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誕生日効果(birthday effect)


11月14日はチャールズ皇太子の誕生日だったそうで,母親であるエリザベス2世のスピーチが話題になっていました。

さて,今日の話題は誕生日についてです。

タイトルのように,「誕生日効果(birthday effect)」という言葉があります。どういう効果だと思いますか?

良いことをもたらす効果だと思いますか?
それとも悪い結果につながる効果だと思いますか?

ぜひ予想してから,読んでいってみてください。

私の誕生日

実は,私の誕生日は11月19日です。

Wikipediaのおかげで,この日に何が起きたり,同じ誕生日の人が誰なのかがすぐにわかりますよね。

◎1493年 - クリストファー・コロンブスが現在のプエルトリコにヨーロッパ人として初めて上陸
◎1816年 - ワルシャワ大学設立
◎1906年 - 京阪電気鉄道設立
◎1959年 - 東京都で学童擁護員(緑のおばさん)の制度開始
◎1980年 - 山口百恵と三浦友和が結婚

などなど。

また,国際男性デーとか世界トイレデーでもあるそうです。トイレつながりでお気に入りの本も紹介しておきましょうか。絶対に面白いので,まだ読んでいない人はぜひ。

誕生日効果

さて,誕生日効果(birthday effect)についてです。どういう効果を予想しましたか?

嬉しいことが起きることでしょうか。誰かに会うといった,対人関係に関すること?それとも,体調が良くなるとか,ポジティブな気分になる効果だとか……。

実は誕生日効果とは,「誕生日はそうではない日にくらべ,死に至る確率が高くなる」という効果のことをいいます。

もっと簡単に言うと,「誕生日は死にやすい」ということです。なんと……。

アメリカの調査

たとえばこの論文「A not so happy day after all: Excess death rates on birthdays in the U.S.」です。

1998年から2011年までの2500万人のデータを用いて,死亡率の推定をしています。すると,誕生日にはそうではない日よりも6.7%,死亡率が高くなっていたのだとか。特に,若い人々(20代)のほうが年長者よりも,誕生日とそうではない日の死亡率に差が見られたそうです。

さらに面白いことには,「誕生日の前後10日くらい」を見てみると,特に死亡率の上昇という現象は見られなかったそうです。つまり,誕生日だけ突出して死亡率が高くなっていたということなのです。

イギリスの調査

アメリカだけでは心もとないですよね。イギリスの,もっと古い研究も見てみましょう。「Relationship between month of birth and month of death in the elderly」というタイトルの論文です。「誕生月と死亡月の関連」というタイトルになっています。

イングランドとウェールズの75歳以上の261,226死者について,誕生月と死亡月が検討されています。

結果は,誕生月の前よりも誕生月を過ぎて3か月間の死亡率が明らかに高い,というものでした。論文もグラフに載っているのですが,誕生月前は低い死亡率が誕生月を過ぎると急に上昇していて,まるで「誕生日が来るまで死なないように我慢している」ように見えてしまいます。

さらにアメリカの調査

さらに見てみましょうか。カリフォルニアの1969年から1977年の約130万人,1978年から1990年の約140万人を分析したものです。

週単位で死亡率を算出していて,誕生日周辺とそれ以外を比較しています。

この研究の結果では,男女で誕生日効果に違いが見られたそうです。

女性:誕生日を過ぎた週の死亡率がそれ以外の時期よりも高くなる傾向
男性:誕生日の直前の死亡率がそれ以外の時期よりも高くなる傾向

女性は誕生日が「生命線」になっていて,男性は誕生日が「締め切り」になっているようだと論文に書いてあります。

日本語で書くとあまりうまい表現ではありませんが,英語だと女性は誕生日が「lifeline」になっていて,男性は誕生日が「deadline」になっているということで,「なんだかうまいこと言っちゃって」ということになっています。

ドイツの調査

他の国についても見てみますか。ドイツの調査を見てみましょう。「Deaths and major biographical events: a study of all cancer deaths in Germany from 1995 to 2009」という論文です。

タイトルの通り,1995年から2009年まで,3,257,520名のガンによる死の特徴について検討した論文です。

この研究ではいくつかの大きなイベントを比較しています。クリスマスやイースター,そして誕生日です。

そして結果は……クリスマスについては死亡率が他よりも多い傾向だったのですが,イースターや誕生日には効果がみられなかったと結論づけられています。

おっと,ここにきて誕生日効果の法則が崩れてしまいました。

死亡日

考えてみると,私たちは生きている状態から一気に「死」へと移行するわけでもないですよね。しばらく何日も昏睡状態で,おだやかに息を引き取っていくような場合にも,誕生日効果は生じるのかと言われれば,そのプロセスを考えるとうーん……と考え込んでしまいます。

まさか,事件や事故で命を失うことに誕生日効果があると考えていくと……だんだん,オカルトじみた話に展開していきそうです。

あくまでもこの話って,何かの特別な日を「意識している」ことが前提になっていないでしょうか。

さあて,どこまでこの効果があることを信じますか?


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