【原神】嘉明の豆知識・元ネタ解説
タイトルの通り、嘉明の容姿/人物/言葉などの豆知識(小ネタ)をまとめています。
・キャラクターの仕様上、実際の中国及び広東省に関する解説が多いです。
・解説の仕様上、メタい表現/記述があります。
はじめに
・文中で扱う「24海灯祭」は原神バージョン4.4のストーリーイベント『春立つ風を梳かす彩鳶』のこと。
・同じく文中で扱う「瑞獣登楼」は、公式が公開した動画「【原神】瑞獣登楼——『原神』嘉明創作の裏話」のこと。このnoteを読む前、または読んだ後にぜひ観て欲しい。日本語字幕ON推奨。
【容姿】
ほくろ
・首元にほくろがある。
眉ピアス
・向かって右の眉にピアスがある。キャッチが一つなのでマイクロダーマルの可能性があるが、そこまで考えられているかは不明。
→確認できるのは①Ver.4.4「彩る紙鳶、春梳きて」キービジュアル ②キャラクター実戦紹介動画内0:26 ③ゲーム内3Dモデルを下から覗き込むように観察 ④公式配布MMDモデルの使用。(2024年11月現在)
手
・手の第二関節がやや赤らんでいる。他のキャラと比べて珍しい。
ブレスレット
・右手首に赤い紐のブレスレットをしている。これは中国で見られる風水アイテムであり、幸運を祈ったりお守りとしての意図がある。
これを右側に着けると、諸悪を追い払う効果があるとされている。(左右どちらに着けるかは好み。決まりはない。)
フードの穴
・フードを被った時に、束ねた後ろ髪を出すための穴が開いている。
绣球
・腰の後ろに绣球(アジサイに似たボール)を着けている。めでたい装飾の他、実際の獅子舞でも使われることがある。
靴のデザイン
・履いている靴のデザインは、実際の獅子舞で使われるものが元になっている。
その他
・他にも衣装の基調となっている赤色やタッセル、コインなど縁起のいい要素が多く盛り込まれている。
【人物】
出身地の元ネタ
・他の璃月の人々との言葉や文化の違いから、地方から来た人のキャラ付けがなされていることが分かる。
→実際の中国における広東省の出身であると伺える。中国大陸の南に位置し、香港、マカオも含まれる。(miHoYo本社は上海に位置する) 日本における、"東京の人から見た大阪の人/沖縄の人"のような感覚が近いと思われる。
姓は「葉」
・姓は「葉」である。(彼の父「葉徳」やキャラストの「葉家」記述による) 簡体字表記では「叶」(読み/意味は同一)。
食通要素
・香菱に「本物の食通」と言われたり、随所のボイスから〈食〉が好きであることを伺えるが、これも広東ネタだと考えられる。
「食在広州[食は広州にあり]」という言葉が有名なように、食は広東の特色の一つである。
【言葉】
広東語
・出身の元ネタである広東では、一般的な中国語(北京語)と違い広東語が使われる。
→広東語は「日本における方言のようなもの」と説明されることが多いが、内容の違いは私たちにとっての方言よりも大きい。「全く違う言語」とする人もいる。
→日本語版のゲーム内セリフでも〈独特な言葉遣い〉が確認できるが、中国語版では更に分かりやすく、広東の言い回しがセリフにふんだんに盛り込まれている。一部は後述の【言葉-ボイス/セリフ】で解説。
言葉の倒置
・日本語版のセリフを聞いていると、その中に度々倒置法が出てくる。(「任せろ!このオレにな!」等) これは中国語版でも同じである。
→広東省では言葉の倒置がよく見られる。(ちなみに山東省も。)
→ただし日本語とは技法が異なる。日本の倒置法が有する効果は言葉の強調のみであるのに対し、向こうでは言葉の強調のみならず、文章を短縮できたり、単語すら"倒置"していたりする。(喜欢→欢喜など)
→広東で倒置がよく使われるのは、「広東語は古代中国語から受け継いだ部分が多いから」という説がある。分かりやすい例として、日本でもよく知られた「論語」には倒置文が多く見られる。
「Gaming」
・英語表記の「Gaming[ガミン]」も広東語の発音であり、北京語(普通話)では「jiāmíng[ジアミン、ジャーミン]」という発音になる。
→他の璃月キャラの英語表記は普通話なので、特有。
→ウェンツァイの英語表記も広東語の発音「マンツァイ」。(しかし日本語版の「ウェンツァイ」は普通話の発音)
美味しいお茶?
