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漁業×AIにおける新規事業の誕生秘話【参加企業インタビュー #2】 | 有限会社浅野水産

こんにちは。ATOMatch学生広報担当の柏田美波です🌟

10秒でわかるATOMatch
ATOMatchは地元企業と学生がコラボレーションし、新規事業開発や既存サービスをアップグレードさせ運営する、新しいインターンシップ・コミュニティです。参加学生・企業共に大募集中です!

ATOMatchという取り組みをnote・メディア・sns等を使って発信することで他の宮崎県の企業様や学生に興味を持ってもらうことを目的として色々な方にお話を聞くこの企画。

第2回目はATOMatch参加企業の有限会社浅野水産より浅野龍昇様のお話をお聞きしました!☺︎

●会社概要
浅野水産は、宮崎県で近海かつお一本釣り漁船「第五清龍丸」を操業。黒潮に乗って赤道付近から日本近海に回遊するかつおを、一本釣り漁法で一匹一匹釣り上げています。「近海かつお一本釣り漁業」において宮崎県は20年以上連続で漁獲量全国1位を記録しており、浅野水産は毎年100トン以上の漁船クラスで全国でトップ10という実績をあげています。
●ATOMatch内事業概要
「漁師の勘をAI化」スマート漁業を展開する子会社設立を学生とともに目指す。また、Forbes JAPAN「スモールジャイアンツ」で地区大会優勝を目指す。

父が繋いできた伝統とAIの融合が漁業にイノベーションを起こす


柏田:はじめに、今回の新規事業開発のきっかけを教えてください。

浅野:大きく2つあリます。1つはうちの父が元々会社がカツオ漁船の経営一本でやっていたんですが、時代とともに資源も枯渇してきていて漁にでたからといって確実に漁ができるわけではないので体力があるうちに別の柱を立ち上げたいという思いがありました。はじめは父が新規事業を自分で立ち上げるつもりでしたが、今までずっと3、40年海で漁をやってる人が今更陸上でひとりで頭下げてもらうことをやらせたくなかったんです。ずっと現役の漁師の中で最年長親分になっている人がひたすら頭下げて事業立ち上げていくという姿を見たくなかったというのが本音です。
あと1つ、このAI事業に進出したきっかけはテレビです。下町ロケットというドラマで衛星ビジネスの話が出てきて、実は衛星ビジネスと漁業は昔から紐付いていて、やろうと思ったら漁業でも同じことできるんじゃないか?と閃きました。ドラマの中で、”実験するなら名前の通った生産者でやらないと意味がない”とあり、うちの漁船は漁獲高も全国トップテンに入るなど漁師として有名です。そこを組み合わせるという方法があると思いました。そのあと夜11時から田村淳のビジネスベーシックという番組をみていたら、オープンイノベーションの説明がありました。浅野水産ではずっと操業日誌をつけていて、それをデータとして共有、漁師の腕、名前の通った会社という三本柱でオープンイノベーションAUBA(アウバ)に登録すればビジネスマッチングができるのではないかという仮説が立ちました。それが昨年10月ごろの話です。今年の1月ごろに実際に登録したら、案の定ビジネスマッチングが成立し、このAI事業が成立しました。

柏田:家業に対しての想いとタイミングが重なったんですね

浅野:でも、家業を継ぐつもりは全くなかったんです。当時はみんなから選挙に出ると思われていて政治の道に進む選択肢もありました。

柏田:その時にお父様に言われた言葉とかありましたか?

浅野:父はびっくりしていましたね。それこそ新規事業をやると決めた段階で事業計画書き始めたんです。24ページくらい!

柏田:閃きからのスピード感がすごいです!

浅野:昔から行動派ではあります(笑)

浅野水産が推進するSDGsとは


柏田:浅野様はSDGs推進に大きく関わっているとのことでしたが、実際の浅野水産のSDGs推進への取り組みとしてはどのようなものがあるのでしょうか?

浅野:大きいところでいうと、MSC認証【持続可能で適切に管理され、環境に配慮した漁業を認証する制度】への取り組みです。浅野水産は、来年の4月にはMSC認証が下りる見通しです。これは父にAI事業をプレゼンする前からMSC日本事務局各所と関係性を構築していました。MSC取得には莫大なお金がかかるんですが、父は現役漁師に対してインフルエンサーとしての魅力があったので、そんな父に現役漁師をまとめてもらい参加する漁船で資金繰りを協力しながら申請をしました。

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秘書時代に行った「学生支援」と「ATOMatch」が重なった

