#夢追翔2ndアルバム 「拝啓、匣庭の中より」を捏ねる

みなさん、概念を捏ねていますか? 私は捏ねています。なぜならそこに捏ねてくださいと言わんばかりの概念こと、「拝啓、匣庭の中より」があるからです。

私は「人間とは転がっている概念があればそれに飛びついて延々と捏ね、美味しい(たまにおいしくない)パンを焼いて食うものだ」と思っている偏った思想の持ち主なのですが、そんな人間にとってこのアルバムはまぁ最高の「捏ね案件」でしたね。マジで楽しい。楽しすぎて捏ね終わるのが嫌で2日間捏ねを放置してしまったぐらい。その結果アルバム発売記念配信にこのブログを間に合わせようと、泣きながら昼休みに概念を捏ねる可哀想なオタクが誕生しました。無様だね。

あとこれはちょっとした注意事項なんですけど、私は提供された概念を捏ね倒して私好みのパンを焼き上げたので、頼むから「でも脚本の人(読み:ゆめおい)そこまで考えてないと思うよ」などとは言わないで欲しい。うるせーー! 知らねーー! それはお前の感想だろうが!! これは私の、私だけの感想だ!!!!

「拝啓、匣庭の中より」

このアルバムをまず通しで聞いた時に、楽曲の幅広さと各楽曲の粒の立ち方に驚いたんですよね。これを一人で、しかもうち5曲は約1ヶ月で作り上げたってマジ?? 楽曲を作る人間を推してきたことはあれど、シンガーソングライターという職業の人間は今までに推しになかったので「ほんぎょうの ちからって すげーー!!」となった。

例えこれが複数人からの楽曲提供で作られたアルバムだったとて、私はこの一連の楽曲たちを好きになってたんだろうとは思います。でも、夢追翔が歌唱も歌詞も作曲も全部担当したことによる「夢追純度の高さ」と、その「純度の高い思想」だからこそ、私はこうやって久しぶりにアルバムの全曲感想を書くためにキーボードを叩くに至ったのでしょうね。

あとこれはクロスフェードを聞いた時にTwitterでも言ったんですけど、このアルバムってオタク(クソデカ主語)がみんな好きなやつじゃん?? 少なくとも私は大好きだし、こんなん実質男子小学生が好き勝手に選んできたビュッフェの皿。カレーとトンカツとハンバーグとシチューとグラタンと唐揚げとステーキとお寿司を一気に皿に盛るな(いいぞもっとやれ)。

おそろいの地獄だね

まずイントロが大好き。ギターの音色の少し歪んだ感じとか、そこに閉じたハイハットみたいな音が入り、更にベースとシンセ(かな)が徐々に入っていくことで「始まるぞ!!!」とワクワクする感じとか。劇場の座席でパンフレットを読みながら開演時間を今か今と待った末にブザーが鳴って、照明が落ちて、幕が開く。おそじごのイントロは私が愛してやまないそんな瞬間のようで好き。FANTASIAのおそじご評にあった「夢追劇場」というワードは私がこの世に投げたかったです。悔しい。あの時のおそろいの地獄だね、私の中では人形劇のように見えていました。あとそもそも音数が少ないイントロが好き。性癖ですね。現役だったら絶対ギターもベースもコピーしてました。どちらも手元にないので次に実家に帰った時にでもやりたいな。

歌詞の話もしたいんだけど、もう少し楽器の話をさせて欲しいな。します。おそじごって本当にベースとドラムがバキバキに効いてて大っ好きなんですよね。「自己否定〜」「立ち消え〜」のBメロ(扱いになるであろう部分)の裏拍ハットめちゃくちゃスタイリッシュで良くない?! 大好きなんですけど!! あとBメロで全然違うケロッとした音が聞こえてくるのもすごく好き。サビ以外音数が少ないからこそそういういい意味での異物がちょっとした味変になるし、いい意味での「違和感」になるのが最高だな……。

