苦い味が好き?甘い味が好き?
脂肪と糖は,脳にとって欠かせない栄養素なのだそうです。脳では,水以外で一番多い成分は脂肪分であり,脳の重要な栄養素は糖分です。人間の脳は脂肪分で満たされているのです。
この脂肪と糖分,考えてみれば寿司もそうですし,ケーキもそうですし,ラーメンもそうですし,美味しいものはだいたいこれでできていると言い切ってしまってもいいくらいなのではないかと思っています。
そういえば,そんなCMがあったことを思い出しました。
でも,この「食べるのやめておこう」「できれば減らしたい」と意識上は思ってしまう2つが,脳に不可欠な要素だというのは面白いと思います。減らしたいと思っても,そもそも減らせないのですよね。
そして,炭水化物(糖分)への好みと,脂肪分への好みは遺伝的な要素もあるそうです。一卵性双生児は二卵性双生児よりも,より同じように,糖分や脂肪分を好む傾向があるらしいのです。
炭水化物と脂肪分を極度に減らすと
炭水化物も脂肪分も,取り過ぎると体に脂肪として蓄えられます。
じゃあ,とるのをやめればいいのかというと,そういうわけにもいかないようです。なぜなら,タンパク質ばかりで炭水化物と脂肪分を極度に減らすと,タンパク質中毒の症状を引き起こすのです。人間にとって安全なタンパク質の割合というのがあって,それは全食糧の50%までなのだそうです。
タンパク質中毒の症状には,有毒レベルの血中アンモニア,肝臓や腎臓の機能障害,脱水症状,食欲不振などがあり,究極的には死に至る。そうした悲惨な結果を,北極圏での体験にもとづいてヴィルヒャルマー・ステファンソンが書き記している。収穫が少ない季節になると,脂肪がほとんど手に入らず(もとより植物はない),食事のなかでタンパク質が支配的な多量要素となる。“脂肪がふつうにある食事から急に赤身だけの食事に切り替えると,最初の数日で食べる量がどんどん増え,1週間ほどたつと重量にして当初の3倍から4倍の肉を食べている。そのころには飢餓とタンパク質中毒の症状を呈している。立てつづけに食事をとり,食べ終わるたびに空腹を感じ,大量の食物で不快な膨満感があり,気持ちが落ち着かなくなってくる。1週間から10日で下痢が始まり,脂肪をとるまでそれが治まらない。そして数週間で死が訪れる”
(『火の賜物:ヒトは料理で進化した』)
神経症傾向の高い人は甘い味を好む
味覚と性格の研究というのは昔からありまして,よくある論文のシリーズになっています。古くはGoldbergも,ビッグ・ファイブ・パーソナリティと味覚や食行動の研究をしています。
ここではより最近の研究を紹介しますが,結果から言えることは,特に甘い味は神経症傾向の強い人が好むようです。
神経症傾向の高い人はストレスにも弱くて,不安を感じやすかったり落ち込みやすかったりします。そういうときにやけ食いしてしまう(ケーキバーに行ってしまったり?)のもこういうところに出たりして,と想像してしまいます。
反社会的傾向の強い人は苦い味を好む
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