柏田:ATOMatchへ参加することになったきっかけを教えてください。

浅野:元々ATOMicaの会員で打ち合わせなどで会議室利用をしていて、嶋田さんのfacebookでプレスリリースを見たのが発端です。私が秘書時代などからずっと学生支援をやっていたのもありATOMatchに対して勝手にシンパシーを感じました。
私はテニスサークルやバンドなど学生時代に人生の夏休みを謳歌していましたが、大学4年生で秘書を経験して学生のうちにもっとこういう経験ができたのではないかと思いました。だったら自分が社会人になってそういう機会を提供してあげるのもいいんじゃないかと思い、学生支援に力を入れてきました。
秘書のインターンを採用していたときは学校で募集するとかではなく、飲み屋街でバイトしている子にインターンやってみない??という感じで声をかけていましたね(笑)インターンとかこなさそうな子に声をかけて引っ張ってきていました。

柏田:ATOMatchに参加したのは自然な流れという感じだったんですね

浅野:最初から抵抗はなかったです!

柏田:実際に学生とのコラボレーションで生まれたものはありますか?

浅野:活動している中で学生に「何がやりたい?」と聞いたら「魚のブランディングしたいです」となって、その時に"うちそういえば水産会社だ"と気がつきましたね。ふるさと納税みたいな形で関わってもらい、季節の魚が定期便で届くと言ったようなビジネスモデルだったらできるんじゃないかと。学生の何気ない回答からその方法があった!となりました。

柏田:学生ならではの頭の柔らかさですね・・・!

浅野:そうですね、学生は固定観念がないのが良いです。AI事業をやるということで頭の中が結構ITで固まってしまっていて、そういったサブスクリプションとかいうのは思いつかなかったですね。

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柏田:学生と活動していく上で浅野さんが意識していることはありますか?

浅野:PDCAサイクルではなくOODAループのように状況を観察しながらやっていくことです。最初の1ヶ月は学生の観察やデータを出してもらい、2ヶ月目は方向づけ仮説付などをしていく。ビジネスモデル自体ひらめきを含めて体験して欲しくて来月はチーム分けしてやっていこうと話しています。自分の頭の中にはビジネスモデルの完成形イメージはあるので、ない部分を彼らに構築してほしいと思っています。

柏田:学生の適正を見ながらというのは個人個人の可能性を広げてくれる感じがします。

浅野:そうですね、それこそ魚のブランディングを持ち出した学生は、最初の面接のとき大丈夫かなと言う感じでした(笑)しかし活動していくとめちゃくちゃ発想力がよく、プレゼンの発表内容を組み立てるのがうまくて。見せ方、視覚的に訴えるような画像を持ってきていてクオリティが高いんです。他にも自己紹介の時整理整頓が好きだと言っていた学生は、スライドの整理整頓が上手い。一人一人言い出したらキリがないですが、この子たち凄くいいなとなっています。適正を見ながら一緒にやっていくのが1番いいんじゃないかなと思います。

【2020年9月25日に行われたATOMatch MINI DEMO DAYの様子】

柏田:学生と企業のコラボレーションの話をしていましたが、これからATOMatchに対して期待することを教えてください。

浅野:僕自身が青年会議所の団体に属していて、その団体には宮崎県内の経営者300人が集まっています。ATOMicaやATOMatchはベンチャー志向の人が中心になって構築していますが、団体に属している経営者の過半数以上は昔からの家業を守っている人が多いです。やはり、古き良きものを守っていかなきゃいけないですよね。学生を集めて真新しいことをやっているような打ち出し方はしなければいけないですが、新しいことをまだやっていない人への打ち出し方をレクチャーしたうえで学生たちと繋がっていくということをやってほしいです。団体の人たちも、学生といかに繋がるのかいうことを考えていてみんな大学生が欲しいと思っているので!

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柏田:学生に向けてのアドバイスをお願いします。

浅野:学生には遊んでほしいです!学生の時の経験で役に立っていることといえばバカやったことなんです。アンテナをいろんな方面に張るために遊んで失敗してほしいと思います。

柏田:例えば飲みの場での出会いなども大事だったりするんでしょうか。

浅野:出会いも大事だし、飲みの場の振る舞いも役に立ちましたね。例えばテーブル回し。話題を端々まで行き渡るように気を遣ったりなんかもそうです。それはグループワークの席でも役に立ちました。取り残されてる人がいないかなど隅々まで目が行くようになりましたね。

柏田:最後にATOMatchに参加している学生に対してメッセージをお願いします!

浅野:期待以上です!(笑)

プロフィール
浅野龍昇(有限会社浅野水産 経営企画マネージャー)
中央大学在学中から国会議員の書生(秘書)を経験。新社会人としては漁業の基本を学ぶため水産団体の職員に。その後、再び政治の門を叩き、2018年まで宮崎県宮崎市の市長政務秘書を務める。同年の臨時国会において70年ぶりとなる漁業法の大改正が行われ、そのインパクトの大きさから家業である有限会社浅野水産への入社を決断。2019年1月、同社の経営企画マネージャーに就任。

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