スクラムの構造とそのメカニズム#5
お久しぶりです。あとうです。
記事を読んで頂き本当にありがとうございます。
先週のトップリーグの最終戦、本当に痺れた試合でした。一つ一つのプレーに両者の意地がぶつかり合っていてハラハラ、ドキドキしていました。
すでにラグビーロスです。
そんな中、スクラムについてのまとめをまた書き始めたいと思いますのでご一読いただけますと嬉しいです!
今回のテーマは『なぜスクラムが回転するのか』です。
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前回までの振り返りをしましょう。
前回までのまとめ
1.
スクラムはアーチ橋。アーチ橋は各部材の圧縮力でお互いを支えあい、地面へ荷重を伝達している。
人間でアーチを作るには、股関節や膝などの多くのヒンジがある。
ヒンジはドアの蝶番。圧縮の力を伝達する。特に膝のヒンジが大事。
2.
アーチ橋はアーチリブと横桁により剛性が保たれ、圧縮力を地面へ伝達する。人間ではアーチリブは背中から足まで。横桁は肩とおしりになる。
美しい構造は荷重をうまく伝達させることも担保されている。
スクラムを組む姿勢も美しくあるべき。
特に、足の幅は肩幅に。膝とつま先は外に開かず真っすぐ前に向かせる。
3.
人でアーチを再現した時は頭の位置が重要になる。
なぜなら、各部材のセンターライン(背骨)が一直線ではないため、
荷重が相手にうまく伝達できず、安定しない。必ず頭は相手の胸の間
(背骨の下)に来るようにねじ込む(左側を見て、首を旋回させる)。
そうすることで相手の軸に自らの荷重を伝達することができ、安定したスクラムにつながる。
安定したスクラムの構造は上記に書いた通りです。
本日はその構造に矛盾が生じた状況(回転すること)を解説します。
下の図を見てください。
1対1でスクラムを組むと相手とのバインドは両者とも『左手』でできます。
左手で相手をつかみ引っ張るため、中心点(赤矢印と赤矢印のちょうど真ん中あたり)を軸に同一方向に回転します。その為、両者の回転力がつり合い安定します。
では、実際のスクラムはどうでしょうか。下の図をご覧ください。
青は左プロップ、オレンジは右プロップです。フッカーは記載していませんが、フッカーをバインドする手を記しています。
左プロップは左手で相手をつかみます。
一方、右プロップは右手で相手をつかみます。
そうすると体はフッカーを軸にねじれていきます。(右の図を参照)
そうすると
中心点(赤の点)を軸に回転しようとします。では断面A-A’を見ましょう。
回転が始まるスクラムの側面はこのようになります。右プロップ(オレンジ)はフッカーの方に向いて、左プロップ(青)の上に乗っています。
そうなると、右プロップの膝と胸の間に隙間ができ、左プロップは自身の左肩を相手にねじ込むことで右プロップの下に潜り込めます。
この結果、左プロップは左肩背面で右プロップの右胸を持ち上げつつ、自身の頭を右プロップの体の軸(センターライン)を越えることができるます。その為、スクラムは左プロップ側から回転します。
この回転は左プロップの姿勢(アーチリブ)がしっかり形成されていると発生します。しかし、うまく姿勢(アーチリブ)が形成されていない場合は、右プロップの重さに耐えることが出来ず、スクラムが崩壊します。
ではどうしたらいいのか。
回転することはこの構造からは避けることができません。
従って、回転を最小限にとどめる方法を模索するしかありません。
回転を押さえるには、相手とエンゲージ時に肩の高さが合うようにします。以下をご覧ください。
そうすると左プロップの左肩が右プロップの胸に潜り込めない為、左プロップはその位置に留まろうとします。頭も右プロップのセンターラインを越えませんので回転は極力抑えることができます。
まとめ
スクラムは、回転するもの。1対1で両者の回転力を釣り合わすのは構造上出来ない。
回転するスクラムは、スクラムが崩れる原因を含んでいる。
コーチングする際には、組んだ直後の両者の方がほぼ同じ高さになっているか注意する必要がある。
いかがでしたでしょうか。
1対1では回転をすることを前提にスクラムを組むことを意識しなければなりません。
では、この回転力をどのように釣り合わせるのか。
それは次回から解説する3対3で組むスクラムのところで詳細をお伝えしたいと思います。
本日もここまで読んで頂きありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想をいただけますと幸いです。