ラジオ体操の不思議
夏休みもそろそろ終わりです。夏休みと言えばラジオ体操ですね。今回は,ラジオ体操に参加していて疑問に思ったことを書いてみたいと思います。
時々,子どもたちと一緒に近所の公園に行ってラジオ体操に参加します。
私が子どものころとは違って,参加者の大多数は大人で,年齢層も高めです。
最初の足踏み
朝6時半になると,用意されたラジカセから「ラジオ体操の歌」が流れ始めます。
このラジオ体操の歌で「足踏み」をする流れになっているのをご存知ですか?曲に合わせてその場で行進,足踏みをするのです。
私が小学生の時にはそういう慣習はなかったように記憶しています。全国どれくらいの公園で,ラジオ体操が始まる音楽が流れてきたときに,同時に足踏みが始まるのでしょうか。
質問コーナーでの回答
全国ラジオ体操連盟の質問コーナーのページがあります。
そのページに,足踏みについても書かれていました。この質問者の地域では開始時に足踏みをしているのを見かけるのですが,ラジオでそのような指示はないのでしなくて良いのですか?という疑問です。
これからすると,「この部分はラジオ体操そのものじゃないし,そんな指示はしていません」というのが回答でしょうか。誰かがはじめて広まっていった慣習ということかもしれません。
それにしても,「参加者が合わせていないと浮いてしまう感じです」という質問者の疑問の内容が日本らしいといいますか,このイベントらしいといいますか,そういう雰囲気を代弁しているように思います。
途中だけある掛け声
ラジオ体操第一が進んでくると,途中だけラジオから参加者の「掛け声」(「イチ,ニ,サン,シ」)が流れてくるのをご存知ですか?
このパートを聞くたびに「なぜここだけ?」と不思議に思っていたのですが,この疑問についても質問コーナーに上がっていました。
このかけ声は参加者が勝手にやっていることではなく,「元気な様子を聞いている人に届けるため」に演出としてやっているようですね。
面白いのは,朝公園で体操している人たちの中にも,元気よく「イチ,ニ,サン,シ」と,この部分で掛け声をかけている人がいることです。「体操上,ここで必要?何か効果ってあるの?」と思ったりもするのですが,基本的にこれは演出であり,各地の公園で聞かれるかけ声はラジオから流れる掛け声に合わせてかけるようになってきたのだろうという,ラジオ体操連盟の回答でした。
なぜ左から?
結構,根本的な疑問も寄せられていました。
ラジオ体操で体を曲げる時はなぜ左からなのか,という疑問です。
この疑問への回答は,なかなか面白いと思いました。
2つの説があって,ひとつは「ヨーロッパあたりの軍隊発祥」説。もうひとつは「心臓が左にあるから」説です。
かんぽ生命のページに,ラジオ体操のルーツは「旧逓信省簡易保険局が制定した「国民保健体操」にまで遡ります」と書かれています。子どもを早起きさせてラジオ体操をする会は,昭和5年から始まったそうです。
チェコで行われていたソコル運動という民族体育運動がモデルになっているようです。その背景には,「弱い民族は淘汰されてしまう」という優生学的思想がありそうです。ラジオ体操の理念にもそういう考え方があったのでしょうか。
話は戻りますが,心臓が左にあるから左からって......左から運動しようと決めた人が心臓について考えていたとはちょっと想像できないのですが……何か決まっていることがあると,自分がやっていることを正当化するために理屈をつけたくなって,何でもそこに持ってこようとしてしまう,人間の本質を目の当たりにしたような気がしました。
質問コーナーにはない私の疑問
これは質問コーナーにはないのですが,今日の記事の最初の質問に関連する私自身の体験と疑問です。
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