・普通話で、「嘉明[jiāmíng]」と同じ発音の言葉に「佳茗[jiā míng]」(「美味しいお茶」の意)がある。キャラ的に、ミーニングされている可能性が無きにしも非ず。
威水
・「威水獣舞隊」の"威水"は広東語で「すごい」、「素晴らしい」、「強力な」という意味。
「頭角を現す駿猊」
・二つ名「頭角を現す駿猊」は中国語版では「骏猊頕首」。
→「骏猊」は〈骏〉(意:優れた、すばやい)と〈猊〉(狻猊という伝説上の生物、および獅子)。
→〈頕〉(意:顔を上げる、見上げる)、〈首〉は頭のこと。
猊獣=狻猊
・中国語/日本語の「猊兽/猊獣」は原神オリジナルの単語だと思われるが、英語版では「Suanni」。これは中国の「狻猊[suānní]」をそのまま使っているので、猊獣=狻猊ということになる。
→狻猊は獅子と龍の混血と言われており、煙や炎を好み身に纏う。ウェンツァイとの関連性はもちろん、彼が炎元素なのはこれが関係している可能性がある。
→山隠れの猊獣も、英語版では「Solitary Suanni」(孤独な狻猊)。
ウェンツァイ
・文仔(ウェンツァイ)の「文」は"おとなしい"の意。「仔」は単独の場合"息子"になるが、この場合は広東語の指小辞。単語の末尾に付けて、小さい/若いことを示す。
→例:子猫は「貓仔」。
→親しみや愛情を表したりもする。
【言葉-ボイス/セリフ】
世間話・飲茶
・「生滾粥」は、お粥のこと。広東で人気かつ伝統的な料理。
→様々な種類があり、具材も豊富。肉や魚、野菜、海鮮などなど。どれも具材の味が活きる料理であり、広東の人々の食へのこだわりを体現するとも言われる。
雷の日…
・「雷が落ちたぞ。悪人が誓いを立てたんだ!」は、中国のフィクションでよく見られる展開が元。
→分かりやすい解説をしている方がいるので、こちらを参考にして欲しい。
嘉明自身について・地元
・「松蘿仙芽」と「游韻単叢」はそれぞれ松蘿茶(緑茶)と単叢茶(烏龍茶)が元ネタか。
特に単叢茶の鳳凰単叢は広東が誇る有名かつ高級な種類であり、日本でも飲める機会は多い。
嘉明の趣味...
・「食べたいものは何でも注文して、食べきれなかったら持ち帰ればいいさ。」は、中国語版で「[前略]~没所谓的吃不完打包回去嘛。」
文中の"打包"は一般的に梱包や荷造りを指すが、広州では料理店に来た客が「料理の残りを持ち帰りたいので、包んでください」という意味合いでよく使う。
好きな食べ物…
・「あんたを産むより叉焼を産んだ方がいい」という母のセリフは、実際に広東でよく使われる。子どもが言うことを聞かない時の母親がよく怒って言う。
→他にも、広東には叉焼が絡んだ表現がいくつもある。「扮叉烧」(叉焼に扮する=見栄を張る/気取る)など。
老板
・「宝箱を開ける・2」の「老板」は、日本語にすると「店主」「ボス」など。嘉明は護送の〈雇い主〉に向けて使っている。
三長両短、冬瓜豆腐
・キャラスト2「あのさ、ぶっちゃけ『三長両短』なことがあって、『冬瓜豆腐』を食べるはめになるって想像したら、オマエのことが心配になってきたんだ…」は、「万が一よくないことが起きた場合を考えると、心配になってきた」という意味。
→"三長両短"は棺桶を意味し、"冬瓜豆腐"は葬儀の後の食事に出てくる料理。とても分かりにくい上、中国語版のテキストではさらに遠回しになっている。以前作った画像があるので参考にして欲しい。
よその子
・キャラスト4「「よその子」というのは、遺瓏埠の住民たちが嘉明を高く評価して与えたあだ名だ。」の「よその子」は、中国語版では「别人家的孩子」。
"他人の子ども"という同じ意味の言葉だが、この場合は"優秀な他人"を指すスラング。
子どもを持つ親にとって、他人の子どもの方が自分の子よりも優れて見えることから。
ぽちゃぽちゃ
・壺会話でマルに向けて言った「ぽちゃぽちゃとした」は、中国語版では「圆碌碌」。広東語独自の表現で、"丸い・丸々とした"の意。
→「ゆんるくるく」「ゆんろくろく」といった発音。人の体型が丸々としている時にも使われるが、侮辱の意は含まれない。
愛の鞭
・壺会話の「これが親父の耳に入ったら、絶対「愛の鞭」をお見舞いされるだろうな」の「愛の鞭」は、中国語版では「籐条焖猪肉」(籐で叩いた豚肉の煮込み)。
広東名物料理の一つだが、子どもをお仕置きすることも指す。
→「言うことを聞かないと、籐条焖猪肉を食わせるぞ」といった具合。
「お腹いっぱい」
・(日本語版において)彼のセリフは基本的に男子らしい口調だが、「腹[はら]」ではなく「お腹[なか]」であったり、「食う/食った」ではなく「食べる/食べた」でほとんど統一されていたりと細かい部分に丸みがある。
