スクラムの構造とそのメカニズム#4
最後のトップリーグ、準決勝、ご覧になられましたか?
見ていて、こんなに面白い試合がトップリーグで見れるなんて本当にいい時代になったなぁなんて思いながら眺めていました。
昨日、今日と試合もさることながら、やっぱりスクラムに目がいってしまいます。いつか、スクラムを解説した記事を書きたいと思っています。
前回は、美しいものは荷重の伝達が良い、すなわちスクラムが強いという話をしました。
今回はその美しさにプラスして、人間対人間でスクラムを組んだ時の荷重の伝達方法、そして基礎のまとめについてお話ししたいと思います。
+
さて、前回までは
『スクラムはアーチ橋、アーチ橋の部材であるアーチリブ(人間では背中から足まで)は一直線、横方向には横桁がアーチリブに垂直に入っていることで荷重を伝達することができる』
というところまでお話ししました。
今回は実際に人間で組んでスクラムが安定する方法をお話しします。
これは3対3、8対8でスクラムを組むための基礎になる話になりますのでしっかり覚えておいてください。
まず下の二つの図をご覧ください。
CLとはCenter Lineの略です。
人間でいうところの背骨のラインに該当します。赤矢印は力の向きです。人間の体は、基本的に背骨を軸に左右対称になっています。この矢印の向きではどうなるでしょうか。
当然青チーム、オレンジチームには軸が二軸あるので荷重が伝達されません。断面B-B’をご覧ください。
こうなると、何が起こるかというと
となります。
ではどうしたらよいのか。。。
相手との軸を揃えるようにします。
相手の胸の谷間に頭を置きに行くことで、背骨の真下に頭が入り込みます。
さらに顔は左側を向くことで、首が旋回し、自然と頭も上向きになり。後頭部と相手の胸の接地面積が増え圧力に耐えることができます。
※首を旋回させる時は必ず肩甲骨を寄せ、胸を開いてください。
図にしてみます。
軸と軸がつながり、荷重が相手の背中を通じて地面に伝達されます。
個々で見ると以下のようになります。
そして、第2話でお話しさせて頂いた以下の流れが完成し、きれいなアーチを人で組むことができるのです。
まとめ
1.スクラムはアーチ橋。アーチ橋は各部材の圧縮力でお互いを支えあい
地面へ荷重を伝達している。
人間でアーチを作るには、股関節や膝などの多くのヒンジがある。
ヒンジはドアの蝶番。圧縮の力を伝達する。特に膝のヒンジが大事。
2.アーチ橋はアーチリブと横桁により剛性が保たれ、圧縮力を地面に
伝達する。
人間ではアーチリブは背中から足まで。横桁は肩とおしりになる。
美しい構造は荷重をうまく伝達させることも担保されている。
スクラムを組む姿勢も美しくあるべき。特に、足の幅は肩幅に。
膝とつま先は外に開かず真っすぐ前に向かせる。
3.人でアーチを再現した時は頭の位置が重要になる。
なぜなら、各部材のセンターライン(背骨)が一直線ではないため、
荷重が相手にうまく伝達できず、安定しない。必ず頭は相手の胸の間
(背骨の下)に来るようにねじ込む(左側を見て、首を旋回させる)。
そうすることで相手の軸に自らの荷重を伝達することができ、
安定したスクラムにつながる。
いかがでしょうか。
こうすると、なぜコーチの皆さんが練習で膝を落とすことや、コア(腹筋)に力を入れること、首を鍛えることを言うのか理解できると思います。
練習方法は巷にたくさん溢れていますので、ぜひこの理論をベースに今まで実施してきた練習とリンクさせてみてください。
この基礎を基に、次回は3対3とステップアップしていきたいと思います。
次回もよろしくお願いいたします。
ご意見、ご感想をいただけますと嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?