
場を支配しようとする人
集団の中で社会的な地位を保とうとすることは,多くの人々の間で見られる行為です。
威信と支配
個人が集団内で社会的地位を追求する方法としては,威信と支配があります。
◎威信(prestige):集団に対する自分の価値を認識した上で,他者が自発的に従うことによって地位を獲得すること
◎支配(dominance):自分に従うことに抵抗する他者を威嚇し,強要し,処罰する能力にもとづいて地位を獲得すること
集団の他の人々が自発的に従うことで,本人の社会的地位が向上していくか,それとも自分に従うことを強いるような形で社会的地位が向上していくかという違いです。
支配
支配は,組織の中では社会的地位を獲得するためのひとつの有効な方法です。この方法は他者に対する競争的な態度を特徴とし,利己的で個人主義的な結果をもたらします。
しかし,支配は恐怖や威嚇,強制に基づくことから,専制的なリーダーシップに関連します。支配を背景とした階層構造のメンバーはストレスを抱きやすく,不安定だと言われています。しかし,なぜそのような他者の支配を行おうとするのかについては,わからないこともたくさんあります。
ナルシスト
このような支配にもとづく階層構造の背景には,特定のパーソナリティ特性も関与しているようです。特に,他者よりも優越しようとする傾向を表すパーソナリティとしては,自己愛(ナルシシズム)が知られています。自分自身を特別で優れた存在だと認識し,他者にもそのような扱いを求める傾向があるからです。
大学生のグループの中での自己愛と社会的地位との関係を検討した研究があります。こちらの論文で結果を確認してみましょう(Narcissism and seeing red: How perceptions of social rank conflict fuels dominance)。
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