ちなみになんですけど、皆さんはおそろいの地獄だねをクリックと一緒に聞いたことはありますか? マジで音のハマりの気持ち良さを感じるので試してみてください。BPMは165です。あと曲をリピート設定にしてる時に毎度毎度クリックを設定し直さなくてもずっとクリックがハマったままになるのも好き。絶対夢追そこまで考えてないよ。でも好き楽曲をクリックと聞きがちオタク的にすごく有り難かったです。

ここからは歌詞とかについて話したいんですけど(まだ喋るの?!)、この歌詞の開き直り感や視野が少しずつ広がる感じが私は好きなんですよね。意図しない受け取り方だったら申し訳ない。「今自分は自分にとっての地獄にいる」という主観的現状が1番、そんな現状/現実を客観的に捉えた2番、それらを総合的に判断している「僕らは皆地獄行き」、開き直って「地獄だろうが歌ってやるよ」と立ち上がる落ちサビ、という感じ。

多分この歌の主人公は曲中一貫してずっと「地獄」に身を置いているんですよ。なんならこの歌のワンシーンのあともきっとずっとそう。でもその地獄の中で懸命に自分自身の芯を掴む感じがして良い。私はこの歌に出てくる「僕」も「君」も自分自身だと思っていて、だからこそ「この同じ色の地獄から『出会えたら』一緒に生きようか」なのかなと思っています。別に私自身は地獄に生きているとは思いませんけども、それでも人並みな生きにくさとか、不安になってグルグルする時もあるわけでして。そんな時に現状は現状だと認めつつも、その中で立ち上がるような曲を聞くと寄り添ってもらっているような気持ちになって好きです。数年前の私にも聞かせてやりたかったな。

この歌に限らずきっと色んな解釈が出来るし、なんなら私の中の解釈も聴き込むごとに変わっています。そして多分その全てが正解なんでしょうけども、それでも今の私はこの解釈が1番気に入っているのです。


Stop the Internet

私はFANTASIA以来地獄を拗らせてそればっかり聞いていた人間なんですけども、FANTASIAでおそろいの地獄だねに気付いたように、「拝啓、匣庭の中より」で気付いたのがこの曲。

若手のアイドルが軽いステップを踏むような、季節でいえば春の晴れやかな空気のような、そんな爽やかなオケ。それに合わせたような程よい甘さと高さの夢追さんの声がめちゃくちゃ映えていて好きです。映え〜〜⭐︎  これを日本語がわからない人間に聞かせたら「ポップなのにすごくクールな曲だ!! いいね!!」ってニッコリしそうで最高。

それでも歌詞をよく聞き咀嚼すると、そこに並ぶのはインターネットに掃いて捨てるのが間に合わないぐらいに転がっている無個性な承認欲求等への皮肉と毒なのがいい。何よりその皮肉を紡ぎ歌うのが、インターネットがなければ存在すら証明できなくなる「バーチャル」を生きる人間だという最高の皮肉。堪らないね。インターネットに育てられて、インターネットの荒波をなんとか渡り、インターネットに暮らし、そして何よりインターネットを愛する私によく効く呪文だこと。人生で何度「日本語話者で良かった」と思ったのかなんてもう覚えていないけれど、間違いなくそのうちの1回は今です。この楽曲の孕む両極端な部分を全て余さず捏ね倒せるなんて、本当に活字に興味があって物事についてあれこれ考えるのが好きなタイプの日本人で良かった〜〜!!

