つまり、ロンファを経由すれば、増殖するGや倶利伽羅天童も含めてほぼなんでもサーチができます。

また、灰流うららについてはATK 0のモンスターを経由してアクセスできますし、キングレギュラスはレベル8か地属性モンスター、バラガールは地属性以外の植物族経由でアクセスできます。基本的にどのカードからでも好きなモンスターをサーチできてしまうため、初動や上振れ、捲り、増Gケアなど様々な使い方ができます。

拮抗勝負

ティアラメンツ環境ではフルール・ド・バロネスなどの何でも無効破壊効果が役に立ちにくいためか、このような制圧モンスターの採用が非常に少ない傾向にあります。この環境では拮抗勝負があまりにも強力で、展開系から罠ビートまで幅広いデッキに刺さります。

植物族デッキでは初動展開でそれなりに妨害数を稼げる上に、六花来々などで厄介な相手モンスターを除去できることもあるので、バトルフェイズを実質スキップすることも痛手になりません。

苦渋の選択

植物族デッキにおいては1枚初動札をサーチできるカードであると同時に、リリーボレアの特殊召喚条件を満たせるカードでもあり、かなり相性の良いカードです。

ただし、ティアラメンツメタのためにディメンション・アトラクターなどが採用されることが多く、その効果が発揮されている状況下では、苦渋の決断は発動すらできなくなります。初動安定性と除外効果適用時に腐るデメリットのバランスを考えて、採用枚数を1枚にしています。

トロイメア・ユニコーン

ティアラメンツはランク4を出せるデッキのため、仮に展開を止められたとしても、バグースカによって時間稼ぎをされる可能性があります。2ターン目以降にバグースカを突破できるカードを今まで採用していなかったため、このカードを新たに採用しました。

実は植物族デッキは対烙印デッキに不利で、六花来々を利用したコストによるリリースをしても、氷剣竜ミラジェイドの墓地効果が発動できてしまいます。このミラジェイドをユニコーンのデッキバウンスで安全に処理できるメリットもあります。

六花聖カンザシ

特にミラジェイドのモンスター全体破壊を耐える目的で採用する必要があります。六花聖ストレナエを出せるタイミングで六花精プリムの効果を使うと六花聖カンザシを出せるようになるため、フィールドへの出しやすさの面でも問題ありません。

森羅の鎮神 オレイア

後攻ワンショットキルなどで捲り札として用意しておくと便利で、実際にオレイアのおかげで勝てた試合もたまにあります。しかし、バグースカ対策のためのユニコーンと、ミラジェイドなどの全体破壊に対応できるカンザシの採用優先度が高くなったため、今回は不採用としています。

また、このデッキは一度展開をするとデッキの植物族モンスターをかなり消費するため、仮にデッキの上からカードを8枚確認できても、植物族モンスターが3枚以上めくれる可能性はあまり高くありません。かなり博打要素があるカードです。

森羅の舞踏娘 ピオネ

最近マスターデュエルに追加されたリンク2モンスターで、植物族汎用カードとして評価されているカードです。しかし、ピオネを使ってデッキの植物族モンスターを特殊召喚してもアロマセラフィ-ジャスミンより活躍できる可能性は低く、むしろプリムや六花精スノードロップを引いてしまうと、想定通りに六花絢爛を打てなくなります。
また、初動展開後にデッキに残る植物族がそこまで多くないことから、ピオネの効果で1体以上特殊召喚できる確率もそこまで高くありません。少なくともこのデッキでは、活躍の場がなさそうです。


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