辛炎「嘉明について…」
・日本語版では〈"中毒者"という言葉が病気の人を指していると思ったら、"依存するほどの愛好家"という意味だった〉と訳されているが、中国語版では少し内容が違う。
"中毒者"の部分は"发烧友"で、直訳すると「[病気で]発熱している友」だが、実際は「熱狂的なファン」という意味で使われている香港生まれのスラング。
【獣舞】
元ネタの獅子舞
・沈玉の谷に伝わる獣舞の元ネタが実際の中国の獅子舞であることは明白だが、中国の中でも北獅と南獅が存在する。獣舞の元ネタは南獅の方で、広東の南獅が特に有名。
→南獅は「醒獅」とも呼ばれる。命ノ星座「醒獅座」はここから。
→南獅が踊る行為には、悪を退けたり繁盛を願ったり様々な願いが込められている。
→ちなみに、北獅/南獅を問わず獅子舞は通常、二人のペアで行う。一人が頭と前脚の部分、もう一人が胴と後脚の部分を担当。息を合わせて動く。"ペアで行う"という部分は、ウェンツァイとの共闘で表現されている。(「瑞獣登楼」より。)
世間話・獣舞
・「まばたき」「ひげ洗い」という単語が登場するが、これは実際に存在する獅子舞の動作の一部。他に「身体を舐める[毛繕い]」「毛を振り乱す」等。
採青
・セリフに度々登場する「採青[ツァイチン]」は、実際の南獅が行う演目の一つ。南獅の真髄とも言われるほど有名で人気。
→採青は旧正月(原神でいう海灯祭)や開店祝い、その他行事の際に見られる。南獅の基本的なパフォーマンス(柱の上で行う演舞)と採青は違う演目だが、披露されるタイミングは概ね同じ。
→店先の看板など、やや高いところにぶら下げられた青菜や"紅包"を獅子が踊りつつ咥えて取る。高みを目指し舞い上がる、商売繁盛など諸願成就を願う行為。(紅包はお年玉袋のこと。旧正月によく見られる。原神4.4の配布スタンプでも胡桃たちが手に持っている。)
→通常攻撃3段目で獣頭が両手剣を咥えるのはこの採青が元。(「瑞獣登楼」より。)
【ゲーム内】
飲茶しようぜ!
・オリジナル料理「飲茶しようぜ!」は中国語版では「得闲饮茶」。これは広東でよく使われる飲茶の誘い文句であり、「時間がある時に飲茶しに行こう」という意味。
レアモーション
・獣舞の待機モーションがレアバージョン(青色)になる確率は3分の1(33%)程度。正確な数値は不明。
NPCからの拍手
・獣舞の待機モーションやスキル発動で周囲のNPCが拍手してくれる。(ポーズが固定されているNPC等を除く)
【番外編】
飲茶
・彼のセリフを聞いていれば分かる通り、「飲茶」とはお茶と共に点心を食べて楽しむ行為を指す言葉であり、料理の名前ではない。
→朝早くの飲茶が「早茶」、午後は「下午茶」、夜は「夜茶」となる。ただし広東では飲茶=早茶の場合が多い。24海灯祭の早茶推しからも伺える。
洗杯
・24海灯祭にて、嘉明がパイモンに「このお茶は茶器をすすぐためのもんなんだ。」と説明しているシーンがあったが、これは〈洗杯〉についての話。
広東にて飲茶の前に見られる。円卓の上でそれ用のお茶を使い、茶器だけでなくお箸やレンゲも洗う。
→ちなみに、用意された食器が汚れているわけではない。かつて衛生状態が悪かった時代の名残で、今日では気持ちの問題で行われている。一種の儀式に近い。
拱手
・原神4.4の配布スタンプにあるこれは「拱手礼」のポーズ。挨拶やお礼として使い、誠実や尊敬を示す。
→「キャラクター実戦紹介・申鶴」の2:09でも重雲が使っている。
→類似かつ有名なポーズとして「抱拳礼」(片手で拳を包み込まず指を立てる方)があるが、そちらは武術の儀礼として使う。
おわりに
・このnoteは中国文化にあまり明るくない日本人が書いています。万が一事実と異なる部分や不足している部分があった場合、ご指摘いただけると助かります。
・今回(note掲載日)は24海灯祭の細かい部分については触れていないので、近いうちにストーリーを読み返して追記するかもしれません。
2024/11/9 公開
2024/11/18 編集:【容姿】ブレスレット、【言葉】言葉の倒置 を追記しました。またそれに伴い【言葉】広東語 の内容を若干変更しました。
2024/11/20 編集:【ゲーム内】飲茶しようぜ!、【番外編】拱手 を追記しました。また、記事タイトルを「【原神】嘉明に関する豆知識note」→「【原神】嘉明の豆知識・元ネタ解説」に変更しました。
2024/11/26 編集:【言葉-ボイス/セリフ】愛の鞭 の軽微な文章修正を行いました。