これは悪い意味ではなく、耳馴染みがいいという意味も込めているんですけども、この世界に遍在していそうなメロディーに「夢追翔の思想」が乗ることで唯一無二に昇華されるところも好きです。

個人的に「絶望に耐えきれず」からのポエトリーリーディング部分の声が好きです。普通に「語り」が上手すぎないか夢追翔。あと「嘘は嘘であると見抜く 世界の真実を暴け」の部分を極限まで雑に言い換えると「ソースは確認せぇよ」という、インターネット学入門の教科書の1ページ目にデカデカと書かれているワードになるのも好き。上手い人が操ると言葉って例え単純なことを言っていてもなんにでも仕立て上げられるんですよ。なのでやっぱりそのままを受け取るだけじゃなくて、きちんと自分で咀嚼して本質を見ないと耳障りのいい言葉で痛い目を見るよね〜、というところまでこの1文で考えました。多分夢追そこまで考えてないよ。

話は変わって概念を捏ねます。私の中で「インターネット」という概念は宇宙の類似概念なんですよ。わけわかんない部分がたくさんあったり、果てがなかったり、確実性がないところが無重力空間みたいだったり、その他諸々言語化が追い付かない部分も含めてそう思っていて。

で! この曲のオケからそんな感じを私は勝手に感じ取っているんですよ。例えば上下左右色んな場所に散らされたドラムの音とか、シンセサイザーによる硬さを孕む音色に混じるホワっとしたアクセント音(木琴みたいな音が聞こえるところもあるよね?)とか、更にそこに混じる電子っぽいピアノの音とかも好き。あとこの曲のベースが多分打ち込みなのも味があって好き。とか言っててそうじゃなかったら恥。下手な韻を踏むなマジ。総じてオケのカオスさがとってもインターネットですね。「インターネットを音で表したい」と悩んでいる人間がいたら、私は「夢追翔のStop the Internetを聞きな」とアドバイスします。


天に唾吐く

これの歌詞の冒頭部分を聞いたときに「2019年頃のバチくそ病んでた私やんけ!!ww」と手を叩きながら笑った人間は私です(自首)。

いやぁ〜、傲慢ですね、傲慢でとてもいいですよ、この曲の主人公は。傲慢なことを自分で認識しながらも、世界に中指を立てて全てに威嚇しながら生きている「彼」の生きにくさがとても滑稽で好きです。なんかこの捏ね方は多方面から怒られそうだけど、表現の自由ということで一つ許してもろて。

夢追翔が事実こういう思考をもっているかについて、当たり前に私は知らないし勝手に想像して決めつける気もありませんけど、この毒の回り方と皮肉の利き方とドネガティブな思想夢追翔から吐き出されたものですよと言われた時の納得感がすごい。というかそういう認識を他人に持たせるようにキャラクタライズされた彼が、こういう楽曲を出してくるという「矛盾のなさ」が好きです。

あとすごくロックで疾走感のある曲の印象を決めるAメロ冒頭の8小節を支えているのが綺麗なピアノのラインなのもすごく好きです。何せ音数が少ないオケに強い音が乗るのが好きなので……。性癖だね。サビの左下あたりで鳴ってる高音も含めて、ロックな曲にピアノの澄んだ音が効いていていい。好きです。

君の好きな僕

「いやこんなんクソデカ感情暴発ラブレターやんけ」という言葉が、初見(初聞)感想メモに残っていて笑いました。でもマジでそう。要は「好きな人の前で格好つけてツンツンしてたら、実際の自分と相手の中の自分で解釈違いが起きてそう、ヤバイ」というという話じゃないですかこの曲って。

すごい!! こんなん二次創作でよく見るツンデレ激重ヤンデレ男じゃん!!!! この男にもう少し理性がなくて相手に闇耐性があったら共依存ズブズブの実質軟禁状態になりそう!!!! メリバエンドだ!!!!!!!!!(やめときな) 私は「君」のことはよく知らないけど、多分すごく光属性だし、めちゃ純粋だし、マジでいい子なんだと思います。又聞きの印象しかないなら実際どうなのかは知らんけど。そうじゃないと多分この2人はどこまででも堕ちていくんだろうな、という感じがビシビシする。

というかこの男に自尊心が微塵もなさそうなのが、ま〜じで質のいい夢追節が効いていていいですね。多分「僕」が多少「君」の理想からズレてても、「君」はあなたのことを好きていてくれると思うぞ……? 「君」はその手のアガペーを持っていそうではある。というかそもそも、「僕」は「君」のことを神聖化しすぎていて同じようなことを「君」に思わせていそうだなとも思いました。お互いに内心のドロドロした恋慕を曝け出したら、全然メリバエンドもあると思います。……私は一体長々となんの話をしているんだ??????? 少女漫画の感想ですか?

