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おむすび

「ふきのとうの歌(いのちのエール)」
佐藤初女(はつめ)さんを偲ぶ歌。
初女さんという方について詳しくは存じ上げないのですが、その存在を知ってから私のおむすびは変わりました。

私がこれまでで一番印象に残っている料理は、梅干しのおむすびです。
子どもを預けてひとり旅に出たのが2017年。
専業主婦の私にとっては、3泊4日でも勇気を出した行動でした。
中川吉右衛門さんの田んぼに初めて入らせてもらった翌月でした。

広島に向かう大阪・京都行きの夜行バス。
母から渡されたあったかい梅干しのおむすび。
他の乗客の方もいたので写真にすら残せていません。
私の中にだけ生き続けている、記憶。

母が突然倒れたのは2015年。
心臓マッサージと人工呼吸、AEDと救急搬送。
意識の戻らない母の頭に光を入れると痙攣を起こし、眠れない夜を越え、翌日の面会まであんなに時間を長く感じたことはありません。

おそるおそる会いに行くと、

…集中治療室でテレビを見ている!(笑)

倒れた記憶もないようで、ただ眠っていただけにしかすぎない母でした。

しばらくは認知症のように時間軸があいまいでしたが、いまだに元気で私よりずっと体力があります。

母が入院していた数ヶ月、山菜の処理も分からないし、私が作っても美味しくないし、圧倒的に母の存在を感じたんです。
そして退院後、私のためにこしらえてくれたおむすび。
もう2度と食べられなかったかもしれない母の料理。
どんな高級レストランにも敵わない、唯一無二のご馳走でした。

私がその時広島に行ったきっかけは、
さとうみつろうさんのトークライブだったのですが、みつろうさんのブログで佐藤初女さんを知りました。

この回には参加しなかったのですが、
それまではおむすびをラップで握っていたんです。
その方が衛生的だと思っていましたし、自分の子どもですら私の手で握ったものは食べたくないだろうと思っていました。

試しに手でにぎってみたんです。
熱いので一旦湿らせたまな板の上にご飯を盛り、手水とお塩を用意して、具は入れずシンプルに塩むすびをつくります。

そうしたら、子ども達がばくばく食べてくれたんです。

朝4合分のおにぎりをつくれば、朝ごはんに余っても帰宅した子ども達がぱりぱりの海苔を巻いて、具を入れたり入れなかったり好きに食べてくれます。
余ったらめんつゆや味噌を塗って香ばしい焼きおにぎりにします。


今回おむすびのことを書きたいなと思ったのは、
6月に参加した大人の農業合宿がきっかけです。
大阪を中心に、全国から50名以上の方達が山形に集まりました。

まずは、自然栽培農家の中川吉右衛門さんの田んぼに集合し、
光のおむすびの結び方を教えていただきました。

ただでさえ美味しい吉右衛門米。
吉右衛門さんのお米はじんわりと温かく、言葉に代えがたいものを感じます。
この土地であり風土であり、吉右衛門さんの生き様なのでしょうね。

そして、吉右衛門米 × 光のおむすび。
仰天でした!
ここでは書きませんが、こんな結び方は初めてです。
実際に今までにぎってきた三角おにぎりと、光のおむすびを食べ比べました。

これまでの美味しいをあっさり越えちゃったんです。

家でも光のおむすびをつくるようになりました。
ばくばく食べるようになった!という感想の方が何人かいたものの、満足感が増したのか我が家では余るようになりました(笑)
美味しい、力がわく、落ち着くだけではなく、傷みにくいのも実感しています。

つくる、というより、結ぶ。
にぎる、というより、結ぶ。

メビウスの輪を感じながら、結ぶ私自身がどっしりとしていっていると思うのです。
ここ2ヶ月の子ども達の活躍などを通して、見える世界が変わったなぁと感じています。
山形合宿での素敵な出逢いもありがたいですし、ますます山形が好きになりました。

手って不思議ですね。

吉右衛門さんの田んぼで草とりをしながら、私の手も気持ちいいのかな?と思った瞬間がありました。
ほぐし、ほぐされる。
手も全身もつるつるになっていました。

そういうことだな、という言葉がしっくりきます。

今朝も早起きしてせっせとお結び。
書きたいことがたくさんあります。
やっと余裕ができてきたので、また始めたいと思います。

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