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制度疲労ジャパンを乗り越えるために。

2019年は制度疲労が目立った年のように感じました。

日本全国に張り巡らされたコンビニというプラットフォームの制度疲労、グローバル経済と政治の相性、家をベースとしたガラパゴス戸籍制度、社会保障や医療システム、働き方問題や世代間格差も制度疲労の結果起きていること。我々の周囲のシステムが、いかに前時代の前提に最適化されたものだったかを思い知らされた年だったのではないでしょうか。

書籍「2050年のメディア」が示唆していること

こんなことを年末最後のnoteに書いているのは、以下ような本を読んだから。

2050年のメディアというタイトルになっているが、家庭への個配という新聞プラットフォームの制度疲労を描いた生々しい本でした。新聞の個配制度の衰退と、ネットメディアの伸張、それに伴う組織で起きる人間くさいドラマが丹念な取材でまとめられています。読売新聞、日経新聞、Yahoo!ジャパンこの3つがメインの題材です。

イノベーションのジレンマと言ってしまえば、それだけなのですが、この時代自分もリクルートで情報誌という紙メディアでの広告課金モデルから、ネットメディアでの広告課金や送客課金モデルへの載せ替えに奔走していたので、なおさら生々しく読めました。(関係ないですが、この書籍の中に登場してきている人も二人ほど知っている人が出てきているし)

善意や思い入れがシステム変更の仇になる

同じ組織(会社や運営母体)が、過去のシステムを切り捨て、新しいシステムに乗り換えることは、組織の力学的にも、人間関係からもしがらみがたくさんあり本当に困難です。それまでの組織へのロイヤリティが高い人ほど、愛情が深いほど、過去のしがらみを壊すことが難しくなってしまいます。さらに、媒体を守るという善意やOBや歴史への愛という善意が一番の敵になることも体験上ヒリヒリわかります。

だからこそ、本来は別の会社が既存の市場をぶち壊して、入れ替わっていくことで新陳代謝を進めながら、システムも変わっていくのが王道です。でも、この本でも書かれていたように、これが日本では起きづらい。新聞に関していえば、日刊新聞法による株の譲渡制限によって海外のメディアのように「変化する力学」や「退場させる力学」が働かなかったのではないかという考察は、興味深かったです。

さて、システム制度疲労からもはや逃げられない我々は、どうすればいいのでしょう?こんなジレンマに付き合わされて、課題にパッチを当て続けたり、個人の頑張りで乗り切り続けるのもう嫌ですよね。

しらがらみや抵抗を排除する方法までデザインされた解

以下、今年読んだ本の中で何度も読み返している本から引用します。

既得権益を守ろうとする人たちが存在するので、そうしたしがらみや抵抗をどう排除できるのかというところまでデザインされた実現可能な「解」でなければ、思考する意味がない。
たとえば、日本の抱える大きな課題に医療改革がある。国家財政を圧迫する医療費を下げさせるためには予防医学に注力することが重要だ。これは理屈では明らかだが、国民が健康になってしまっては商売が成り立たない医師会が徹底的に反対することもまた明白な事実だ。だとすれば、一つの案としては機能性医学や予防医学を研究する期間をジョイントベンチャーとして設立し、その理事に医師会の重鎮をつけて予防医学の利益をどんどん医師会に還元し、新しいオペレーションだけは関与させないといったスキームも考えられる。このように、従来の組織に新しい施策のメリットを還元することでスムーズに物事を実現させることは可能だ。
改革を行うときはインセンティブの設定がとても重要となる。正論を振りかざしながら「俺は正しくてあいつらが間違っている」と怒っても社会は変わらないのだ。問題の核心を付き、同時に実現可能な具体案を出す必要がある。

会社で働いているときもそうだったのですが、ますます社会の中堅と言われる40代半ばとして、正論だけを語るのではなく、実行可能なズルい実現方法を考えてやっていくことを意識しなくちゃと思っています。

最後に

2019年も本当にお世話になりました。本当はこんな重たいエントリーを書く予定ではなかったのですが年末に読んだ本と社会で起きている事象を考えていると、つい、こんなエントリーになってしまいました。

2019年は書籍「手書き地図のつくり方」を出版でき、本業以外では社会に対して「こうだったらいいのに!」という実現可能なズルい方法が実践できています。地域活性の場や学校教育の場でも「手書き地図」という一見ポップな形で、本質をついた活動を2020年も続けていこうと思っています。

もちろん本業でも、「ビジネスに効くクリエイティブ」をテーマにオウンドメディアや本質的なブランディングを行っていきます。

さあ、大晦日で45歳。来年も楽しい一年にする所存です。


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