アルバムの流れとして、ここまでの3曲の重たさや皮肉めいた雰囲気とは全然違うこの曲が入ることで少し肩の力が抜ける構成になっているのも好きです。あとそもそも私はアコギがいきいきしている曲も好き。耳コピできる自信がないからコードを教えてくれませんかね…… 。弾きたくなっちゃったよ……。というかここまで4曲を聞いてて思いましたけど、ゆめおって音数が少ない中に大きめのピコピコアクセントをチョロッチョロッと入れるのが好きなんですか? ゆめおがどう思ってるのかは知らないですけど、私は好きです。

また聞き込んでいくうちに変わる気もするけども、現時点でアルバム新曲中で私が1番好きなのは「君の好きな僕」です。わたし! ネガティブで自尊心のなさそうな人が一人でグルグル考えている思考の煮凝りみたいな楽曲、だ〜いすき!!

人間じゃないよな

これをVTuberという、ある種「人形と人形師」に近い概念を生業にする人間が歌うことが面白いなと私は思います。

この曲についていっぱい話したいんですけど、これに関してはマジでメタな話をゴリゴリにしてしまうそうになるので、どこまでオープンな場で話していいのかが読めずに迷ってしまいますね。ど、どこまで言っていいんや……?? 「だけど覚えていて 私もあなたが見えて」という歌詞とか、言葉を選んでいうと、そうだな、「その呪文は私に効く」という感じ。

もう一つ言うとすれば、夢追翔とはまた少し違う形の愛され方をする人形のお話ではあれど、「愛されていたのは 愛したのは 誰のこと」という歌詞でも私は殴られたんですよね。 すごくメタい話をしてしまって申し訳ないけれども、わたしが求めているのは「誰」なんでしょうね。 追いかけているのは誰なのでしょう。 うーーーん、かんがえなくてもいいか、かんがえなくてもいいや、「夢追翔」がこのせかいでうたっていてくれるのならばね。

音楽なんざクソくらえ

Aメロド頭で「これは夢追翔の書いた曲です」ということをババンと出せる歌詞選びと、シンガーソングライターである彼に与えられた「夢追翔」という名前そのものの完成度の高さを感じる。 いや正直私も「夢追翔」という名前のシンガーソングライターなら冒頭のあの歌詞を書きたいもんな。オタクは名前が暗喩された曲に弱い生き物であるってキリストも新約聖書で言ってた。嘘です。

「音楽なんざクソくらえ」という反抗的なタイトルとは対照的に、この曲の「主人公」は音楽に対してめちゃくちゃ誇りを抱いてるし、音楽のことが心底好きだし、この生き方しか出来ないことに不満はないんじゃないかなと私は思うんですよ。恋慕と憎しみって紙一重ですしおすし。

というかそうじゃないと魂なんて切り売り出来ないし、目の前に誰もいない中で誰かに聞こえている可能性を信じて声を枯らすことは出来ないし、命なんて懸けられないんですよね。もうめちゃくちゃ好きじゃん。 なんなら好きとかそういうレベルではなく、人生の根幹じゃん。 アッパーなクソデカ感情じゃんこんなん。最高だな。

いやーしかし皮肉ですよね。中身を磨いて重ねていかないと自分が納得出来るものは生み出せないのに、それを受け取る「ファン」はガワ目当てだったりするんだもの。そして「夢追翔が作って歌っているから」という理由でこのアルバムを聴いている私は間違いなく「ガワに釣られてここきたファン」なんですよ。滑稽ですね〜〜。ここまで概念を捏ねてるんだから恩赦とかもらえたりしない? しないかぁ。

というか、「天に唾吐く」を作って歌う人間が「音楽なんざクソくらえ」を提供してくる統一感よ。最高ですね。堪らねぇよ。根底にあるものがブレない概念って本当に捏ねていて楽しいんですよ。提供されたAとBを勝手に繋げて「もしかしてこれってこうなんじゃないの〜?!?」と自由に二次創作/自己解釈という名のパンを焼けるので。パンうめぇ。

あとこの曲のアップテンポで疾走感のある曲調と歌詞のマッチが好きです。「俺の!! 思想と歌を!! 聞け!!!!」という主張が助走をつけて殴りかかって来る感じがいい。聞いていて楽しいし、こちらの動きにも物理的な加速をつけてくれそうなので、出勤前とかに「クソくらえ!!!!」と内心叫びなら聞きたい。というか今日はまさにその要領で勢いをつけて出勤しました。出勤なんざクソくらえ!!!!

あとAメロ前のケロケロした疾走感のある音もすごく好きだな〜。あれなんの音って言えばいいんですか? 音楽偏差値が3なので「ケロケロしたやつ」としか言えない。あと私が木琴とかの奏者だったら、絶対コピーしようとして手が回らなくて泣いてた。いやなんの話??

どうせ生きるなら

私はすぐに色んなものを繋げて考えてしまう厄介オタクなので、音楽なんざクソくらえの主人公とどうせ生きるならの主人公を同一人物だと勝手に捉えたし、「ほらやっぱあんた音楽のことが大好きじゃん!!!!」と叫びました。個人の解釈です。

この歌の主人公も言っている通り、意外と続けていたものをやめることって難しいんですよね。やめたことで「じゃあ今まで自分がそれに賭けて、吐きそうになったり泣いたり絶望した時間って何になるの?」と不意に冷静になってしまいそうなのが私は怖かった。彼、というかこの歌の主人公、がどう思って「何回やめようとしても 怖くて足が竦んだ」と言ったのか、ここにある情報だけでは私には見当もつきませんし推測するのも野暮なので控えますけど、少なくとも私はこの歌を聞いてやめたくないからしがみついていた日々のことを思い出しましたね。

夢追さんの曲や思想を聞いていて「この人、多分私の上位互換なんだろうな」と思うことが多々あるんですけど、この曲でもちょっと思った。バーナム効果だよそんなんと言われたらそれまでですけどもね。でも「私だけじゃないんだよな」と思えて少し楽になるので、私は勝手にそう解釈して生きていきます。この曲を聞いていると聞かれてもいない隙自語を挟んでしまうな……。

あとこの曲を聞いていて、短編映画のED曲みたいだなって思ったんですよね。その映画で描かれた事象によって別に自分が大きく成長したわけでもなけりゃ、環境が大きく変わったわけでもない。ただ日常を丁寧に描いて、そこで起きたちょっとしたことで少し前向きになって終わる。そんな短編映画の終わりを優しく包むみたいな曲を、アルバムの終盤で入れ込む構成が私は好きです。

共感性終止

ま〜〜〜じで曲調がお洒落で堪らない!!!! ジャズ研出身者がこれに撃ち抜かれない理由がなくない!??! バチバチに好きです。これを食って生きていく妖怪になれます。そういう妖怪が出てきたら私だと思ってくれ。

というかここまでこうやって感想を捏ねて、解釈して、曲に自身を重ねてみたりしちゃった人間がその先で聞くのがこの曲なのってあまりにも「全ては夢追翔の掌の上」という気持ちになってすごくいい意味でゾワゾワしました。

私はこれを書く時にとりあえず1周ザックリと全曲を聞いて、冒頭のアルバムの総合的な印象について書き、そこからは感想を書く曲を1曲リピートしてグルグルグルグルさせながら己の思想を捏ねていたんですよね。

でよ、ここまで7曲分長々と8000字近く書いてきて、「よっしゃ行くか8曲目」と思いながらしっかり歌詞を見て開いた共感性終止で「頭の中刷り込まれた『君のことを歌ってる曲』 リピート 深く刺さって抜けないまま 思考を染めていく」ですよ。

バレてら!!!!!!!!
全部バレてら!!!!!!!!!!
こっち見ないで!!!!!!!!!!!!!

泣きそうになりましたね。私は夢追翔に勝てないのかと思った。私の感想って誰のものですか? 夢追が思った通りに私は動いているんですか?? と思いながら聞き進めると今度はこれです。「自分の思考なのか いやそれとも 誰かに言わされてるのか」です。

ガッデム!!!!!!!!!!!!!!
先回りをするな!!!!!!!!!!!!!!!!

結論: 夢追翔には勝てません。私はこの曲が好きです。私vs夢追翔の戦いを見て「フォロワーがまた負け戦に挑んでら」と笑っていたフォロワー、あなたが正解です。共感性終止の感想おわり。

あーあ、オタクくんが泣いちゃった。ゆめおいのせいです。うそです。


命に価値はないのだから

命に価値はないのだからがこのアルバムの為に新たに書き下ろされた曲ではないことは知っていますけども、それでも私はこのアルバムの核はこの曲なんだと思いました。

このアルバムの中で、社会やらなにやら色々なものに毒を投げ、皮肉を吐き、己の主義主張を叫び、人の思考回路を勝手に読みやがった(勝手に読まれたのは私なのでこの件に関して夢追さんに非は微塵もない)人が、このアルバムの最後の最後、言ってしまえばエンドロールにあたる部分で「こちら」に対して感情を投げてくるのってズルくないですか??? ズルいです。

しかもそれが「ねぇどうか 幸せで」ときたもんだ。そっくりそのままお返ししますよその言葉。なんかもうこの曲をアルバムの中で聞いた時に、「とんでもない人を好きになっちまったな……」という気持ちになりましたね。降参投了僕の負け!

このアルバムをひとつのコンサートに例えると、「どうせ生きるなら」が本編ラスト「共感性終止」がアンコール1曲目「命に価値はないのだから」がアンコールも終わった本当の最後の曲なんだろうなと私は思ってます。夢追翔、セトリ組むの上手くない???(アルバムの曲順は別にセトリではないよ)

今後あるソロライブでもしこの曲をアンコールの最後の曲として歌われたら、多分私はめちゃくちゃに泣いているのにペンライトだけはちゃんと動かしつつ、目をかっぴらいてその光景を焼き付けようとするヤバそうなオタクになるんだろうな、といういらん想像までしてしまった。

あと歌詞の端々から見える夢追節が良い。「生きてることも 死んでることも同じ」とか「僕みたいにならずに 生きて欲しくて」とか。あと、色々経験してきてんだろうなとなんとなく感じる人からこうやって肯定をされると、やっぱり少し、安心、というか、落ち着くような感覚がありますね。私は自分の人生のことを敷かれたレールを蹴飛ばして大暴れした結果のものと思っている人間なので特に。


総括

2022年よくやった大賞を1つ決めるとしたらまず間違いなく「にじさんじに辿り着いて面白いと思える感性を持ち合わせていたこと」なんですけども、 その受賞理由のひとつに「拝啓、匣庭の中より」をリアルタイムで咀嚼出来たから、というのが入ります。

夢追翔という概念とこのアルバムに出会えてよかったなぁ。あと最後の方はマジで大焦りで書き進めていたけども、この全曲概念捏ねまくりブログを書けてよかったです。人間定期的に概念を好き放題に捏ね回して、長ぇ文章を書き散らさないとやってられねぇっすわ!

ここまで約9,300文字。お付き合いいただいた方がいるのかは分かりませんが、書き終えた今現在私はとても満足しています。

夢追さん〜!楽しい時間をありがとう〜〜!
あとでスパチャ投げるね〜〜〜👊💥👊💥

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